本の印税は10%?単行本の値段設定が高い理由を解説!
本を買う人なら分かると思いますが、単行本って高いんですよね。
作品によりますが、文庫本の三倍なんてこともざらにあります。
小説家は儲かっているんだろうなー、なんてつい邪推してしまいます。
しかし、実際にそうなんでしょうか?
そこでこの記事では、一冊の本に含まれる著者の印税やその他の費用について解説したいと思います。
これを読めば、もう単行本は高いなんて思わない、はず。
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はじめに~出版業界特有のお金にまつわるルール~
具体的な話に入る前に、出版業界特有のお金に関係するルールについて解説したいと思います。
主に二つあり、それが理由となって価格が決められているといっても過言ではありません。
再販売価格維持制度
いわゆる『再販制度』と呼ばれるものです。
簡単にいうと、出版社が本の値段を決め、書店などで定価販売できる制度です。
ちょっと思い出してください。
普段、皆さんが買う食べ物や飲み物、それから消耗品。
買うお店によって値段が違いますよね?
これは仕入れた小売店が自由に価格を設定しているからです。
利益重視で価格を高く設定することもあれば、薄利多売で安く設定することもあります。
ところが、本には書店に価格を決める権限はなく、定価で販売となります。
再販制度適用の理由
以下のページを参考にしました。
要約すると、
・本の価値は唯一無二で、種類が極めて多い
・再販制度をなくすと、売れる本しか販売されなくなり、専門書などそこまで売れないけれど必要な本がなくなってしまう
・書店間で価格競争が起き、売れない本は店頭に置かない
・地方は都市部に比べて本の価格が上がる(輸送コストなど)
・競争に負けた書店が消え、書店の数が減ってしまう
ということになります。
再販制度がなくなれば、確かに読者は低価格で本を買うことができますが、やがて本の種類は減り、結果的に自分たちの首を自分たちで締めることになります。
そもそも本は、出版社間の価格競争によって定価自体が低く設定されていますので、その点はご安心ください。
委託販売制度
出版業界特有のルールその二が、この委託販売制度です。
通常、小売店は問屋(卸業者)を通じて商品を買い取り、それを消費者に販売します。
ところが本の場合、書店は仕入れて売れ残った本を返本することができます。
つまり、買い取りではなく『預かり(委託)商品』であり、書店には仕入れのリスクが生じないわけです。
理由
では、なぜこんな制度が設けられているのか。
それは、再販制度にも共通している理由ですが、読者に様々な本を届けたいからです。
もし返本のリスクが生じた場合、書店は売れる本しか取り扱いません。
そうするとマイナーな本、異色な作品は書店から姿を消し、やがてそういった本自体が出版されなくなってしまいます。
代替品がないからこそ、それらを供給する使命がある。
そういった発想から生まれたのがこの制度です。
ただし、何でもかんでも返本されたら取次業者や出版社は大赤字です。
そこで作品によって〇〇%以上は返本してはいけない、といったルールを設けることもあります。
そのため書店も適当に発注するわけにはいかず、ある程度は予想を立てた上で注文するというわけです。
本にかかるお金の種類
前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
本の価格にはどんな費用、経費が含まれているのか。
それは主に四つに分けることができます。
① 著者の印税
最初に考えたいのが作品を書いた著者の印税。
ストーリーを考え、緻密に構成し、何万~何十万文字と書いているのですから、かなりもらえているだろうとつい思ってしまいます。
ところが、著者の印税というのは、本の価格の10%が相場といわれています。
1,000円の本なら100円ということになります。
仮にこの本が百万部のベストセラーを記録したとして、100円×1,000,000部=100,000,000円(一億円)が著者の印税となります。
これだけ見ると、たった一冊で億万長者になれました。
しかし、現実はそんなに甘くありません。
例えば2015年を例に見ると、この年でミリオンセラーを達成したのは又吉直樹さんの『火花』だけで、ダブルミリオンというとんでもない記録を打ち立てました。
ORICON NEWS 2015年 年間本ランキング BOOKランキング
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でも、たったの一冊です。
年間で刊行される本は八万点(統計局ホームページより)といわれていますが、その中でたったの一冊です。
ちなみに、2016年は文庫版『君の名は』のみがミリオンセラーを記録し、単行本では一冊もミリオンセラーを達成できませんでした。
ORICON NEWS 2016年 年間本ランキング BOOKランキング
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小説家が得られる収入は印税だけではありませんが、いかにプロの小説家といえども、億万長者になるなど夢のまた夢だということが分かります。
② 書店の利益
次に実際に本を店頭に置いて販売する書店の利益。
これは20%が相場だといわれています。
1,000円の本なら200円が書店の利益になります。
しかし、その全てが儲けではありません。
そこから書店員の給料やテナント代などが支払われるため、決して潤っているとはいいにくい状況です。
しかも書店は、売れる本が出版されなければ、どうあがいても売り上げを伸ばすことはできません。
そういった意味でも、読者はもっと全国の書店に感謝するべきなのかもしれません。
③ 取次の利益
あまり耳慣れない『取次』という言葉。
これはいわゆる問屋、卸業者のことで、出版社と書店の間を取り持ち、流通を担う人たちのことです。
取次の利益は20%が相場といわれ、1,000の本なら100円が取次の利益となります。
単に本を横流ししているだけだと思う人もいるかもしれませんが、もちろんそれだけが仕事ではありません。
本の販売状況、近隣書店の情報など生きた情報を持っているのが取次で、書店にとってなくてはならない存在といえます。
④ 出版社の利益
最後に出版社の利益について。
これは残りの60%が相場といわれ、1,000円の本なら600円が出版社に入ります。
実際はここから印刷業者などに費用が払われるので、出版社の手元に残るお金はもっと少なくなります。
それでもこれだけ見ると、利益率が50%を超えていて、かなりぼろい商売だと考える人もいると思います。
ところが、こちらも全てが利益になるわけではなく、取材費やプロモーション費用など、本を出版するにあたってかかった費用をまずは回収しないといけません。
回収に必要な部数は本によって異なり、最近読んだ恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』の文庫版では、取材費などがとんでもなくかかったと書かれていて、そういう本は利益を出す以前に、元をとるだけでもかなり大変だということです。
しかも利益が出るのは売れたらの話で、売れる本なんてほんの一握りです。
大半の本は赤字で、特に新人の作家は売れるまで辛抱の時期があると思います。
それでも出版社は新しい作家を育てるために投資しますし、その原資となるのがベストセラー作家たちの売り上げです。
持ちつ持たれつ、そんな言葉が似合うのがこの出版業界です。
読者が業界を『買い支える』
ここまで本のお金に関する部分を掘り下げてきましたので、今更小説家が儲かるだとか、本の値段が高いなんて思う人はいないと思います。
いや、実際は単行本なんて特に高いと思うこともありますが、それだけの価値を生み出してくれているのだと、感謝の気持ちを持つようになりました。
しかし今後、電子書籍がますます浸透し、出版業界としてはかなり厳しい情勢になることが容易に予想されます。
そんな中で、我々読者ができることは何か。
それは『本を買う』ことではないでしょうか。
有川浩さんはとあるインタビューで『買い支える』と表現していましたが、ぜひ我々で出版業界を買い支えましょう。
おわりに
かなり掘り下げた話になってしまいましたが、ちゃんと本の値段には理由があり、作家もぼろ儲けしているわけではありません。
むしろ血のにじむような努力を重ね、全身全霊をかけて、ちょっとの利益しか出ないにも関わらず本を執筆してくれています。
それは出版業界に携わる人全般にいえることで、決して本の値段が高いというわけではありません。
ぜひこの記事を読んで、気になった本を買ってもらえればと思います。
僕はなるべく中古本をやめ、店頭で新品を買いたいと思います。
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