『静かな雨』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
行助は美味しいたいやき屋を一人で経営するこよみと出会い、親しくなる。ある朝こよみは交通事故の巻き添えになり、三ヵ月後意識を取り戻すと新しい記憶を留めておけなくなっていた。忘れても忘れても、二人の中には何かが育ち、二つの世界は少しずつ重なりゆく。文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しいデビュー作。
「BOOK」データベースより
太賀さん、衛藤美彩さん主演で映画化された本書。
本書は2018年に映画された『羊と鋼の森』で一躍有名になった宮下奈都さんのデビュー作で、文庫版は単行本の『静かな雨』に加え、『日をつなぐ』も収録されています。
二つ合わせても百五十ページほどなので、手軽に読むことができます。
羊と鋼の森もそうですが、宮下さんの作品には音楽が随所にちりばめられ、重たいテーマを扱っているのにどこか穏やかな文章が印象的でした。
この作品は宮下さんだ。
そう思える個性と実力を、本書は持っています。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
静かな雨
出会い
行助(ゆきすけ)の勤めていた会社は倒産することになり、帰り道、最寄り駅のパチンコ屋の裏の駐車場にあるたいやき屋に立ち寄ります。
そのたいやきがあまりにおいしく、行助が思わず口にすると、店主の女性はありがとうございますと笑います。
新しい仕事が決まってからも、行助はたいやき屋に通い、店主の女性・こよみと顔見知りになります。
行助は生まれつき足に麻痺があり、松葉杖を使って歩きます。
そのせいか家族は彼のことを気にかけ、しかし、すぐにこよみのことを気に入ります。
二人の人生は、これから幸せに向かうように見えました。
事故
ある日、多重事故が起き、バイクに吹き飛ばされた先にこよみがいました。
彼女は意識不明になって病院に搬送され、行助に知らされたのはその十日後でした。
こよみは意識不明のまま眠り続け、行助はお見舞いに行くことが習慣となり、事故から三か月と三日後、こよみは目を覚まします。
一見、元気そうに見えましたが、精密検査の結果、高次脳機能障害と診断されます。
脳の記憶を司る部分が損傷し、新しい記憶は短期間しか留めておけないのだといいます。
行助には信じられませんが、事実、こよみはその日にあったことを翌日には忘れてしまいます。
事故以前の記憶はあるものの、こよみには記憶がもう蓄積されないのです。
覚悟
姉は行助のことを心配します。
こよみの現状を受け入れ、支える覚悟がなければ、先に進まない方が良いと。
それでも行助は先に進むことを決意し、こよみを自分の部屋に引っ越させます。
行助はこよみのことを支えて守る気概でいました。
ところがこよみがたいやき屋の営業を再開すると、彼女の強さを見せつけられます。
それから記憶について、行助は彼女の状態を理解しているつもりでしたが、時折、こよみが覚えていないことに憤りを感じ、つい怒ってしまうこともありました。
しかし、生活の中で行助は、人間は思い出ではなく日々の思いによって出来ているのではと思えるようになりました。
結末
そんなある日、綺麗な満月だからと二人はお月見をします。
明け方、目を覚ますとこよみが 泣いていました。
月が明るいのに雨が降っていると。
彼女は、昨日の満月を覚えているのです。
そして記憶だけでなく、一緒に暮らすことで体のどこかにその生活の跡が残っていくのです。
二人の生活は、行助を強くしました。
もうこよみが忘れてしまうことを悲しいとは思いません。
行助とこよみの世界は少し重なっている。
それで十分だと、行助は考えるのでした。
日をつなぐ
十四歳の時、真名は同級生の水沢修一郎と出会い、ゆっくりではありますが関係を築いていきます。
二人が卒業すると離れ離れになり、修一郎が就職するとその距離はますます遠くなりました。
そこで真名は仕事をやめ、結婚して修一郎の赴任した秋田についていきます。
真名は再就職する前に妊娠し、娘を出産します。
両親からの援助がなく、修一郎も仕事が忙しい中、真名は子育てに励んで静かに消耗していきます。
そんな生活の中で、真名は修一郎が好きなハイペリオンというレーベルのクラシック音楽を流し、豆のスープを作ります。
ある日、真名は一曲でいいから最後まで聞ければ、この無間から抜け出せるのではとヘッドフォンをします。
しかし、真名は聞き終える前に寝てしまい、忘れ物を取りに帰ってきた修一郎に娘が泣いていることを咎められます。
翌日、真名は決心をして、今日は早く帰ってきてほしいと修一郎にお願いします。
一緒にご飯が食べたい、そんなことを伝えるつもりでした。
すると修一郎もまた真名に話したいことがあるといって、仕事に向かいます。
市場で食材を買い揃えると、帰りのバスで思います。
修一郎の話とは何だろうと。
おわりに
どちらの作品も非常に雰囲気のある作品で、世界観に浸れる数少ない作品だと僕は思います。
特に『日をつなぐ』は食事だったり音楽など、日常に密接したものが何度も登場し、とても好きな内容でした。
最後の修一郎の話したいことですが、僕は別れ話かなと思いました。
浮気をしているから帰りが遅いのかもしれないし、育児で余裕のなくなった真名が嫌になったのかもしれません。
ひどい話ではありますが、それも人生でしょう。
僕はとりあえず、豆のスープを作ってからもう一度読みたいと思います。
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