ホラー

『異端の祝祭』あらすじとネタバレ感想!得体の知れないカルト的ホラー

失敗続きの就職浪人生・島本笑美。
原因は分かっている。彼女は物心ついた時から生きている人間とそうでないものの区別がつかないのだ。
街に溢れ返った異形のモノたちは、自分の姿が見えていると分かるや否や、笑美に纏わり付いてくる……。

ある日、ダメ元で受けた大手食品会社「モリヤ食品」の面接で、笑美はヤンと名乗る青年社長と出会う。出会ったその瞬間から、何故か自分に惚れ込んでいるヤンに心奪われ、笑美はそのままモリヤに就職することを決める。しかし「研修」という名のもと、ヤンに伴われて笑美が見たのは、「ケエエェェェエコオオォォオオ」と奇声をあげながら這い回る人々だった――。

一方、笑美の様子を心配した兄・陽太は、心霊案件を専門とする佐々木事務所へ相談に訪れ……。

ページを開いた瞬間、あなたももう「取り込まれて」いる。カクヨム発の「ほねがらみ」がTwitterでバズり大反響! ネット民を恐怖の底に叩き落とした驚異の新人作家が放つ、民俗学カルトホラー!

Amazon商品ページより

たまたま知ることができた作品ですが、Twitter発で一気に有名になった芦花公園(ろかこうえん)さんの作品です。

得体の知れない恐怖がまとわりつき、序盤から一気に引き込まれました。

その手腕、存在感は新人とは思えないほど圧倒的で、ホラー好きであれば絶対に読んでほしい一冊です。

以下は本書に関する芦花公園さんへのインタビューです。

SNSで大バズ! ネット民を恐怖の底に叩き落とした新鋭誕生! 民俗学カルトホラー『異端の祝祭』芦花公園インタビュー

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

見える少女

島本笑美は幼いころから生きた人間とそうでないものの区別をつけることができず、そのせいで冴えない人生を送ってきました。

就職活動も苦戦しますが、転機が訪れます。

ある日、大手企業であるモリヤ食品の面接を受けている時、社長と呼ばれるヤンという男性と出会います。

ヤンには笑美がこれまでに見たこともないほど恐ろしい女がついていましたが、いつの間にか見えなくなり、ヤンによってその場で採用が決まります。

後日、笑美は指定された場所に向かい、そこでヤンと訳の分からない作業に打ち込みます。

状況だけ考えれば明らかに異常ですが、笑美を優しく受け止め、愛してくれるとまで言ってくれるヤンの魅力に抗えず、笑美は次第にヤンを全面的に信じるようになります。

そして、やがて連絡が取れなくなりました。

依頼

佐々木るみは助手の青山幸喜と共に心霊現象に関する相談所を経営しています。

ある日、笑美の兄・陽太が現れ、笑美と連絡が取れなくなったことを明かします。

陽太は笑美を取り戻すためにバイトを通じて彼女のいる建物に侵入しますが、そこで待っていたのはおかしなことの連続でした。

蛙、兎、魚などの大量の生き物がいる部屋での生活。

巡回で見た奇声を上げる人たちの宴会。

生き物の解体。

陽太は寸前のところでヤンの危険さに気が付き、洗脳される前に脱出してるみの元を訪れたのでした。

信仰

るみは依頼を受けると、諏訪大社を軸にした新興宗教である可能性が高いと推測し、蛇神信仰を持つ霊能者・石神に依頼します。

ところが期日になっても石神から連絡はなく、ようやく連絡がきた時にはすっかり変わり果てていました。

るみは自分の認識が甘かったことを認め、情報を集めた上で青山と共にヤンのもとを訪れます。

しかし、その認識すらも甘いことをまざまざと見せつけられます。

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感想

新たな名作

偶然知って手にとった作品に過ぎませんでしたが、読んでみてあまりの面白さに驚いてしまいました。

謎の恐怖をばらまく掴み。

キャッチーな登場人物による問題介入。

次第に明らかになる恐怖の正体。

どれも一級品で、それを巧みに組み合わせることで本書は極上のホラー作品となっています。

はじめは澤村伊智さんの『ぼぎわんが、来る』のようなバトルホラーを想像していましたが、民俗学カルトホラーということで力だけで解決しない知能戦のような要素が強く、思わず一気読みしてしまいました。

幻冬舎から出版されている『ほねがらみ』と合わせて二作目とは思えないほどの完成度で、今年のベスト3には入る衝撃です。

芦花公園さんは間違いなく今後のさらなる活躍が期待される作家だと思うし、次の作品が出たら間違いなく購入します。

本書ですっかりファンになってしまいました。

怖さとポップさが絶妙

ホラー作品ということで、もちろん怖いです。

眼窩の大きい女、ヤンの怖くなるほどの優しさ、得体の知れない呪文や儀式。

どれも知識が不足している段階では何の理解もできず、何が起こるのだろうとビクビクしてしまいました。

一方で、物語が進行するにつれて少しずつヤンのことや彼の信仰するものが明らかになるので、恐怖は和らいでいきます。

その分、るみや青山のキャラクター性が際立つようになり、恐怖の正体を見破るあたりはミステリの推理パートのような爽快感がありました。

登場人物のキャラクターが立っていることと、怖さが適当であることから、ホラーという人を選ぶジャンルにも関わらず多くの読者の期待に応えられるポップな仕上がりになっています。

おわりに

アイディアが出尽くしたようでいて、今でもこれほどの名作が出てくる。

新たな出会いの喜びを久しぶりに感じ、新たな人気作家誕生を感じさせてくれる極上ホラーでした。

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