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『ずうのめ人形』あらすじとネタバレ感想!シリーズ第二弾の怪異は創作の中の都市伝説?

harutoautumn
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不審死を遂げたライターが遺した原稿。オカルト雑誌で働く藤間は、作中に登場する「ずうのめ人形」という都市伝説に惹かれていく。読み進めるごとに現実に現れる喪服の人形。迫り来る怪異を防ぐため、藤間は先輩である野崎に助けを求めるが―はたしてこの物語は「ホンモノ」か。

「BOOK」データベースより

『ぼぎわんが、来る』から始まる『比嘉姉妹シリーズ』第二弾である本書。

前の話はこちら。

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前作がホラー作品の中でも特にお気に入りだっただけに本書に必要以上の期待と不安を抱いてしまいましたが、それは半分杞憂でした。

間違いなく前作より面白いです。

驚きの展開が幾重にもしかれていて、一瞬とも気を抜けないあの読書感はそう味わえるものではありません。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

不審死

オカルト雑誌の編集部で働く藤間は、締め切りを過ぎても連絡がとれないライター・湯水の家にアルバイトの岩田と共に向かいます。

そこで二人が見つけたのは、湯水の死体でした。

しかも普通の死体ではなく、両目がなくなっていました。

自殺にしては奇妙な点が残ります。

湯水の家を後にする時、岩田はとある原稿を持ち出していました。

少女が主人公の小説のような内容で、藤間もコピーを渡されて読みます。

これが呪いの始まりでした。

原稿

岩田が持ち出した原稿。

そこには来生里穂という少女が主人公の物語が書かれていました。

別居の両親の都合に振り回され、ホラーやオカルトだけが心の拠り所。

ある日、図書館の交流ノートにホラーについて語り合える仲間を求めて書き込みをすると、『ゆかり』から返事があり、そこから二人の交流が始まります。

何度か繰り返した後、ゆかりが交流ノートに書き込んだのは『ずうのめ人形』と呼ばれる都市伝説でした。

その内容は湯水の死に関係しているように思えるような内容で、藤間は読み進めようとします。

一方、先に原稿を読み終えた岩田の様子がおかしくなっていました。

次々に呪いが伝播する

藤間は湯水の代わりとしてオカルトライター・野崎昆、本名・野崎和浩に仕事を依頼。

打ち合わせの時、前作にも登場した比嘉真琴と婚約中であることが判明します。

この時点で、真琴は藤間に人形の気配を感じていました。

そして間もなく、岩田が湯水と同じく不審死を遂げます。

彼は死ぬ間際、人形が目に前にいて、湯水もこの人形に殺害されたのだと言っていました。

これらのことから考えられること。

それは、湯水の持っていたあの原稿のずうのめ人形の部分を読んだ人間が呪われ、やがてずうのめ人形に殺害されるということです。

岩田の例から計算して、読んでから死ぬまでにかかる時間は四日。

野崎と真琴は、ずうのめ人形の魔の手から彼を守ることを決意します。

何かヒントがないかと原稿を読み進めるうちに、真琴の下の姉・美晴が登場。

原稿は完全なフィクションではなく、事実をある程度基にしていたのでした。

美晴はすでに亡くなっていて、彼女もまたずうのめ人形によって殺害されていたことが判明します。

原稿はどこまで本当で、どこまで嘘なのか。

原稿を読んだ野崎と真琴もずうのめ人形の呪いにかかり、時間の猶予はありません。

三人は残された時間でずうのめ人形の呪いを止める方法を探すのでした。

感想

前作を軽々越えてきた

前作『ぼぎわんが、来た』を読んで、こんなにホラーが面白いのかと驚きました。

それゆえに本書は失速してあまり面白くないのでは?と不安にもなりました。

しかし、それは杞憂でした。

正直いって、本書の方が断然面白いです。

本書に登場する『ずうのめ人形』は単体としては『ぼぎわん』の恐怖に劣りますが、本書は謎を解き明かしていくミステリ要素も強くなり、全体として飽きのこない構成になっています。

また前作で巫女としての強大な力を発揮した琴子が登場しないため、バトルでなんとかするという力ずくの結末ではなく、もっと驚きの結末が用意されています。

これが本当に良くて、ジェットコースターのように何度も安堵と恐怖のアップダウンを楽しめました。

怖さとは何かが分かる

本書の中で、野崎が怖さとはどんなものかを語ってくれます。

どんなものであれ、正体不明のものが描かれて生まれる怖さ。

そして、怖い話が広がること自体の怖さ。

後者は都市伝説や学校の怪談などが該当し、有名なものだと地方ごとに派生した話も広まり、もはや一括りに出来ないくらいバリエーションがあります。

この話が単純に面白く、今度、ホラー作品を探す上で良い指標になりそうです。

結局人間が一番怖い?

本書の本当に面白いところ。

それは本当に怖いのは怪異ではなく、人間だということです。

原稿に描かれた里穂は実在しますが、彼女は原稿の通りではありません。

いくつかの嘘が散りばめられ後で判明するのですが、これがもう怖いです。

そして、ずうのめ人形を巡って蓄積された人間の恨み、現在進行形で恨みを募らせる人間。

寝る前に読んで本当に後悔しました。

暗い部屋で何かうごめいているのではと錯覚するほどビビッてしまいました。

怖い話がそこまで強くない人は、明るい内、もしくは寝る前までには読み終えることをオススメします。

おわりに

第二弾にして本書は『比嘉姉妹シリーズ』がとてつもなく面白いことを証明してくれました。

シリーズものといっても続きものではないので、本書から読んでも問題ありません。

ホラー好きであれば本書を読まないと必ず損をする、と言い切れるくらい名作ホラーでした。

次の話はこちら。

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