小説『空の青さを知る人よ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
山間の街に住む高校生・相生あおい。進路を決める時期なのに大好きな音楽漬けの日々を送る。そんな彼女を心配する姉・あかねの昔の恋人で、高校卒業後に上京したきりだった慎之介が、街に帰ってきた。時を同じくしてあおいの前に、高校時代の姿のままの慎之介こと“しんの”が現れる!やがてあおいは、しんのに恋心を抱いていくが…。一方あかねと慎之介も13年ぶりに再会を果たす。過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
「BOOK」データベースより
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『心が叫びたがってるんだ。』を製作した超平和バスターズが送るアニメ、その小説版になります。
単なる青春小説にとどまらず、その時代を通り過ぎてしまった世代にとっても刺さる内容になっています。
二百ページちょっとと短めなので、サクッと読むことができます。
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この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
巨大な牢獄
相生あおいは高校卒業後、東京に行ってバンドで天下をとるという夢を掲げていました。
山間の町はあおいにとって巨大な牢獄と変わりありませんが、東京に出たい理由は他にもあります。
幼い頃に両親を交通事故で亡くし、以降、姉のあかねが両親の代わりをしてくれ、それと引き換えにたくさんのことを我慢してきました。
あおいはあかねが大好きだからこそ、この町を出てあかねを解放したいと思っています。
昔の恋人
あかねの高校時代の同級生で、同じく市役所で働く中村正道はバツイチで、あかねに好意を抱いています。
しかし、あかねには忘れられない人がいました。
高校時代、金室慎之介や正道は四人でバンドを組んでいて、あかねは慎之介と付き合っていました。
あおいは彼らの演奏に感動し、それがきっかけとなってベースを今でも続けています。
慎之介はあかね一筋ですが、今のあおいのようにバンドで成功するという夢があり、高校卒業後、一緒に東京に行こうとあかねにいいます。
しかし、あかねはこれを断ります。
慎之介は成功したらあかねを迎えにくると約束し、東京に旅だったのでした。
しんの
いつものようにお堂であおいがベースの練習をしていると、少年が声をかけてきます。
それは、高校時代の姿をした慎之介でした。
慎之介は『しんの』の愛称で呼ばれていて、これ以降、『しんの』と表記します。
他人の空似かと思いましたが、しんのの左目の白目部分に黒い点が浮かんでいます。
これはあおいと同じ特徴で、しんのは自分とあおいを『目玉スター』と呼んでいました。
しんのは成長したあおいに気が付いていませんが、あおいは目の前の現実が信じられず、逃げ出します。
一方、しんのはお堂から出ることができず、あおいを見送るのでした。
フェスティバル
正道は町興しのために『音楽の都フェスティバル』を企画し、大物演歌歌手・新渡戸団吉を呼ぶことに成功します。
しかし、新渡戸はその土地のことに触れなければご当地ソングは歌えないと適当な理由をつけ、市役所のお金で豪遊します。
生演奏のためにバックバンドもついてきますが、そのギターはなんと慎之介でした。
こちらは正しい時間を進み、三十一歳になった慎之介です。
混同を避けるために、大人の方を慎之介、学生の方をしんのと表記します。
生霊
あおいはしんののことをあかねに相談できず、正道の息子・正嗣にだけ伝えます。
あおいは冷静になってしんのと話すうちに、現状を把握します。
しんのがあかねに東京行きを打診した時、あかねたちの両親が他界。
あかねはあおいを守るためにしんのとの約束を破り、この町に留まることを決めます。
一方、ショックを受けたしんのはこのお堂で考え事をし、目を覚ますと今になっていました。
あおいは、目の前にいるしんのが、あかねに強い気持ち、未練があるから無意識のうちに飛ばした生霊だと判断します。
しんのは、慎之介とあかねが結婚すれば全て解決し、自分も慎之介に戻れると考え、あおいと正嗣はそれに協力するのでした。
未練
慎之介は、いまだにあかねのことを思っていました。
想像していた成功とは違いますが、東京で立派に音楽で生活しています。
しかし、十三年ぶりに会ったあかねの態度は冷たいものでした。
慎之介は夢を追いかける中で現実に押しつぶされ、変わってしまったのです。
姉の思い
あおいはしんのと一緒に高校時代の卒業アルバムを見ます。
あかねは『好きな言葉』として、『井の中の蛙大海を知らず されど空の青さを知る』と書いていました。
しかし、あおいにはその意味が分かりませんでした。
代役
豪遊の中で、バッグバンドのベースとドラムが鹿肉にあたってしまい、出演することができなくなってしまいました。
そこで急遽、代役としてベースをあおい、ドラムを正道が担当します。
しかし、慎之介は素人がプロの世界に首を突っ込むなとあおいを突き放し、以後、練習に参加しなくなります。
あおいは彼の言葉に頭がきて、しんのと一緒に見返そうと猛練習をします。
その中で、あおいはしんのに恋をするのでした。
面影
ある日、あおいは慎之介が弾き語りをしているのを偶然耳にします。
曲は、彼らが高校時代によく演奏していたゴダイゴの『ガンダーラ』でした。
その姿には、しんのの面影が残されていました。
そこに歌を聞きつけたあかねが現れます。
あかねは慎之介のことを忘れてなどおらず、彼のソロデビュー曲もちゃんと買っていました。
その曲はとても恥ずかしい曲で、あかねに向けられたものでした。
このやり取りの中であかねと慎之介は、少しだけ昔の時間を取り戻します。
慎之介は今の仕事をやめ、この町に戻ってこようかと口にしますが、諦めるのはまだ早いとあかねに諭され、二人は微妙な距離感を残して別れるのでした。
告白
あおいは、しんのに告白します。
しかし、それは付き合いたいからではなく、けじめのためでした。
あおいはしんののことが好きなのと同じ、もしくはそれ以上にあかねのことも大好きなのです。
あかねの幸せを考えたら、自分としんのがくっついていいわけがありません。
あおいは決意を新たにするのでした。
後悔を晴らす
フェスティバル前日、新渡戸が愛用のペンダントをなくし、このままでは歌えないと騒ぎ出します。
ここ数日の写真を見比べて、トンネルで落としたのでは推測。
あかねがとりに行くことになりました。
しかしその後、地震によって土砂崩れが発生。
心配になったあおいはあかねに電話をかけますが出ません。
いてもたってもいられず、あおいはお堂に向かって走り出していました。
一方、慎之介は置きっぱなしにしていた昔のギターをとりにお堂を訪れ、そこでしんのに出会います。
そこにあおいも合流。
慎之介としんのは口論になり、しんのはあおいと共にあかねを助けるために動きだします。
しんのはあかねを残した慎之介の後悔から生まれた存在で、彼を閉じ込めることで慎之介は東京に出て、そして今その思いと向き合おうとしていました。
そして、あおいもあかねの恋を応援できなかった後悔があり、二人は二度そんな思いなどしたくありませんでした。
あかねを思うあおい、そしてしんのの気持ちが通じたのか、二人は空を飛んでお堂を出てあかねの元に向かいます。
その空の青はとても綺麗な色をしていました。
一番の愛
大木が倒れ、トンネルに続く道をふさいでいました。
しんのはその隙間から中に入り、あおいは追いかけてきた慎之介と合流します。
あかねの名前を二人が叫んだその時、しんのがあかねを抱えて出てきました。
あかねは無事で、慎之介ではなく真っ先にあおいに抱きつきます。
ようやくあおいは気が付きます。
あかねはあおいのことが大好きだから、慎之介との約束を破ってここに残ってくれたのです。
その愛を、あおいはちゃんと受け止めなければならなかったのです。
一通り落ち着くと、あおいは一人で帰ると言い出し、あかねは慎之介としんのを車に乗せて別々に帰るのでした。
結末
車の車内でしんのは寝てしまい、あかねと慎之介が話します。
慎之介は、夢もあかねも諦めないことを宣言。
彼が『井の中の蛙大海を知らず されど青空を知る』の意味を知ったのは、上京後でした。
蛙は井戸の中を出なくても、そこから見える青空の青さ、美しさ、愛しさをちゃんと知っていたのです。
それはあかねにとってのあおいであり、慎之介にとってのあかねでした。
ここまでの話を聞いて、トンネルの中でしんのも同じことを言っていたと明かすあかね。
そして、あかねの口からこの先も慎之介と一緒にいたいという内容のことが示唆され、気が付くと、しんのは消えていました。
一方、しんのが消えたことに気が付いたあおいは涙を流し、青い空を見上げます。
自分はこの空の青さを知って、何ができるだろうと。
エピローグ
フェスティバルのステージから二年後、あおいは東京で組んだバンド『ガンダーラ』で凱旋公演をするためにこの町に戻ってきました。
客席にはあかねと慎之介が隣り合っています。
二人は結婚し、慎之介が東京で音楽を続ける関係で遠距離で暮らしています。
演奏中、あおいは思います。
東京に出て進んだつもりだけれど、自分はまだ井戸の中にいるのではないか、出られないのではないかと。
そんな時、あおいはあかねの好きな言葉を思い出して、空を見上げます。
その青さを覚えている限り、自分はどこまでも走っていけると。
おわりに
夢を抱いている、追いかけていた人ならとても考えさせられる内容だと思います。
僕自身、今の生活の愛しさを噛み締めながら、次の場所に向かって走っていきたいとたくさんのパワーをもらうことができました。
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