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桜庭一樹『推定少女』あらすじとネタバレ感想!いくつもの結末が用意された成長小説

harutoautumn
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「あんまりがんばらずに、生きていきたいなぁ」巣篭カナは、そんな言葉を呟いてしまう15歳の少女。ある夜、家族とのトラブルから家出し、町のダストシュートで、とんでもないものを発見する。―それは、銃を握ったまま眠る全裸の少女だった!UFO出現と銃撃事件で大騒ぎの町を、眠りから覚めた少女“白雪”とカナは逃亡する。東京へ着いたふたりは火器戦士の千晴に出会い行動を共にするが、そこへ黒い謎の影が―!?新世代青春エンタテイメント登場。

「BOOK」データベースより

桜庭一樹さんの初期作品である本書。

思春期の微妙で揺れ動く繊細な感性が瑞々しく描かれていて、あの時代だからこそ感じられる自由、閉塞感が魅力的でした。

また本書の角川文庫版にはエンディングが三つ用意されていて、読者のもしも、という妄想を見事に補完してくれています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

逃走

十五歳の巣籠カナは母親と、五年前に再婚した義父と暮らしていました。

義父が苦手でしたが、ある日、母親が出かけて家で二人きりになります。

テレビではカナの住む田舎町で未確認飛行物体が目撃されたことを報道されていました。

その時、カナはおかしな気配を感じて窓の外に目を向けると視界がブラックアウトし、気が付くと家の前にパトカーと救急車が止まっていました。

隣の家の庭には義父が倒れていて、隣人はカナがまるで義父に危害を加えて犯人のように怒鳴ります。

カナ自身に覚えはありませんが、このままここにいては警察に捕まることは確実です。

冷静な思考の働かないカナは慌てて逃げ出し、あてもなく街に飛び出します。

不思議な少女

カナは警察から隠れようと街の路地裏にあるダストシュートを開けますが、そこには先客がいました。

裸の、カナと同じ年くらいの少女でした。

はじめ死んでいるように見えましたが、少女は目を開けます。

少女は自分が誰で、なぜここにいるのか分からない様子で、記憶喪失のようでした。

裸でこんなところにいる時点で普通ではありませんが、決定的におかしいのは彼女の体の上に拳銃が転がっていることでした。

少女はカナの説明を受けても状況をうまく飲み込めませんが、なぜかカナと一緒に逃げることになりました。

少女の希望によりカナが仮の名前をつけることになり、雪みたいに白いことから『白雪』と名付けることにしました。

白雪の正体

カナは白雪と共に行動する中で、白雪の正体に興味を抱きます。

白雪は突然、宇宙の話を始めますがカナの知らない内容ばかりで、所々聞き取れない言葉が混じります。

未確認飛行物体が目撃されていることから、白雪はそれに乗っていた宇宙人なのではという妄想が脳裏をよぎります。

また、白雪は『あやにょこ』という言葉を口にしますが、そのことについて追及するとあからさまに避けます。

同時期、少女が誘拐される事件が発生していて、いまだに行方不明のままということから、白雪が事件と関係しているという可能性もあります。

カナはいつまで逃亡すれば良いのか。

日常にはもう戻れないのか。

白雪の正体は何なのか。

物語はやがて三つの結末に分岐しますので、ぜひその全てを堪能してください。

感想

誰もが通る思春期

桜庭さんの『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』を読んだ時にも思いましたが、思春期の難しい、複雑な心情を描くのが上手いと改めて感心させられました。

あとがきにて、桜庭さんは自身の十五歳の時の心境について『きゅうきゅうきゅう!』、『ぐるぐる』といった言葉を用いて表現していますが、これが何となく理解できてしまうのだから言葉のチョイスが巧みで的確であることが分かります。

感覚から生まれた言葉を下手に説明せず、感覚のまま届ける。

これが出来る作家さんはそう多くないと思うので、本書は本当に貴重な読書体験となりました。

結末を決めるのは読者

冒頭に書いた通り、本書には三つのエンディングが用意されています。

ファミ通文庫版では『戦場』が結末でしたが、本書ではその他に二つのエンディングがあり、どれを読むかによって物語が微妙に変化します。

どれが正解かは明記されていないので、一番ふさわしい結末を選ぶのは読者自身になります。

ただ最初に書いておくと、どれを選んでも単純明快な結末というわけではありません。

説明がなされていない部分があり曖昧さが残りますが、僕はこの答えが出ない感じも青春時代ならではと思うので、これはこれで良かったのではないでしょうか。

読者の選択によって物語が変わるという感覚が、ずっと前に読んだゲームブックを読んでいた時のものに似ていて、どこか懐かしくもありました。

おわりに

何気ない言葉、文章の一つ一つに瑞々しい感性が込められ、これ以上なくその世界観に引きずり込んでくれる良作でした。

桜庭さんの作品としてやや知名度の低いところがありますが、これを読まずに桜庭さんのことを知ることは出来ません。

ページ数的にも割と手軽に読める作品なので、ぜひ手にとってみてください。

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