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『黒牢城』あらすじとネタバレ感想!米澤穂信×戦国×ミステリの新境地!

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信長を裏切った荒木村重と囚われの黒田官兵衛。二人の推理が歴史を動かす。

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

Amazon商品ページより

米澤穂信さんのデビュー二十周年にして、新たな挑戦作となった本書。

第166回直木賞を受賞したこともあり、普段あまり本を読まない人からも注目を集めました。

そもそも直木賞ってなに?という人は以下の記事をご参照ください。

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本書に関する米澤さんへのインタビューはこちら。

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史実を元にした戦国小説にミステリ要素を加え、どちらのジャンルだけでも届かない新たな魅力に到達しています。

荒木村重や黒田官兵衛のことを知らない人にとっては新鮮に映り、歴史を知る人にとっても新たな発見、カタルシスを得られる作品ではないでしょうか。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

謀反

本能寺の変より四年前、天正六年(1578年)の冬。

荒木村重は織田信長より摂津一国を任されていましたが、織田に背いて有岡城に籠城します。

一般的に考えて、このままでは村重に勝ち目はありません。

しかし、彼はしっかり策を練っていました。

村重は事前に毛利家と話をつけていて、予定通りであれば毛利家が加勢してくれることになっています。

そうなれば織田家といえども、打倒も不可能な話ではありません。

その一方で、毛利家現当主の輝元が信じるに値するかどうかは今でもはかりかねていて、輝元が裏切ればこの戦い、村重に勝ち目はありません。

しかし、すでに事態は動いており、村重に引き返すという選択肢はありませんでした。

幽閉

村重のもとに、黒田官兵衛という男がやってきます。

かつて二人は戦場で共に戦い、村重は自分より大きく身分の低い官兵衛を認めていました。

そんな官兵衛は謀反を思いとどまるよう説得しますが、彼の言葉でも村重には届きません。

説得は失敗に終わり、織田方である官兵衛がこのまま帰れるはずもなく、彼もそのことは覚悟していました。

ところが、村重は官兵衛を殺さず生かしておくことを選び、この戦争が終わるまでといって土牢に閉じ込めてしまいます。

難解な事件

ある日、村重のもとに大和田城が降参したという報告が入ります。

敗北ではなく、城を守る安部兄弟の息子・二右衛門が降伏を決めたからでした。

そこで村重は有岡城にいる二右衛門の息子・自念を人質にすることに決め、牢ではなく自宅で預かることにしました。

人質とはそれを差し出したものが裏切らない限りは、大切な客です。

ところがとある朝、自念が亡くなっているのが発見されます。

矢傷がありますが、肝心の矢はどこにも見当たりません。

外は万全の警備をされていて、事件前後で自念に近づけた人間はいません。

つまり、仮に遠くから矢で自念を射抜いたとしても、その矢を自念に近づいて回収することはできないということです。

奇怪な事件の調査は難航し、様々な憶測が飛び交います。

このまま放置しておくと部下の士気にかかわり、悩んだ末に村重は土牢に閉じ込めている官兵衛に謎を解くよう求めます。

すると、官兵衛は現場を見ていないにも関わらず話を聞いただけで謎を解いてしまい、以降、何か奇怪なことが起きれば村重は官兵衛を頼るようになります。

しかし、それらの事件にはさらなる裏があり、やがて村重や官兵衛の隠していた思惑が明らかになります。

感想

新しいミステリ

戦国×ミステリという異色作ですが、僕は読んでいて途中までは単なる戦国小説としか捉えていませんでした。

まるでこれまでもずっと書いてきたかのように滑らかで違和感のない文章で、米澤さんの相当な努力とこれまでのキャリアがうかがえました。

しかし、ミステリとしてはどうか。

もちろん物語の随所に難しい謎が散りばめられ、官兵衛が安楽椅子探偵のような立ち位置でこの難問を解いてみせます。

それでも謎が解けてしまえばその程度かと思う小粒なものばかりで、やや中だるみを覚えながら読み進めました。

ところが、終盤になると隠されていた謎が一気に明かされ、今までの認識がひっくり返ります。

ミステリとしてもめちゃくちゃ面白いじゃないかと、気を抜いて読んだことを後悔し、何度も前に戻って読み直しました。

二十年にも及ぶ小説家としてのキャリアを積んだ上で、なおも新しいことに挑戦し、単なる挑戦作として終わらせないところに米澤さんのプロとしての強さを感じました。

覚悟の重さ

当然のことですが、物語中の時間軸と現代では価値観が全く異なります。

特に命についてはいつ奪われるか分からない状況で、武将やそれに関係する人たちは常に命がけで物事にあたります。

そこに込められた覚悟は現代の価値観では到底理解できないほどの強さを誇っていて、それがミステリ部分に良い影響を与えています。

当時の価値観からして、どんなことが罪を犯す動機になり得るのか。

ぜひ頭を柔らかくして、作中の人物たちの気持ちになって推理を楽しんでもらえればと思います。

慣れが必要かも

僕もそうでしたが、戦国小説は当時ならではの名詞、言葉遣いが数多く登場し、それに慣れるまでなかなか読み進めるスピードが上がりません。

しかし、だからといって慌てる必要はありません。

何度も登場するうちに戦国小説ならではの流れが分かり、やりとりの呼吸のようなものが見えてきます。

そうなれば後は自然と読み進めていけるので、どうぞご安心ください。

一方で、序盤で慣らしておかないと、肝心の推理のパートになって状況が飲み込めず、推理するどころではありません。

戦国小説に慣れ親しんでいないという人は焦らず、これまでに読んだことのない物語を新鮮な気持ちで楽しんでもらえればと思います。

おわりに

米澤さんの従来のファンからして、評価が分かれる気もする本書ですが、僕は新たな挑戦と

それが生み出す予想外の物語に衝撃を受けました。

この挑戦する気概こそ米澤さんらしい一面で、これから先もまだまだ応援したいと思える一冊でした。

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