SF

『四畳半神話大系』あらすじとネタバレ感想!四つの並行世界を舞台にした青春ストーリー

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

「BOOK」データベースより

森見登美彦さんの二作目となる本書。

大学生の青春物語、と思いきやそう簡単な話ではありません。

並行世界を扱ったSF要素もあり、事態を飲み込むまで多少混乱しますが、分かってくるととにかく面白いの一言です。

2010年にアニメ化されていて、その時のインタビューで本書の誕生秘話など語られていますので、時間がある時にぜひ読んでみてください。

祝アニメ化!森見登美彦×上田誠が語る『四畳半神話大系』と京都【前編】

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

後悔の大学生活

物語の主人公は、京都の冴えない大学三回生の私。

私は入学当初、バラ色のキャンパスライフを夢見ていました。

その中で映画サークル『みそぎ』、『弟子求ム』という謎のビラ、ソフトボールサークル『ほんわか』、秘密機関『福猫飯店』の四つに興味を持ち、私は『みそぎ』を選びました。

この先、私の目の前にはバラ色のキャンパスライフが待ち受けているはずでした。

しかし、私の期待を裏切るように何の実益もない二年間で、気が付けば三回生。

最初の章では、この三年間を振り返るという形で物語が進行します。

他人の不幸を喜ぶ同学年の友人・小津や、一年下の理知的でクールな黒髪の乙女・明石さんなどが登場し、彼らはこの物語において重要な役割を果たします。

私は最後に二年間を棒に振ってしまったことを痛感し、『みそぎ』以外の別のビラに決めていれば違った大学生活を送れたはずだと後悔するのでした。

四つの並行世界

二章になると、読者はおや、と思うはず。

一章と同じような描写が多くあり、一方で私が一回生の時に選択したビラが違っているのです。

その選択によって私は一章とは違った二年間を送ることになり、SFに慣れ親しんでいる人であれば並行世界、もしくはifを描いた物語だと気が付くと思います。

しかし、違った選択をしても小津や明石さんは変わらず私の人生に入り込み、結局最後は他のビラに決めていればと後悔します。

本書では、四つのビラそれぞれに従った場合の並行世界が描かれます。

無数の可能性

三章までは同じような展開が繰り返されますが、四章(最終章)では一気にSFに傾きます。

私は自室の四畳半に閉じ込められ、ドアや窓などどこから外に出てもそこには全く同じ四畳半が続いていました。

四畳半から脱出するまで八十日かかりますが、その中で私はこの現象の意味を理解し、これまでと違った選択をします。

それが私の望むキャンパスライフだったかどうかは、ぜひ本書を読んで確かめてみてください。

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感想

戸惑いが新鮮

一章から森見作品らしい捻くれてユーモア溢れる登場人物がたくさん出てくるので、一気に期待値が上がりました。

ところが二章に入ると同じ描写が何度もあるので、最初はかなり戸惑いました。

違うビラを選択した時点で森見さんの意図を理解し、そこからは面白さがさらに加速します。

並行世界について、丁寧に説明されているわけではないので、それを理解する過程がとても新鮮でした。

SF作品にあまり馴染みのない人でも十分理解できる内容なので、臆する必要はありません。

恋愛よりも友情

僕はてっきり『夜は短し歩けよ乙女』と同じく、私と明石さんの恋愛を描く青春物語かと思っていました。

私は二年間を棒に振ったといいつつも、どの並行世界でもちゃっかり明石さんとの恋を成就させているので、ある意味では当たっています。

しかし、その部分の描写は一切ありません。

あるのは小津との時に面白く、時に気持ち悪いやりとりばかりです。

私は小津と出会ったこと自体を後悔していますが、やがてその考え方が変わり、それが行動に反映されるのが本書の最大の見どころです。

本書の青春とは、恋愛がありつつもやはり友情なんだと感じました。

他作品とのリンクがある

本書には森見さんの他作品に登場する人物が登場しています。

分かりやすいところだと『夜は短し歩けよ乙女』に登場する樋口と羽貫です。

小説を読んでもすぐに分かりますが、『四畳半神話大系』のアニメと『夜は短し歩けよ乙女』のアニメ映画を見ればもう一目瞭然です。

全くの同一人物に見えます。

他にもリンクする部分がありますので、それを意識して読む、視聴するのも楽しいと思います。

アニメも秀逸

『夜は短し歩けよ乙女』もそうでしたが、本書のアニメも原作の世界観を全く損ねず、素晴らしい出来になっています。

正直、小説を読むのが面倒であればアニメだけでも見てください。

僕はアマゾンのプライムビデオで見ました。

小説でもアニメでも『四畳半神話大系』という作品の面白さがしっかり発揮されていて、もう片方も見ることでその面白さはさらに深まります。

時間があればぜひ両方を見て、違いを比べてみてください。

おわりに

『夜は短し歩けよ乙女』と並んで森見さんの世界観をこれでもかと表現している作品で、アニメも本当にオススメです。

個人的には小津と明石さんのキャラクターがとにかくはまったので、どちらかというと『夜は短し歩けよ乙女』よりも本書を推します。

本書と上田誠さんの『サマータイムマシン・ブルース』のコラボ作品はこちら。

森見さんの他の作品はこちら。