ホラー
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『人外サーカス』あらすじとネタバレ感想!吸血鬼との壮絶な戦いを描いたサバイバルホラー

harutoautumn
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惨劇に隠された秘密を見抜けるか。究極のサバイバル・ホラーミステリ開幕!吸血鬼vs.サーカス団!
さあ、命懸けのショーを始めましょう。

インクレディブルサーカス所属の手品師・蘭堂は、過去のトラウマを克服して大脱出マジックを成功させるべく、練習に励んでいた。
だが突如、サーカス団が吸血鬼たちに襲われる。残忍で、圧倒的な身体能力と回復力を持つ彼らに団員たちは恐怖するも、クロスボウ、空中ブランコ、オートバイ、アクロバット、猛獣使いなど各々の特技を駆使して命懸けの反撃を試みる……。
惨劇に隠された秘密を見抜けるか。究極のサバイバルホラー!

Amazon商品ページより

本書の帯で小林泰三さんが2020年11月23日にがんで亡くっていたのを知りました。

作家・小林泰三氏ご逝去 東京創元社

小林さんの織り成す世界に魅了されてしばらく経ち、新刊が出るごとに心が弾んでいたことを思い出します。

もう新しい作品が読めないのかと思うと途方もない喪失感に襲われます。

心から小林泰三さんのご冥福をお祈りいたします。

さて、本書の帯には追悼と書かれていますので、小林さんのことを少しでもいいので思いながら読んでいただけれると嬉しいです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

吸血鬼と戦う集団

本書には吸血鬼が登場します。

吸血鬼は人間の二十倍から五十倍の力があり、傷を負っても瞬く間に修復してしまいます。

数百年生きることができ、自分たちの超能力のために血液を求めて人間を襲う。

まさに人間にとって天敵です。

しかし、ただやられるだけではありません。

コンソーシアムという集団はサーカス団を装っていますが、実は吸血鬼を狩るための組織で、武装して吸血鬼に対抗します。

キャプテンのランディをはじめコンソーシアムの面々は吸血鬼たちと激しいバトルをして撃退するものの、クイーンビーというその中で最も強力な吸血鬼を取り逃してしまいます。

吸血鬼の反撃

クイーンビーはミーティアという強力な吸血鬼に命を奪われてしまいますが、一連の出来事は話していました。

ミーティアは群れをなす吸血鬼たちにコンソーシアムがサーカス団に偽装していること、リーダーがランディという名前であることを明かします。

しかし、吸血鬼たちは逃げようとはせず、見つけて排除することを選択。

その後、サーカス団を見つけて確認したところ、団員に蘭堂という手品師がいて、どれもミーティアのもたらした情報に合致します。

こいつらがコンソーシアムだと決めつけた吸血鬼たちは、このインクレディブルサーカスに襲い掛かります。

一方、団員たちも決死の覚悟で立ち向かい、こうして凄惨な戦いの火ぶたが切って落とされたのでした。

感想

小林さんらしいホラー

小林さんのホラーといえばいくつか系統がありますが、本書は『アリス殺し』などに見られる無邪気な残酷さが魅力的です。

それから吸血鬼たちはあまり頭が良くなく、人間の策に何度引っかかっても学習しないので、それによって互角の勝負にまでもっていかれてしまいます。

なぜそんなにアホなんだ。

なぜ詰めが甘いんだ。

人によっては理解に苦しむと読むのを放棄したくなるかもしれません。

本書はそういう流れを楽しむものであり、合理性を求めるのは違うのかなと思っています。

なので細かい部分を気にせず、大雑把に作品の雰囲気を楽しむ人向けです。

仕掛けは分かりやすい

本書には序盤から大きな仕掛けが物語にされているわけですが、それを見破るのはそう難しくありません。

明らかな振りがあり、登場人物たちの反応を見ても一目瞭然。

それでも仕掛けが結末にどう影響するのかまでは推測が難しいと思うので、仕掛けが分かっても本書の楽しさが損なわれたりしないのでご安心ください。

もう少し広がりがほしい

小林さんらしいホラーで楽しめる一方で、吸血鬼との戦闘だけしか描かないのはちょっと広がりに欠けるなと感じました。

バトルを取り入れつつも、吸血鬼討伐にヒントを得ながら少しずつ近づいていくような段階があると、よりメリハリがついて面白かったような気がします。

文庫で三〇〇ページ以上ありますが、ほぼ吸血鬼との戦闘です。

一方的な暴力と駆け引きで緊張感があるのでそこまで冗長とは感じませんでしたが、人を選ぶ作品であるのはまず間違いないかと思います。

おわりに

小林泰三さんの訃報にばかり気をとられ、集中して読めなかった気がします。

もう一度じっくり読む必要がありますが、本書にもまた小林さんらしいブラックユーモアが溢れ、改めて僕にとっての唯一無二の作家さんを無くしてしまったことを教えてくれた作品でした。

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