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『女王の百年密室』あらすじとネタバレ感想!森博嗣初心者にもおすすめしたいミステリーを越えた何か

harutoautumn
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2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて―。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。

「BOOK」データベースより

本書は百年シリーズの第一弾で、ミステリーと説明にありながらもSF要素を含み、どちらかというと謎解きよりも物事に対する考え方などに焦点が当てられています。

森博嗣さんの魅力が発揮されながらも、設定は面白いしワクワクが止まらない。

なのでまだ森さんの作品を読んだことがないという人にも非常におすすめです。

十巻前後に及ぶ長編シリーズが多い中、百年シリーズは三冊で終わるので、気軽に手を出しやすいのもポイントです。

もしハマれば、ぜひ他のシリーズにも挑戦してみてください。

この記事では、これから読む人に向けて本書のあらすじや見どころ、魅力を書いています。

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簡単なあらすじ

今よりも未来の2113年の世界。

サエバ・ミチルはナビゲーターの故障によって道を間違え、小型飛行機で知らない土地に不時着し、そこで外界から百年も孤絶しているルナティック・シティを見つけます。

ミチルはロイディという同行者がいます。

ロイディはウォーカロン(ウォーク・アローン、自立型のヒューマノイド)で、未来の生活を想像させますが、ルナティック・シティは外界との繋がりを断っているせいか前時代のような暮らしを送っていました。

女王であるデボウ・スウが街を治め、人口は数百人程度。

外界との接点はないはずなのに電気は通り、街が出来て以来、まだ一人も死んだことがないといいます。

しかし、『永い眠り』につき、まだ一人も目覚めたものはいません。

これはミチルにとって『死』という概念ですが、ここの住民はその言葉を嫌います。

ミチルの来訪は予言されていて手厚く歓迎されますが、祝祭の夜に殺人事件が起きます。

ミチルは自分の身を守るために犯人捜しを始めますが、住民は何かを恐れるようにそのことから避け、徐々にこの街の本当の姿が見えてきます。

一方、ミチルの過去にも大きな秘密が隠されていて、次第に現実とリンクを見せ始めます。

ミステリーとしてはそこまで面白くありません。

真っ当に推理する情報に乏しいというのと、気が付いてしまえばそんなことか、と拍子抜けしてしまうほど簡単なものです。

しかし、本書の魅力は犯人捜しではなく、『死』という概念もそうですが人の信条、考え方にあります。

少し宗教的な部分もありますが、いつの時代になっても人間は人間だと思えるような内容でした。

他シリーズとの繋がり

作中で『S&Mシリーズ』、『Gシリーズ』、『四季シリーズ』、『Wシリーズ』との関係が示唆されていますが、読んでいないと楽しめないなんてことは全くありません。

僕としては本書を起点にして、他のシリーズに移っていくのも一つの手だと思うので、ぜひご検討ください。

初心者の方に向けてお伝えすると、S&Mシリーズから入るか百年シリーズから入るかでだいぶ印象が変わります。

どちらが良いというわけではないので、現代の設定、軽やかでユーモア溢れる会話を楽しみたいならS&Mシリーズ、SF的な設定、十巻以上あるシリーズは手が出しづらいという方は百年シリーズから読み始めると良いと思います。

Wシリーズより先に読むべし

しばしばミチルの現実と過去の境界が曖昧になり、未安定さをのぞかせます。

これが本書のキーポイントになっていますが、Wシリーズを読んだ方であればある程度予想がつくと思います。

ネタが分かっても面白いですが、やはりまっさらな気持ちで読んだ方が楽しいと思うので、ぜひ百年シリーズ→Wシリーズの順番で読んでください。

この順番で読めば、Wシリーズを読んだ時の興奮は倍増します。

僕はWシリーズが森作品の中でも特に好きなのですが、うっかり順番を逆にしてしまいました。

もちろん楽しかったですよ。

しかし、ちょっとの後悔もありました。

漫画版は小説読了後に

小説だけでなく、漫画版もあります。

原作を忠実に再現しているし、漫画版ならではの視覚的な面白さがあり、分かりにくい部分もある森さんの作品がうまく表現されているのでおすすめです。

ただし、僕は小説を読んだ後に漫画版を読むことをおすすめします。

というのも、漫画版では重大な伏線に気が付きやすいからです。

僕は小説を読んで結末を知っていたのですぐに気が付きましたが、未読の方でも勘が鋭い方であればすぐに違和感を覚えると思います。

もちろんそういった気付きもミステリーの楽しみではありますが、小説のようにたくさんに文章の中にキーポイントを紛れ込ませることができないので、見つけても小説ほどの快感は得られません。

なのでもしこの記事を読んでどちらも未読だという方がいれば、ぜひ小説→漫画の順番でお読みください。

両方を十二分に楽しめますよ。

おわりに

森さんの作品は半分以上読んでいますが、やはり癖が強いというか、受け付けないなという作品もあります。

そんな中で、本書は良い意味で森さんらしさが光り、森さん初心者にもぜひおすすめしたいと思い記事を書きました。

本書を面白いと感じたら、次はWシリーズにも挑戦してみてください。

百年シリーズとも関係が深く、あっと驚くこと間違いなしです。

Wシリーズを読むと、今度は『真賀田四季』って誰だ?となると思うので、そうしたらS&Mシリーズにお進みください。

こうやって作品同士のリンクが密接なのも森作品の魅力です。

次の話はこちら。

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