『新世界より(中)』あらすじとネタバレ感想!見せかけの平和に隠された恐怖とは
町の外に出てはならない――禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕(はら)む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。
Amazon商品ページより
中巻である本書では、じょじょに隠されてきた真実が明らかになります。
前の話はこちら。
上巻の冒頭にある通り、早季たちを待ち受けているのは悲劇です。
彼女たちもそうですが、そうと分かっていても真実を知らずにはいられず、四百ページ以上のボリュームを全く感じさせない面白さがありました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
合流
早季の機転によって呪力を取り戻した覚ですが、肉体的にも精神的にも限界を超えていました。
しかし、大雀蜂コロニーに保護されたからといって安心はできません。
これまでのことが倫理委員会に報告されれば、早季たちは何らかの罰を受けます。
人間に愧死機構が備わっている場合、人間を殺害できないため、結界の外でバケネズミなどに対処させるはずです。
早季たちは無理を押して、コロニーを抜け出しました。
合流地点で奇跡的に瞬たちと合流すると、乗ってきたカヌーで町を目指します。
途中で奇狼丸たちに追いつかれてしまいますが、彼らは早季と覚に恩を感じ、人間の指示を無視して送り届けてくれました。
また四人は呪力を失っていましたが、真言(マントラ)だけは覚えていた、もしくは控えをとっていました。
そこで覚と同様の方法をとり、四人も同様に呪力を取り戻すのでした。
業魔
早季たちは町に戻っても処分されることはなく、平穏を取り戻したかに見えました。
ところがその頃から、瞬がみんなを避けて一人になりたがり、心の病気で療養が必要だからと姿を消します。
四人は瞬を探しに家に向かいますが、彼の家の外には新たに結界が張られ、その中にはほとんどが土に埋まった瞬の家がありました。
その後、真理亜は偶然、瞬を処分するために不浄猫が放たれたことを知り、早季に報告。
早季は単独で瞬を助けに行きますが、彼の口から衝撃的な事実が告げられます。
呪力は無意識のうちに漏れ出し、自分以外のものに影響を与えます。
そこで結界を張り、それらを外に逃がすことでこの町は平穏を保ってきました。
しかし、瞬は橋本・アッペルバウム症候群を発症し、もう制御できないほどに周囲に破壊的な変化をもたらすようになってしまいました。
瞬のような存在を、人は業魔と呼びました。
早季はなんとか瞬を助けようとしますが、瞬はそれを拒みます。
最後に彼女への好意を伝えると、彼女を逃がして自分は土砂の下敷きになるのでした。
改ざん
早季たちの記憶は改ざんされ、瞬という存在は良という似ても似つかない少年に置き換えられ、もう一人の班員もいないことになっていました。
早季と覚は一早く違和感を覚え、名前こそ思い出せませんが違う少年と一緒にいたことを思い出します。
そんな時、覚の祖母で倫理委員会の議長を務める朝比奈富子に早季は呼ばれます。
富子は早季に対してどんな事態においても心が壊れない強さを見出し、自分の後継者にしたいことを告げます。
記憶こそ返してくれませんが、実際に富子が遭遇した悪鬼、業魔のことを話してくれ、早季は自分を取り巻く世界のことをまた一つ知るのでした。
タイムリミット
突然、守が家出をしてしまい、三人は探しに行きます。
守の跡を追って雪道を歩くと、怪我をした守を見つけます。
彼は以前、早季たちが救ったバケネズミ・スクォンクに助けられたのでした。
守が家出した理由、それは不浄猫を二度も目撃して、殺されると思ったからでした。
早季たちがどれだけ説得しても応じず、真理亜が残り、覚と早季は別々に町に戻ります。
早季が町に戻ると教育委員会から呼び出され、守たちの行動によって町が不安に陥っていることを責められます。
幸い、富子の助け舟によって早季は解放されますが、代わりに三日以内に守と真理亜を連れて帰るよう指示されます。
連れ戻せば命の保証が出来るけれど、そうでない場合、二人の処分は免れません。
早季はここでも富子から今の日本の状況と以前の日本の状況を聞き、なぜ富子がここまで圧倒的な権力を持っているのかを知ります。
富子の呪力は平凡ですが、唯一テロメアを修復することができ、そのおかげですでに二百六十七歳という人間離れの年齢まで生きていました。
早季は富子の期待に応えようと覚と共に二人を連れ戻しに向かいますが、ここでも危険と悲しみが二人を襲います。
感想
見せかけの平和
上巻でミノシロモドキから隠された、血なまぐさい歴史の数々を聞かされていましたが、本書においてその上をいく残酷な現実が突きつけられます。
特に悪鬼、業魔にまつわるエピソードについて、富子の口から聞いただけなのに残虐なシーンが目に浮かぶようで恐怖を感じました。
一番怖いものは人間である。
この言葉に偽りはありませんでした。
もちろん呪力という神の力に等しい能力もそうですし、平和のためと理由をつけて平気で非人道的行為に及ぶことの出来るその精神構造も恐れるべきものです。
本書において、見せかけの平和が少しずつ剥がれていくのが分かり、かなり衝撃的でした。
辛い別れ
上巻の冒頭で、早季たちに辛い出来事がいくつもあったことは分かっていました。
もちろん友だちとの別れもです。
しかし、その別れ方がまた強烈で、そんな風に引き裂かれてしまうのかと、予想を遥かに上回る出来事にただ夢中で読み進めるしかありませんでした。
早季はこの手記をどんな気持ちで書いているのだろう。
ふと、そんなことを思い、彼女の類まれなる強さ、異常さがようやく認識できたような気がします。
おわりに
ここまでは少年少女時代の話でしたが、最終巻の下巻では早季たちが大人になってからのことが描かれます。
悲劇の連鎖はどこまで続くのか。
どういった結末を迎えるのか。
ここまできたらぜひ手を止めずに読んでください。
その方が次々に押し寄せる衝撃を十分に楽しめると思います。
次の話はこちら。
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