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『日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人』あらすじとネタバレ感想!作家別傑作選第二弾

harutoautumn
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青春時間SFの傑作『サマー/タイム/トラベラー』の著者が発表してきた短篇小説を集成。十九世紀のメキシコを舞台に『竹取物語』の翻案が繰り広げられる歴史改変SFである表題作をはじめ、情報技術の未来を疾駆するポストサイバーパンクSFや青春小説など多彩な作品集。伴名練=編による作家別傑作選第2弾

Amazon商品ページより

日本SFの臨界点シリーズの一冊である本書。

伴名練さんが編んでいる点は同じですが、今回は新城カズマさんの作品のみで構成されています。

僕は本書を読むまで新城さんの作品を知りませんでしたがSF、非SF問わず非常にバラエティ豊かな作品はどれも面白く、すぐに夢中になってしまいました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

議論の余地はございましょうが

政治家の街頭演説を描いた短編。

候補者である田楽政樹の演説が中心で、基本的にセリフで構成されています。

また交渉選挙法改正にともなってネット選挙が解禁され、デジタル技術を駆使した選挙戦が繰り広げられます。

良い雰囲気で演説が進む中、田楽の眼鏡型スクリーンにコメントが届きます。

それは脅迫文で、立候補を取り下げないと田楽の娘に危害が及ぶという内容でした。

ギルガメッシュ叙事詩を読みすぎた男——H氏に捧ぐ

遠い昔の話。

神様は戦争や犯罪ばかりの世界を嘆き、洪水で全部流すことを思いつきます。

しかし一から作り直す手間を考慮して、出来のよいものは方舟の乗せて助けることにします。

方舟作りをノアという男に依頼し、ここまでは有名なノアの箱舟の話と同様です。

ところがノアはギルガメッシュの叙事詩にハマってしまい、これが予想外の事態を引き起こします。

ちなみにタイトルにあるH氏とは星新一さんのことです。

アンジー・クレーマーによるさよならを

二つのパートに分かれて進行する短編。

片方は古代都市スパルタを舞台にしたもので、もう片方は自らの個人情報を売って他人の遺伝情報を買う少女たちの話。

このブログで『アステリズムに花束を』という百合SFアンソロジーをご紹介しましたが、それに通ずる魅力のある作品です。

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世界終末ピクニック

物理圏と同じような情報圏の『セカイ』を描いた作品。

セカイは運営する銀行が破産したことによって終了することになり、残された時間はあと二時間。

ぼくの仲間のうちNPC(架空人)が一人だけいて、彼女とはセカイと終わりとともにお別れとなります。

そこでぼくたちは最後の瞬間までNPCの彼女と共にいることを選択し、終わりを迎えようとするセカイでピクニックします。

原稿は来週水曜日までに

世界的有名作家であるヒガシイチガヤ・ユウスケは原稿の締め切りに追われていました。

早く書き上げないと、婚約者のエリナは愛想を尽かしてどこかにいなくなってしまうかもしれません。

これだけでも修羅場なのに、ユウスケのもとにとんでもないニュースが飛び込みます。

それは書き上げてもいないユウスケの新作が、来週発売になるというものでした。

マトリカレント

一四五三年。

オスマン帝国軍によって東ローマ帝国は滅亡し、皇宮の女官・テオドラは海に落ちてしまいます。

そんな彼女はアレクシオスという男性に救われ、二年後に目覚めます。

アレクシオスの師匠が見つけた『油』によって人間は海中で長い間生きる力を得ることができ、そんな海中での活動が描かれます。

ジェラルド・L・エアーズ、最後の犯行

中学生の少女、サマンサ・モーリンは学校の授業で、死刑囚に手紙を送ることになります。

それがきっかけで七人もの人を殺害した死刑囚と文通することになりました。

文通は日々に不満を抱くサマンサにとって刺激的なものでしたが、回数を重ねるうちにおかしな雰囲気を醸し出すようになります。

本書において唯一SF要素が含まれていませんが、ぜひ多くの人に知ってほしいと伴名さんによって選ばれました。

月を買った御婦人

表題作。

メキシコ帝国にはアナ・イシドラという十五歳のご令嬢がいて、大変な美貌を誇っています。

そこに五人の求婚者が現れて我こそはとアナを奪い合おうとしますが、彼女は求婚者たちに対してあるものを差し出すよういいます。

それは空に浮かぶ月でした。

『竹取物語』をオマージュした作品で、SF要素を取り入れただけあって思わぬ展開をします。

さよなら三角、また来てリープ

一九七七年。

多くの先進国で映画『スターウォーズ』が上映される中、日本ではまだ上映されていませんでした。

物語の主人公となる高校生三人はそのことに不満を漏らしています。

高校二年生の二学期になると学生たちはみな受験モードに入る状況の中で、三人は文化祭でSF同好会として巨大なヒューマノイドタイプの宇宙船を作ることを決意します。

雨ふりマージ

とある一家の話。

父親を亡くし、母親はリストラにあい、一家で路頭に迷うピンチを迎えます。

そこにAAAAという団体のアナスタシアという女性が現れ、一家に救いの手を差し伸べます。

それによって一家は路頭に迷わずに済みますが、代わりに一家は自然人をやめて架空人になることが決まりました。

感想

あらゆるSFが楽しめる

今回はじめて新城さんの作品を読みましたが、一口にSFといっても非常に多彩で、様々なテイストを味わうことができました。

サスペンス、歴史もの、青春、コメディ。

求められる能力、知識が異なるにも関わらず、どのサブジャンルにおいてもSFと見事に調和して味わい深い作品に仕上がっていました。

また本書には全くSF要素のない作品も一つだけ含まれていますが、これも格別に面白かったです。

僕はミステリが特に好きなので、本書に収録されていることがもうご褒美でした。

伴名さんの解説が素晴らしい

日本SFの臨界点シリーズでは恒例となった伴名さんの解説が多く含まれています。

通常、解説といえば多くても十ページ満たない程度だと思いますが、本書では伴名さんの解説が数十ページにわたって掲載されています。

新城さんのこれまでの経歴にはじまり、各短篇のあらすじ、魅力について解説しています。

これがまた力が入っていて、本当に読者に広めたいという熱意と、新城さんに対する期待や愛情のようなものを感じとることができました。

このシリーズは伴名さんの解説があってこそ成り立つものだと、再認識です。

おわりに

おそらく本書に出会わなければ、新城さんに出会うことはまずなかったと思います。

作品のテイストによって多少合わないものもありましたが、それを加味して次の作品に挑戦してみたいと思えるほどとにかく魅力的な作品ばかりでした。

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