『有頂天家族 二代目の帰朝』あらすじとネタバレ感想!平和が再び揺らぐシリーズ第二弾
狸の名門下鴨家の三男・矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。「面白きことは良きことなり」という父の教えを胸に、誰もが恐れる天狗や人間にちょっかいを出しては、愉快に過ごしていた。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎである“二代目”が英国より帰朝。狸界は大混迷し、平和な街の気配が一変する。しかも、人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を懲りずに探している…。阿呆の誇りを賭けて、尊敬すべき師を、愛する者たちを、毛深き命を守れ!待ちに待った毛玉物語、再び。愛おしさと切なさで落涙必至の感動巨編。
「BOOK」データベースより
有頂天家族シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
前作同様、こちらもアニメ化されています。
赤玉先生と二代目の対立が見られたり、弁天の珍しく弱った姿が見られたり、矢一郎や矢三郎の恋愛模様が見られたりと、内容が前作以上に盛り沢山です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
二代目の帰朝
矢三郎と矢四郎が鞍馬天狗の縄張りでツチノコを探していると、鞍馬天狗たちに見つかっていざこざが起きてしまいます。
矢三郎は矢四郎を守るために抵抗しようとしますが、そこに一人の英国紳士風の男が現れます。
男は如意ケ嶽薬師坊(赤玉先生)の跡継ぎ、つまり二代目でした。
二人の関係は良好とはいえず、大正時代、一人の女性を巡った大喧嘩の末に二代目は敗れ、百年もの間姿を消していました。
イギリスから戻った二代目は赤玉先生にこれまでの恨みを晴らそうとしていましたが、矢三郎はうまく誤魔化しながら二人の対決を未然に防ぎます。
しかし、問題はそれだけではありませんでした。
しばらく日本を離れていた弁天が戻ってきますが、彼女がまたしても問題の中核になります。
弁天はかつて二代目の好意に応えなかった女性そっくりで、二代目とイギリスで会うと恨みを買うようになります。
弁天がこれを受けて立つ形になり、天狗たちの壮絶な戦いに狸や人間が巻き込まれる図式が出来上がりました。
早雲の野望
問題はこれだけではありません。
前作の偽右衛門選挙での暗躍が明るみになったことで姿を消した早雲ですが、本書においても懲りずに登場し、またしても悪事を働きます。
元々他を寄せ付けないほどの性格の悪さをしていましたが、本書では矢三郎への憎しみなど負のオーラをさらにまとい、狸たちに復讐しようと動きを見せます。
執念深く手がつけられない一方で、理解できる部分もあり、本書においても様々な面で魅力を見せてくれます。
下鴨四兄弟の今後
本書では下鴨四兄弟それぞれに変化が訪れます。
分かりやすいところだと恋愛面で、これに該当するのが矢一郎と矢三郎です。
矢一郎には同じく赤玉先生の門下生で、共に先生の助手を務めた南禅寺玉欄という狸がおり、玉欄が本書に初登場した時点で二人は相思相愛でした。
しかし、不器用な二人は少しも距離を縮めることができず、周囲がヤキモキしてばかり。
本書ではその二人がどのようにして距離を縮めていくのかが描かれます。
また元婚約者という立ち位置のまま、何とも言えない関係に落ち着いていた矢三郎と海星ですが、この二人にも変化が訪れます。
海星がなぜ矢三郎に姿を見せないのか。
その謎がようやく明かされるので、シリーズを通して読んできた読者はかなりスッキリすると思います。
それから矢二郎、矢四郎についても、それぞれ変化があります。
四人の兄弟が成長して、下鴨総一郎の息子として活躍する姿は清々しく、それでいて別れを感じさせる哀愁もあり、複雑な気持ちがします。
感想
前作以上のアップダウン
前作は矢三郎たち狸に焦点が置かれていましたが、本書では赤玉先生と二代目という天狗サイドの問題が大きく取り上げられます。
弁天にすがるだけの悲しい老天狗と、気力十分の二代目。
傍から見て赤玉先生に勝ち目がないように思えますが、さすがは如意ケ嶽薬師坊。
前作にはなかったカッコ良い部分を見せてくれ、本書でかなり見直しました。
先生と狸たちから慕われるのも頷ける活躍です。
もちろん天狗サイドだけでなく、狸や人間もそれぞれ好き勝手に暴れまわります。
前作以上に笑いだけでなく怒り、悲しみなどあらゆる方面の感情に振り切れていて、メリハリがつきまくりです。
文庫で五〇〇ページ以上ありますが、その長さを感じさせない面白さでした。
弁天の今後
本書の見どころとして外せないのが、前作になかった弁天の新たな一面です。
高慢で自分勝手で、けれどどこか憎めない弁天。
そんな余裕の弁天ですが、本書では二代目に苦渋を味合わされたり、彼女が見せるとはこれっぽっちも思わなかった弱った姿を披露したりします。
その姿は前作までの無敵感はなく、人間らしい一面といえるかもしれません。
アニメもご一緒に
本書のアニメである『有頂天家族2』を見ましたが、出来たらセットで見ることをおすすめします。
前作以上に想像だけでは補いきれない面白さがあり、アニメがその部分をうまく映像化してくれています。
僕はアニメ→小説という順番だったので、アニメで見たことを小説で確認・細かい隙間を埋めていくという楽しみ方が出来ました。
もちろん小説である程度把握し、アニメで想像しきれなかった部分を補うのも良いと思います。
次回で最終作
有頂天家族シリーズは三部作を予定していて、最終作である第三弾は『天狗対戦』というサブタイトルがつけられる予定になっています。
タイトルそのままの内容に思えますが、『有頂天家族2』開始にあたっての森見さんへのインタビューを見る限り、まだ内容はそこまで固まっていないようです。
第三弾を渇望されていますが、内容を妥協するつもりはないという意思がしっかり見られ、時間がかかっても作者・読者共に納得のいく出来の作品が出てくる予感しかしません。
気になることはたくさんありますが、一番は矢三郎と弁天の行く末です。
本書は弁天と矢三郎の会話で幕を閉じるのですが、それが印象的で、いくら考えても良い案が思いつかないほど解決の難しい問題をはらんでいます。
狸と人間(かつ天狗)はどんな未来を得ることが出来るのか。
ぜひ注目したいと思います。
おわりに
森見さんの作品はどれも好きですが、その中でも本シリーズは人生そのものを描いたような等身大の喜怒哀楽に満ちていて、本書を読んで一番好きと言えるほどに愛着が膨らみました。
次作で彼らとお別れを告げることに寂しさを覚えますが、ぜひ読者だけでなく森見さんご自身が納得のいく形で物語を締めくくってもらえれば、言うことはありません。
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