ミステリー

『クララ殺し』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。

【「BOOK」データベースより】

『アリス殺し』の姉妹編となる本書。

単独作品というよりは、『アリス殺し』を読んだ上でないと設定や背景を理解するのが難しいかもしれません。

未読の方はこちらもどうぞ。

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また前作は『不思議の国のアリス』をモチーフにしていたので、世界観や登場人物に親しみがあり、すんなりと読むことができました。

ところが本書は十九世紀初頭に活躍したドイツの作家、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの小説がモチーフになっているので、少しとっつきにくい部分があります。

そういった点で『アリス殺し』に比べると人を選ぶ作品になってしまいますが、その分、面白さは健在です。

前作よりもさらに複雑になっていますので、この記事が頭の整理に役立つと幸いです。

 

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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登場人物

本書には数多くの人物が登場します。

全ての人物が重要というわけではありませんが、主要人物をここに挙げます。

記事を読んでいて頭がこんがらがってきたら、こちらをご参照ください。

地球側

井森建

〈不思議の国〉の夢をよく見る大学院生

 

露天くらら

車椅子の美少女。命を狙われている

 

ドロッセルマイアー

大学教授。くららのおじ

 

諸星隼人

くららの知人。作家

 

新藤礼都(しんどうれつ)

怜悧な女性。井森の捜査を手伝う。

ホフマン宇宙側

ビル

人語を解する蜥蜴。〈不思議の国〉の住人

 

クララ

医学顧問官シュタールバウムの娘

 

ドロッセルマイアー

上級裁判所の判事

 

スパランツァーニ教授

物理学者にして発明家

 

ナターナエル

スパランツァーニの教え子

 

オリンピア

スパランツァーニが造った自動人形(オートマータ)

 

コッペリウス

弁護士。ときおりコッポラあるいは砂男を名乗る

 

マリー

クララの友人。人形

 

ピルリパート

クララの友人。呪いにかかった姫

 

ゼルペンティーナ

クララの友人。実体は蛇の精霊

 

マドモワゼル・ド・スキュデリ

怜悧な老嬢。ビルと共に捜査する

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さらに別の世界

不思議の国において道に迷った蜥蜴のビルは、いつの間にか見知らぬ湖にたどり着き、車椅子に乗った少女・クララと判事であるドロッセルマイアーという老人に出会います。

前作にて、地球と不思議の国にはリンクがあり、ビルは地球では井森という大学院生と意識を共有していることはすでに説明されていて、本作でもその設定は引き継がれています。

ビルにとって井森は『アーヴァタール』という存在で、ドロッセルマイアーとクララはなぜか地球のこと、アーヴァタールのことを知っていました。

しかし、ここは地球でも不思議の国でもありませんでした。

ビルはいつの間にか境界線を飛び越え、別の世界に来てしまったのです。

後にこの世界のことを『ホフマン宇宙』と呼ぶことが決まります。

ドロッセルマイアーはビルに利用価値を見出し、地球で会うために井森について話させます。

 

そして井森が夢から覚めて大学に向かうと、校門の前に車椅子に乗った、クララそっくりな少女を見つけます。

彼女の名前は露店くららといい、井森の本体がビルであることを知っていました。

そして、彼女はなぜか命を狙われているのだといいます。

くららは叔父を訪ねてきたのだといい、井森が彼女を案内します。

待っていたのはホフマン宇宙でクララと一緒にいた老人と全く同じ容姿の老人で、彼の名前もまたドロッセルマイアーといい、大学教授でした。

井森は二人が本体と瓜二つであることに驚きが隠せませんが、ドロッセルマイアーはホフマン宇宙と地球が比較的似ているため、容姿も似るのではと仮説を立て、井森もひとまず納得します。

脅迫状

二人が井森に接触した理由として、一枚の手紙を見せてきます。

そこにはくららの命を狙う人物からの言葉が書かれていて、彼女は実際、今週だけで五回も車に轢かれかけていました。

井森は警察に渡すことを提案しますが、ドロッセルマイアーはそれを拒否。

犯行はホフマン宇宙で行われるため、証拠は見つからないと断言します。

二つの世界はリンクしているため、ホフマン宇宙で殺人を犯せば、殺害された人物のアーヴァタールも死ぬことになります。

地球側では実際の犯行が行われたわけではないため、証拠は残らないというわけです。

また手紙はくららの本体の元にも送られてきているため、犯人はリンクのことを熟知していることになります。

ドロッセルマイアーは、井森とビル、両方から捜査をするよう依頼。

井森は渋々了承しますが、ビルの能力では心許ないため、彼の相談者となる人物を選んでほしいとお願いし、ドロッセルマイアーはそれを了承するのでした。

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落とし穴

ビルはドロッセルマイアーから相談役として推薦された探偵と会います。

彼は本業は弁護士、名前をコッペリウスといいますが、砂男、または晴雨計売りのコッポラと様々な名前を持っていました。

ビルは捜査協力をお願いしますが、コッペリウスはドロッセルマイアー自身が言いに来いと拒否。

追い返されてしまいます。

地球にて、井森はコッペリウスからの伝言をドロッセルマイアーに言いますが、彼もまた行きたくないと拒否。

数日内に別の協力者を探してくれることになりました。

くららのケガはほとんど治っていて、車椅子から降りると井森と一緒に事故のあった現場に向かいます。

現場でくららの知人・諸星と会い、彼はビルのことを知っていました。つまり、誰かのアーヴァタールということになります。

彼と別れると、くららが事故当時、双眼鏡で彼女のことを見ていた人物がいたと証言。

くららはその人物の立っていた場所に向かいますが、その瞬間、落とし穴に落ちてしまいます。

井森は助けようとしますが、自分も落ちてしまいます。

穴の底には鋭く尖った木の棒が立っていて、彼は落ちていく中でくららがそれに貫かれるのを目撃。

自分もまた貫かれると思った瞬間、意識が途切れるのでした。

共同捜査

ビルはくららが死んだことを口にしますが、誰も信じてくれません。

そんな中、話を聞いてくれたのがスキュデリという女性でした。

そこにドロッセルマイアーがやってきて、くららを死なせてしまったビル=井森のことを責めます。

しかし、スキュデリが間に入り、話を整理。

井森は死んだはずなのに、なぜビルは生きているのか。

ここから地球とホフマン宇宙は対等ではなく、地球のアーヴァタールが亡くなっても、ホフマン宇宙にいる本体には影響ないということになります。

つまり、くららが亡くなったとしても、クララは生きていることになります。

クララは生前、友人であるマリー、ピルリパート、ゼルペンティーナがカーニバルの山車(だし)に乗るのを見たと言っていたため、三人に彼女の行方を聞きます。

しかし、三人はクララを見ていないといいます。

またカーニバルの最中、三人は一度も山車から降りておらず、カーニバルが終わったのはくららが亡くなった後のため、三人にはアリバイがあるということになります。

その後、スキュデリはビル一人では捜査に無理があると判断。

一緒に捜査に参加させてほしいと提案し、渋るドロッセルマイアーになんとか認めさせるのでした。

最後に、スキュデリのアーヴァタールが地球にいる可能性が提示されます。

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二度目の死

死んだはずの井森はいつものようにベッドで目を覚まし、誰もそのことに違和感を覚えていません。

このことから、ビルが生きていれば、井森が死ぬ前にリセットされるのではないかという仮説が立ちます。

何があったのか確かめるべく、落とし穴に向かう井森。

ところがそこにくららの死体はなく、底に血がついているだけでした。

安全に穴の底に降りる方法はないかと考えていると、新藤礼都という女性から声を掛けられます。

彼女はドロッセルマイアーに雇われ、くらら殺しの捜査をしていました。

礼都もまた地球とホフマン宇宙の関係を知っていて、向こうで犯行が行われたため、こちらでの捜査は意味がないと考えています。

穴の底にはあるはずのくららの死体がなく、誰かに持ち去られた後でした。

そこで周辺に住む諸星が目撃していないか聞こうとしますが、彼は旅客機の事故で亡くなっていました。

ところが、生きている諸星と遭遇。

彼は死んだはずでしたが、遺体安置所で蘇生したのだといいます。

井森と同様のケースに思えましたが、諸星の本体はナターナエルという青年であり、すでに亡くなっています。

このことから、地球の人物が蘇生しても、ホフマン宇宙の本体は蘇生しないことが分かります。

その後、礼都と別れた井森はもう一度落とし穴を調べますが、何者かから押され、穴に落下してまたしても死亡するのでした。

三度目の死

ホフマン宇宙にて、クララの友人である人形のマリーは自分の推理を披露します。

それはクララはもう死んでいるというものでした。

根拠として、もしクララが生きていれば、地球のくららの遺体は存在しないはず。

しかし、落とし穴の調査を邪魔したということは、くららの遺体が確かにそこにあったということになります。

スキュデリは推理に穴がないことを認めた上で、正しいかどうかは保留します。

一方、犯人の動機が見えてこないため、捜査はなかなか進展しません。

 

その後、地球にてくららの死体が近くの川で発見されます。

もしくららが井森と同じタイミングで死亡していれば、蘇生のタイミングも同じでなければおかしいことになります。

これでクララ殺害→くらら死亡ということになり、そのことを念頭に置きながら犯人を捜すことにします。

井森は地球側で捜査をするのは難しいと判断し、ホフマン宇宙にて、関係者から証言を集めることを提案。

スキュデリとビルは関係者から話を聞き、ビルには理解できませんでしたが、スキュデリは手ごたえを感じます。

一方、井森は事件解決の鍵を握るスキュデリのアーヴァタールを探す必要があると感じ、くららの死体が発見された川に向かいます。

そこにくらら殺害に関係する人物が現れるのではと睨んだ井森。

すると、高齢の男性・岡崎徳三郎、通称徳さんが声を掛けてきます。

ある程度ぼかしながら事情を話すと、徳さんは警察の知らない側面、井森にしか捜査できない現場があるのではと進言。

井森は再び落とし穴に向かいます。

彼は慎重に底に降りると、そこには白い紙きれがあり、こう書かれていました。

……もしわたしが本当に死んでしまったら、クララを探してください。マリーのことは気にする必要はありません。……

次の瞬間、井森は紐のようなもので首を絞められ、三度目の死を迎えるのでした。

スキュデリの考え

これまでの証言などから、スキュデリはマリーが事件に深く関与していることを確信し、その行方を捜していました。

その根拠として、彼女はクララの捜索よりも犯人の捜査を優先してほしいと口にしていました。

マリーにはアリバイがあり、それをスキュデリたちに明言してほしかったからです。

しかし、このアリバイ自体が都合が良すぎるため、逆にマリーがこのタイミングを見計らったとしか思えず、そこから彼女の事件への関与が考えられます。

ところが、ここでマリーの遺体が発見され、捜査は振り出しに戻ったかに思えました。

スキュデリは複雑な人違いがあったのだと一人納得し、ビルにそっと耳打ちをします

その内容は井森に伝えたかったもので、彼はそれを地球のドロッセルマイアー、礼都に伝えます。

一つは落とし穴の中の血痕のDNA鑑定。

これは礼都が担当することになり、重要なのはもう一つの方です。

それはスキュデリがホフマン宇宙のドロッセルマイアーに直接依頼したことで、『くららが車椅子に乗っている間に行った場所を全てピックアップして、一覧表にしてほしい』という内容でした。

これに対して地球のドロッセルマイアーは、今日中には渡せると答えるのでした。

四度目の死

証人となる第三者の目がある中で、スキュデリはドロッセルマイアー、ビルに対して推理を披露します。

スキュデリはドロッセルマイアーに対して、井森から依頼された内容について答えるよういいますが、一覧表については知らないようです。

さらにその件について、スキュデリはホフマン宇宙のドロッセルマイアーにも直接依頼したと井森は言いましたが、それはスキュデリが井森に対してついた嘘で、そんな依頼はしていません。

しかし、地球のドロッセルマイアーは、あたかもその依頼をスキュデリから受けたかのように答えています。

ここから導き出されること。

それは地球のドロッセルマイアーは、ホフマン宇宙のドロッセルマイアーのアーヴァタールではないということです。

ドロッセルマイアーはそのことを認めます。

井森はこのことを礼都に相談しますが、彼女は依頼主であるドロッセルマイアーの味方で、スキュデリに嘘がバレてしまったことを伝えてしまいます。

ドロッセルマイアーは誰のアーヴァタールかは言いませんが、井森にあることを教えようと落とし穴のところに行きます。

DNA鑑定の結果、落とし穴にあった血はくららのものでした。

井森は改めて落とし穴を観察しますが、その隙にドロッセルマイアーに逃げられてしまいます。

さらに背後に気配を感じると、気が付いた時には頸動脈を切られていて、四度目の死を迎えることになります。

真実

ようやくスキュデリの推理がまとまり、関係者を広場に集めて披露します。

スキュデリはドロッセルマイアーをさらに追い詰め、話は井森の身長のことになります。

これに対してドロッセルマイアーは、あたかも自分で見たかのような答えを口にします。

つまり、ドロッセルマイアーのアーヴァタールは地球にいることになります。

ドロッセルマイアーがこうまでして偽装工作をした理由。

それは井森/ビルを騙し、彼を通じてクララ殺しの捜査官を騙すことにありました。

スキュデリはいいます。

ドロッセルマイアーは、マリーの協力者だと。

マリーのトリックは『人違い』にありました。

まず井森にドロッセルマイアー/ドロッセルマイアー、くらら/クララと思わせることで、ホフマン宇宙では本体とアーヴァタールが似ていると信じ込ませます。

つまり、くららはクララのアーヴァタールではないということになり、くららが自殺したという考えが出てきます。

そうすることでくららの死亡時刻=クララの死亡時刻と思いこませたのです。

くららの死体は後日、見つかっていますが、これは自殺して一度蘇生し、改めて殺害されたのです。

ホフマン宇宙で見つかっているのはマリーの死体のみ。

つまり、くららはマリーのアーヴァタールというのは最も合理的な結論です。

ではなぜマリーのアーヴァタールはクララのアーヴァタールのふりをして、クララの死亡推定時刻を偽装する必要があったのか。

それは『クララ殺し』ついて、マリーから疑いの目を逸らすためです。

スキュデリは、『クララ殺し』を計画したのはマリーだといいます。

アリバイを考えると、山車に乗る前にクララを殺害しないと、くららと死亡時刻に齟齬が出てしまいますが、何らかの理由でそれが出来なくなり、山車から降りた後でクララを殺害することにしたのです。

ここまでスキュデリが説明したところで、動機について口を開いたのはドロッセルマイアーとコッペリウスでした。

彼らはゲームをしていて、その下準備としてマリーとクララを入れ替えたのだといいます。

はじめは、シュタールバウム家の長女がマリーで、彼女の持つ人形がクララでした。

そこで彼らはこの二人を改造し、周囲の人間の記憶を書き換え、クララを人間、マリーを人形にしたのです。

そして二人にはこのことを知らせず、向こうから相談に来た場合は話に乗ることを決めていました。

ドロッセルマイアーに話を持ってくればコッペリウスを悪者に、コッペリウスに話を持ってくればドロッセルマイアーを悪者にする。

さらに当事者が立てた計画の中身には向こうが説明するまで詮索せず、最終的にクララとマリーのどちらが勝つのかを競っていたのです。

まず話を持ってきたのはマリーで、相手はドロッセルマイアーです。

彼女は周囲の反応から自分は元々人間で、クララと入れ替わったために人形になってしまったのではないかと疑っていました。

ドロッセルマイアーはコッペリウスが犯人なのではと教え、マリーの考えるクララへの復讐に協力することに。

マリーは自分のアーヴァタールがくららであることを明かし、ドロッセルマイアーに自分に良く似た人物を用意して、アーヴァタールに思いこませるよう指示します。

全ては、クララのアーヴァタールがくららだと思わせるためです。

そこでドロッセルマイアーは自分に似た人物を募集し、見つけます。

それが例の大学教授でした。

また、ビルがホフマン宇宙に迷い込んできたことで、彼を騙すことに決めます。

そして、マリーのアーヴァタールであるくららは狂言自殺をするのでした。

ここまで話を聞いて、スキュデリはクララのアーヴァタールが大学教授なのではと考えます。

クララならドロッセルマイアーの容姿を知っているため、募集要項を見てマリーが何か計画していることを知ります。

またくららに会ったことで、マリーのアーヴァタールだと気が付いたのです。

そしてマリーの計画を利用し、クララはマリーへの復讐計画を立てます。

クララが殺されたということになれば、アリバイを作る必要がないからです。

スキュデリは、クララはこの中にいるとして、指名したのはオートマータであるオリンピアでした。

彼女を聴取をした際、彼女が『論理的にマリーは犯人ではない、被害者なのだから』と答えたことで、オリンピアがクララだと気が付くことができました。

この時点で、スキュデリは誰の遺体が発見されたことまでは言っていないため、マリーだと断定はできないはずです。

むしろ、行方不明になっているクララのものだと思うのが普通です。

ここでオリンピアは負けを認めて笑い出し、自分がクララだと認めます。

ここからはクララとドロッセルマイアーのやりとりです。

彼女はマリーの計画に気が付いたことを伝えた上で、マリーに言わないようドロッセルマイアーに口止めをします。

さらに予定通り、マリーの計画を進めるよう指示。

こうして計画当日になり、マリーはクララが見つからないと焦るも、計画を実行するためにくららで狂言自殺。

クララはそれを確認すると、姿を消し、アリバイを得ます。

マリーはクララを見つけてナイフを突き刺しますが、それはただの人形で、マリーを尾行していたクララが逆に彼女を追い詰めます。

言葉巧みに騙し、強力な睡眠導入剤を飲ませ、マリーは眠ってしまいます。

そして溺死させたのでした。

 

場面は戻り、クララは、自分をオリンピアに改造したのはドロッセルマイアーだと明かします。

本来であれば計画を知りつつもそれを止めなかったドロッセルマイアーも罰せられるはずですが、法律では彼を裁くことができません。

しかし、スキュデリはそれを見越してみんなの前で推理を披露したのでした。

これでドロッセルマイアーは生涯、鼻つまみ者として過ごすことになります。

そして最後に、クララの処分について。

元々のオリンピアは分解して地下室に放り込まれていましたが、実はクララのぜんまいが切れている間に、スパランツァーニがオリンピアの部品と中身を入れ替えていたのです。

部品は相当混ざってしまい、もはやクララなのかオリンピアなのか判断をつけることはできません。

そこで分解して調べることになり、クララは慌てて逃げようとしますが、その前に捕まってしまいます。

ドロッセルマイアー、コッペリウス、スパランツァーニによってクララは分解され、全く違うものとして作り替えられるのでした。

これでクララもまた裁かれたことになり、後は地球で最後の仕上げをするだけです。

結末

ドロッセルマイアーは、クララが分解、再構築をされたことで脳梗塞になり、倒れてしまいます。

彼が運び込まれた病院にて、井森は礼都に彼女の本体について聞きます。

彼女の本体は、ドロッセルマイアーでした。

落とし穴に残された血はくららの体から抜いて振りまかれたもので、井森を穴に落として殺害したのはマリー/くらら、首を絞めたり頸動脈を切って殺害したのはクララ/大学教授だと説明してくれます。

礼都はホフマン宇宙でこそ自由を失ったものの、地球では何の影響もないと勝ち誇っています。

ところが、そこに徳さんが現れて事態は一変。

礼都は前に徳さんが住んでいた村で殺人を犯し、裁判で無罪を勝ち取っていました。

徳さんは自分ならひっくり返されることはなかったといい、彼女を裁く気まんまんです。

そう、彼こそがスキュデリのアーヴァタールだったのです。

礼都は逃げ出し、徳さんは嬉しそうに後を追うのでした。

そして最後に、井森が食堂でテレビを見ていると、女性が入ってきて彼に声を掛けます。

明言されていませんが、これは『アリス殺し』にあった一場面に非常によく似たもので、女性は亜理です。

井森はホフマン宇宙から不思議の国に戻れるには亜理の協力が必要だといい、『スナークは?』と問います。

それに対して亜理は『プージャムだった』と答え、世界はがらりと変わったのでした。

最後に

前作よりもモチーフに馴染みがないせいか、本体とアーヴァタールの関係が飲み込みづらく、読むのに時間がかかってしまいました。

かなり話を端折ってはいますが、この記事が頭の整理に役立つと幸いです。

『アリス殺し』同様、童話チックだけれど平気で残酷なことが起こる、非常に楽しめる物語であることは間違いありません。

姉妹作品(続編)はこちら。

『ドロシイ殺し』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで! 普段は頭の切れる理系の大学院生なのに、夢の中では不思議の国の間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう青年・井森は、ある日の夢の中で、なぜ...
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