ライトノベル

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻』あらすじとネタバレ感想!自動手記人形のヴァイオレットの人生を描く

『自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)』その名が騒がれたのはもう随分前のこと。 オーランド博士が肉声の言葉を書き記す機械を作った。 当初は愛する妻のためだけに作られた機械だったが、いつしか世界に普及し、それを貸し出し提供する機関も出来た。 「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」 物語から飛び出してきたような格好の金髪碧眼の女は無機質な美しさのまま玲瓏な声でそう言った。 第5回京都アニメーション大賞 初の大賞受賞作!

Amazon商品ページより

本書について、アニメ・映画などで知ったという人も多いと思います。

アニメ、映画とはまた違った、けれど美しくも儚く、時に心温まる物語が本書にもあって、アニメ・映画と合わせて読んで欲しいと思います。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

『小説家と自動手記人形』

小説家のオスカーは妻と娘を亡くし、なんとか立ち直るものの、酒に溺れたせいで手が震えてしまい執筆が出来ない状態になっていました。

そんな中、友人から自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)の話を聞き、早速申し込みます。

オスカーはてっきり人形がやってきて執筆してくれるのかと思いきや、やってきたのはヴァイオレット・エヴァーガーデンと名乗るとても美しい女性でした。

ヴァイオレットが自動手記人形として有能なのが分かった一方で、オスカーは誰かと一緒に暮らすことの喜びを思い出し、やがてヴァイオレットにとあうお願いをします。

『少女と自動手記人形』

九歳の少女・アンの家に自動手記人形のヴァイオレットが訪れます。

依頼主はアンの母親でした。

病に侵されている母親は誰かに向けて手紙を書くつもりですが、誰なのかは教えてくれません。

アンは大好きな母親をヴァイオレットにとられて、当然良い気持ちはしません。

そして、自分よりもヴァイオレットと一緒にいることを優先する母親にも腹を立てますが、やがてアンはなぜ母親がヴァイオレットを呼んだのかを知ります。

『青年と自動手記人形』

エイダン・フィールドはプロの野球選手になることを目指していましたが、兵士として戦争に駆り出され、今ピンチに陥っていました。

仲間が一人ずつ殺され、自分も敵の餌食になろうとしたその時、空から一人の人間が降ってきます。

それは人形のように美しい女性でした。

『学者と自動手記人形』

リオンは写本の仕事に誇りを持ち、女性に対して異常なほどの敵意を抱いていました。

ある日、貴重な文献の写本をするために自動手記人形が大人数呼ばれ、写本課の人間と一人ずつ組んで仕事をすることになりました。

リオンの相手は、ヴァイオレットでした。

ヴァイオレットに対して、どうせ娼婦のようなものだと敵意を見せるリオンですが、彼女の仕事ぶりや誠実な態度を見て次第に惹かれるようになっていました。

『囚人と自動手記人形』

ヴァイオレットが訪れたのは、刑務所。

この中の囚人が今回の依頼主でした。

いつも通りの依頼のはずが、今回は違いました。

依頼主の囚人は戦場でヴァイオレットと会ったことがあるのだといい、ここで少しだけヴァイオレットの過去が明かされます。

『少佐と自動手記人形』

ブーゲンビリア家二十六代目当主・ギルベルトは兄・ディートフリートから昇格祝いをもらいます。

しかし、それはただの昇格祝いではありません。

昇格祝いは、名前のない少女でした。

少女は大人でも敵わないほどの殺人技術を身に着けていて、主人の命令にだけ従う狂犬のような存在です。

ギルベルトはせめて少女のためにと正しく兵器で使うことを誓いますが、やがてヴァイオレットと名付けます。

不器用ながらも自分の知ることを教え、少しずつ人間に近づくヴァイオレット。

しかし、戦争は二人のささやかな日々を許してはくれませんでした。

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感想

小説だから表現できるヴァイオレット

僕はどうしてもアニメ、映画から入ってしまったので、先入観ありきで本書を読んでいます。

映像が良かっただけに、その良い思い出が崩れると嫌だな、と後ろ向きな気持ちを抱えて読み始めましたが、そんな気持ちは開始十数ページで吹き飛びました。

アニメなどと違い、徹底的に依頼者側から描かれるヴァイオレットはその美しさ、無表情からより非現実的で、一見血が通っていないように見えます。

しかし、言葉を交わす中で彼女の中に隠された温かい心が見えてきて、口数が少ない分、その言葉が誰の言葉よりも誠実で嘘をついていないかが分かります。

男性はもちろんですが、同性の女性であっても彼女と再び会いたいと願ってしまうのも無理ありません。

最後にはヴァイオレットがどのようにして自動手記人形になったのかの一部が描かれていますが、途中で終わっています。

本書に魅了されたという人は、ぜひ下巻も手にとってみてください。

手にいれにくい

せっかく素晴らしい内容なのに、本書は手にいれにくいというのが現状です。

定価で648円(税抜)ですが、書店に置いてあることはまれで、僕は『とらのあな』や『メロンブックス』まで探しましたが見つけることは出来ませんでした。

結局、Amazonで1,000円以上で購入することになり、妙なモヤモヤを抱えてしまいました。

著者の暁佳奈さんには申し訳ないです。

電子書籍化もされていないので、ぜひ流通面を改善を願います。

埋もれさせるにはもったいない作品です。

多少人を選ぶ

多少否定的な意見も書いておくと、本書は少なからず読む人を選ぶと思います。

ライトノベルとして非常に整った文章なのでそこはあまり問題にならないかと思いますが、描写のくどさが少し気になりました。

ヴァイオレットが美しい、という点がアニメなど以上に強調され、出会う男性のほとんどが彼女を意識し、良からぬことを妄想する人も少なくありません。

さらにヴァイオレットの容姿に対する描写がかなり盛り盛りで、それを何度もされてしまうとさすがにくどさを感じます。

僕はヴァイオレット自身もそうですが、それ以上に手紙という媒体で伝えられる思いについて共感し、感動する部分が多々あったので、そちらをもっと強調してもらえるとより嬉しかったなという気がします。

定価以上の値段ゆえに気軽に手に取りにくい部分がネックですが、すでにアニメ・映画に触れてヴァイオレット・エヴァーガーデンが好きだという人には、ぜひ手に取ってほしいと言うのが本音です。

おわりに

本書から入る人、アニメや映画から入る人ともに満足できる内容で、ライトノベルの中でも頭一つ以上抜けている印象です。

美しい物語が好きという人は必見です。

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