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『水晶のピラミッド』あらすじとネタバレ感想!時代を超えて繋がる壮大なミステリ

harutoautumn
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エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが500年の時空を超えて突然蘇り、空中30メートルの密室で男が溺死を遂げる。アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格推理の名作。

「BOOK」データベースより

御手洗潔シリーズ第七弾となる本書。

前の話はこちら。

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最初は時代も登場人物もシリーズに関係ないところで進行するので、かなり戸惑うと思います。

しかし、それがやがて現代と繋がり、壮大な物語に繋がっていくので、腰をじっくり落ち着けて楽しんでいただくことをオススメします。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

少女

舞台は、はるか昔のエジプト。

マーデュという島に住むミクルという少女は、ここしか世界を知りません。

外の世界はどれだけ広く、どれだけ素敵なのだろう。

思いを馳せる彼女の前に、ある日、大きな箱が川の上流から流れていきます。

中から人の声が聞こえ、開けるとそこには消耗しきった男性がいました。

約束

男性はディッカと名乗り、ギザという都市から来たのだといいます。

ミクルはディッカを介抱して、やがて彼は元気を取り戻します。

ディッカは都市のことを教えてくれ、そこはひどいところだと言いました。

しかし、ミクルにとっては魅力的でしかなく、都市への憧れを強くします。

やがてディッカは島を去りますが、去り際にギザに来る時には、一番大きな家を訪ねるよう言い残すのでした。

ミクルは都市、そしてディッカへの思いを断ち切ることができず、二年後、島を出てギザを目指します。

場面転換

本書ではミクルの話に加え、場面や時代を変えてタイタニック号のこと、そして前作にも登場したレオナの映画撮影シーンが描かれます。

四〇〇ページくらいまでそれぞれが独立して展開するので、読者にはなぜそのシーンが描かれるのかが理解できません。

さらにシリーズの代名詞である御手洗が登場しないので、不安にもなります。

しかし、レオナがピンチに陥った時、彼に助けを求めたことをきっかけに物語は一気に動き出し、大きな一つの作品へと収束していきます。

感想

新たな取り組み

御手洗潔シリーズといえば、御手洗と石岡を中心とした作品というイメージが強いので、本書には本当に面喰いました。

いつまで経っても主役が登場しないし、ミクルの話しをはじめとして、なぜそのシーンを描いているのかが理解できない。

そんな状態で四〇〇ページも進むので、普通の小説であればとっくに終了しています。

本当に面白くなるのか?とずっと不安でした。

しかし、どの話も独立して面白かったので、御手洗たちの登場まで我慢できたのかなと思います。

こういった手法はかなり斬新だったので、盤石となったシリーズでもチャレンジを忘れない姿勢は良かったなと思います。

うーん

挑戦という意味では良かったですが、面白かったかというと個人的には微妙です。

壮大なストーリーは惹きつけられ、盛り上がる状況は出来上がっていました。

しかし、それに対して事件自体がこじんまりしていて、それを描くだけであればぐっと濃縮してよかったのでは?と思わずにはいられません。

御手洗潔シリーズだから超長編にしないといけないわけではないし、だとするとなぜこの作品になったのだろう?と疑問が最後まで残りました。

もちろんレオナを加えた御手洗、石岡のやりとり自体は見られて良かったので、中和されて読んで良かったとも、悪かったとも振り切れないのが正直なところです。

おわりに

シリーズを読み進めているところですが、他の未読作品を考慮すると、読む優先順位は落ちてしまいました。

面白いけれど、がっかりするかもしれない。

そんな懸念が生れてしまったので、次作にはそんなことがないよう期待したいところです。

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