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東野圭吾『新参者』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。

「BOOK」データベースより

加賀恭一郎シリーズ第八弾となる本書は、加賀が練馬署から日本橋署に移って初めての作品です。

前の話はこちら。

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序盤は一見、事件と関係のない話が続きますが、点が線になるように終盤になって話が事件と繋がっていくのが特徴です。

日本橋という町を知る意味でも面白い作品になっています。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

第一章 煎餅屋の娘

日本橋署に異動となった加賀は、『あまから』という煎餅屋を訪れます。

目的は、昨日あまからを訪れた保険会社の田倉慎一の行動を知るためでした。

昨日、小伝馬町に住む三井峯子という女性が殺害される事件が発生し、田倉は峯子の家を訪ねていたことが分かっています。

田倉が峯子の家を出たのが午後五時半で、その時まで峯子が生きていたことが確認されています。

田倉は午後六時四十分に会社を出たといいますが、同僚は六時十分に出たと証言。

ここに空白の三十分が生まれることになり、犯行後に帰宅しても間に合うことになります。

加賀は田倉が何時にあまからを訪れたかを確認することで、田倉にアリバイがあるのかどうかを確かめようとしていました。

そこであまからの店主である上川文孝と二人で話をします。

加賀は田倉が夏にも関わらず、スーツの上着を着てあまからを訪れた点に着目。

理由は簡単で、一度会社に戻って仕事をし、体を冷房で冷やした状態で退社し、その足であまからに寄ったのでした。

しかし、そうすると新たな矛盾が生じます。

文孝の母親・聡子は先日まで入院をしていて、田倉はその診断書を持ち帰らなければ入院給付の手続きを進めることが出来ません。

加賀はもう気が付いていました。そう、診断書は二枚存在し、本物はすでに田倉が持っていて、聡子が田倉に渡したものは偽物だったのです。

聡子は胆管癌ですが、文孝はそのことを本人に知られまいと病院の先生に相談し、違う病名の診断書を特別に作ってもらったのでした。

加賀は文孝の気持ちを汲み、診断書のことは内緒のまま、田倉アリバイを証明できるよう根回しすることを約束するのでした。

第二章 料亭の小僧

料亭『まつ矢』で働く脩平のもとを加賀が訪れます。

加賀は、なぜか三日前、修平が人形焼きを買ったこと、その後の行動を執拗に質問します。

三日前の夜に起きた小伝馬町の事件で、被害者の部屋に人形焼きが残されていたことが分かっていて、警察はその人形焼きを買った人物を探していたのでした。

修平は自分で食べたと証言しますが、本当は違います。

まつ矢の主人・泰治に頼まれて買ったものでした。

修平は泰治の愛人への手土産でだと思っていたので、被害者とは泰治の愛人なのではと疑います。

翌日、今度は客として加賀はまつ矢を訪れますが、それでも修平は嘘をつき続けます。

後日、泰治の愛人が銀座のクラブで働くアサミという女性で、峰子と同じマンションに住んでいることが判明します。

さらに後日、事件に関する謎が一つ解けたと加賀がまつ矢を訪れ、泰治の妻・頼子が話を聞きます。

現場に残された人形焼き、それは修平が買ったもので、その中の一つにはわさびが入っていました。

お店では入れていないため、誰かが買ってから入れたことになります。

しかも周りの人形焼きよりも時間が経過していることから、予めわさびを仕込んでおいた人形焼きを紛れ込ませたと考えるのが妥当です。

さらに加賀は、修平が人形焼きを買った前日に頼子も人形焼きを買っていたことを掴んでいました。

指紋の照合からも、人形焼きのパックに残されていた指紋が頼子のものであることは分かっています。

頼子は自分がわさびを仕込んだことを認め、浮気をする泰治にお灸をすえる目的だったことを明かします。

そしてアサミは、もらった人形焼きを峯子に渡したことを認めていました。

加賀も頼子も、泰治の頼みだと最後まで明かさなかった口の堅さを褒めるのでした。

第三章 瀬戸物屋の嫁

加賀が訪れたのは、瀬戸物屋の『柳沢商店』。

柳沢家では姑・柳沢鈴江と嫁・麻紀のいわゆる嫁姑問題が勃発していて、麻紀の夫である尚哉は頭を悩ませていました。

加賀は麻紀に峯子について聞き、麻紀も峯子が客でしばしば来ていたことを覚えていました。

その後、『きさみや』という刃物専門店で峯子がキッチンバサミを購入していて、加賀が聞き込みをしていたことが判明。

加賀は事件の関係者のキッチンバサミを片っ端から調べ始め、柳沢家も例外ではありません。

尚哉が何を調べているのか聞くと、加賀は教えてくれます。

峯子のパソコンからキッチンバサミを買ったことを伝えるメールが送信されていて、宛先が麻紀でした。

加賀は、麻紀が峯子に購入を依頼したのではと考えていましたが、麻紀の反応からそれはないことが確認できています。

しかし、何かを隠していると加賀は考えていて、その秘密は後日判明します。

麻紀が本当に欲しがっていたのはキッチンバサミではなく、食用バサミでした。

麻紀はその名称を峯子に伝えますが、峯子はキッチンバサミのことだと勘違いして購入していたのです。

食用バサミは硬い食材が出てきた時に使うもので、旅行を控えた鈴江へのプレゼントとして麻紀は考えていて、自分で買うと鈴江に知られてしまうと峯子にお願いしたのでした。

その後、鈴江の旅行用の荷物の中に麻紀へのお土産用のパンフレットが入っているのを尚哉は見つけます。

尚哉が知らないだけで、鈴江も麻紀もうまくやっていたのでした。

第四章 時計屋の犬

『寺田時計店』の主人・寺田玄一は六月十日の午後六時に峯子と会っていて、そのことを確認するために加賀が訪れます。

会った場所は浜町公園で、犬のドン吉の散歩中でした。

加賀がそのことを知ったのは、峯子の残した書きかけのメールでした。

そこには玄一と会ったことが記されていましたが、浜町公園に集まる愛犬家たちは誰も峯子のことを目撃しなかったといいます。

また峯子のメールには広場で子犬の頭を撫でたとも書いてありましたが、玄一は峯子は一人だったと証言しているため、話が食い違っています。

加賀はドン吉の散歩の様子から、玄一がいつもの散歩コースを外れたところを歩き、そこで峯子と会ったのではと推測。

そこから浮かび上がったのは、駆け落ちをして家を出た玄一の娘・香苗の妊娠でした。

峯子が撫でたのは水天宮にある子宝いぬと呼ばれる銅像で、水天宮で玄一と峯子が会った=玄一は香苗の妊娠を知っているということになります。

玄一は香苗のことを勘当したつもりで、実は心配をして色々と調べ、妊娠のことを知ったのでした。

第五章 洋菓子屋の店員

清瀬弘毅は大学中退後、家を出て恋人の青山亜美の部屋に転がり込み、役者を目指して劇団に所属していました。

ある日、絶縁状態の父親・直弘から電話があり、母親である峯子が殺害されたことを伝えられます。

直弘と峯子は離婚していて、弘毅はどちらとも疎遠になっていましたが、峯子の死に疑問を抱きます。

離婚後、峯子は実家のある横浜に戻ったとばかり思っていましたが、殺害現場は小伝馬町でした。

なぜ峯子はわざわざ小伝馬町に住んだのか。

弘毅は峯子のマンションに行き、そこで加賀と知り合います。

峯子は二か月前、蒲田から小伝馬町に引っ越してきたということで、目的は浅草橋に住む弘毅ではと加賀は推測しますが、峯子が自分の居場所を知っているはずがないと弘毅は否定。

また峯子は水天宮に通っていましたが、彼女の周囲に妊娠している女性はいませんでした。

加賀は亜美のバイト先である喫茶店にも聞き込みに現れますが、亜美は峯子を見ていないと証言します。

その後、加賀は峯子の大学時代の友人・藤原真智子の証言から峯子の引っ越してきた理由を知ります。

真智子は日本橋で弘毅と亜美を目撃。

さらに亜美のバイト先の喫茶店も突き止め、そのことを峯子に報告し、それをもとに峯子は小伝馬町に引っ越してきたのでした。

峯子は亜美のバイト先に何度も顔を出したとメールしていますが、加賀はこの謎を解いていました。

峯子は真智子の話を勘違いし、別の喫茶店に顔を出していました。

そして偶然、美雪という女性店員がいたため、美雪=弘毅の恋人と勘違いし、二か月間も見守り続けてきたのでした。

妊娠していたのは美幸でした。

第六章 翻訳家の友

峯子の死体を最初に発見したのは、峯子の大学時代の友人である吉岡多美子でした。

多美子は翻訳家として活動していて、峯子は離婚後、多美子の仕事を手伝っていました。

事件当日、多美子は午後七時に峯子と会う約束になっていました。

しかし、多美子の都合で時間を八時に変更。

そして八時に峯子のマンションに行き、死体を発見したのでした。

峯子は七時以降に殺害されたため、多美子は彼女の死に強い後悔を抱いていました。

加賀は多美子の部屋をたずね、話を聞きます。

多美子の時間変更の電話の後、峯子のもとに公衆電話から電話があり、加賀はその人物が犯人だと睨んでいました。

しかも峯子は敬語を使っていなかったと証言する人物がいるため、峯子と親しい人物が犯人だと推測することができます。

後日、加賀は多美子を連れて柳沢商店に行きます。

店員をしていた麻紀に見せてもらったのは、峯子が多美子の結婚祝いに渡そうと考えていた二組の箸でした。

峯子はケンカをしてしまった多美子と仲直りがしたかったのです。

事件と直接関係はありませんが、加賀が謎を一つ解決したことで、多美子は救われるのでした。

第七章 清掃屋の社長

直弘は清掃会社の社長をしていますが、企業時から財務を一切任せている税理士の岸田要作から人件費の問題を指摘されます。

また直弘は行きつけのクラブのホステス・宮本祐理を社長秘書として雇っていて、愛人ではと噂になっていました。

一方、弘毅は峯子の死について独自に調べ、加賀との話から新たな事実が分かってきます。

峯子は最近になってまとまったお金を必要としていて、財産分与の金額に関して、直弘ともう一度相談したいことを弁護士の高町静子に相談していました。

加賀は直弘の浮気による慰謝料ではと推測していて、祐理のこともマークしていました。

弘毅は直接祐理と会い、直弘との関係について聞きます。

すると祐理は父親を信用しない弘毅に怒り、本当のことを明かします。

一方、加賀は直弘に当たります。

加賀はすでに直弘と祐理の関係について気が付いていました。

加賀は、祐理が左手に嵌めていた手作りの指輪に注目。

その指輪は、直弘が二十代の頃、祐理の母親・戸紀子に贈ったものでした。

直弘は戸紀子にプロポーズしますが、戸紀子は直弘の将来を考え、姿を消してしまいました。

その後、直弘は峯子と結婚しますが、二年前、祐理を見つけ、左手に嵌めた指輪で戸紀子の娘だと気が付きます。

戸紀子はすい臓がんで亡くなっていて、生年月日から自分の娘であることを知ります。

直弘はそのことを正直に話し、祐理と父娘の関係を築きます。

その後に峯子との離婚が決まり、祐理を自分の手元に置いたのでした。

加賀と直弘が話している頃、祐理も弘毅に本当のことを話し、自分たちが姉弟であることを伝えるのでした。

第八章 民芸品屋の客

加賀は民芸品屋『ほおづき屋』を訪れ、店主の藤山雅代に最近独楽を買った人物がいないかを聞きます。

すると、六月十二日に一番小さな独楽が売れていました。

一方、岸田は息子の克哉の家を訪れ、妻の玲子と翔太が出迎えます。

翔太は岸田から独楽を十二日にもらったこと、加賀がそのことをすでに聞き込み済みであることが明かされます。

また克哉の稼ぎは不明ですが、玲子は贅沢しても問題ないだけのお金があると信じて疑いませんでした。

後日、加賀は再びほおづき屋を訪れ、目的は独楽ではなく紐であることが明らかになります。

峯子が殺害されたのは十日であるため、ほおづき屋の独楽は事件と関係ないことが分かっています。

さらに殺害に使われたのは撚り紐ですが、ほおづき屋で売っている紐は組紐でした。

後日、岸田が独楽を持ってきたのは十二日ではなく十日であることが判明します。

しかし紐を忘れたため、一度持ち帰ったのだといいます。

加賀はこれまでの捜査で、佐川徹の経営する玩具屋で十日、独楽が万引きされていることを突き止めていました。

第九章 日本橋の刑事

峯子の事件で、捜査一課の上杉博史は加賀と組んで捜査を進めます。

上杉は加賀のことを大したことないと見下していました。

厄介な事件だと思っていましたが、捜査は順調に進み、しかし誰が突き止めたのかは明かされません。

上杉は今回の捜査は何かがおかしいと思っていました。

やがて必要な情報が揃うと、岸田が逮捕されるのでした。

岸田は数年前から直弘の会社のお金に手をつけていました。

一方、峯子から慰謝料について相談され、会社のお金に手をつけたことがバレるのも時間の問題でした。

そこで岸田は峯子殺害を決意。

凶器を持っていなかったため、独楽を万引きして紐を入手し、峯子を殺害しました。

ところがこの後、予想外のことが起きます。

克哉の家を訪れた際、翔太にかばんの中の独楽が見つかってしまったのです。

翔太は独楽を欲しがりますが、紐は殺害に使用したもので、そのまま渡すわけにはいきません。

そこで後日、ほおづき屋で独楽を購入し、その紐と前に持ってきた独楽を渡したのでした。

これで事件は解決したかのように思えましたが、加賀だけは岸田がまだ隠し事をしていることに気が付いていました。

そこで上杉を説得し、岸田から話を聞き出す役を託します。

三年前、上杉の息子は無免許運転で補導されましたが、上杉は補導した警察官に見逃してほしいとお願いし、罪には問われませんでした。

しかし、息子はこれからも何とかなると反省せず、後に起こしたバイク事故で亡くなります。

上杉がそのことを話すと、岸田はついに口を割りました。

克哉は会社の金を使い込んでいて、岸田がその補填をしていたのでした。

しかし、克哉は岸田がどうやってそのお金を用意したのか知らず、金遣いは一層荒くなるだけでした。

事件後、上杉が何者なんだとたずねると、加賀は答えます。

何者でもない。この町ではただの新参者だと。

おわりに

異動したばかりの加賀ですが、まるで長年通い慣れたような情報通ぶりで大活躍を見せつけてくれました。

加賀恭一郎シリーズはますます勢いを増していきますので、これ以降の作品も必見です。

次の話はこちら。

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