『竜とそばかすの姫』原作小説のあらすじとネタバレ感想!リアルとネット世界を巻き込んだ奇跡の物語
もう、ひとりじゃない。細田守監督が自ら書き下ろした最新作の原作小説!
高知の田舎町で父と暮らす17歳の高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、現実世界では心を閉ざしていた。ある日、親友に誘われたことをきっかけに“もうひとつの現実”と呼ばれるインターネット上の超巨大仮想空間〈U〉に「ベル」というアバターで参加することに。ずっと秘めてきた比類なき歌声で瞬く間に世界中から注目される歌姫となったすず(ベル)は、〈U〉の中で「竜」と呼ばれ恐れられている謎の存在に出逢う。凶暴ながらもどこか孤独な竜との出逢いをきっかけに、すずは自分の中にある迷いや弱さと向き合っていく――。歌が導く奇跡の出会いと成長の物語!
Amazon商品ページより
細田守監督自身が書き下ろした原作小説で、2021年7月16日公開の映画に先行しての発売になります。
僕は本書について、はじめは同じく細田監督の作品である『サマーウォーズ』の二番煎じくらいに考えていました。
しかし、本書を読むことでそれが早合点だったことがよく分かったので、その辺りについても書いています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
U
本書の舞台は、究極の仮想世界『U(ユー)』。
全世界でアカウント数50億を超える史上最大のネットワーク空間で、自身の分身であるアバター『As(アズ)』を通じて誰もがUを楽しむことが出来ます。
Uはもう一つの現実であり、現実はやり直せないけれどUならやり直せる。
そんな甘い謳い文句が人々の心をくすぐり、Uは今日も拡大を続けます。
冴えない少女
本書の主人公は、冴えない女子高生の鈴。
かつては明るい少女でしたが、今では見る影もありません。
鈴は十一年前に母親を亡くしています。
母親は雨で増水したせいで取り残された女の子を助けるために自らの命を犠牲にし、残された鈴はその影響で大好きだった歌が歌えなくなってしまいました。
傍から見れば、限界集落に住む何の取り柄もない、そばかすの少女です。
ところが、Uでは違いました。
鈴はUにおいて『Bell(ベル=鈴)』と名乗り、世界中の誰もが憧れる絶対的な歌姫として君臨していました。
リアルでダメでも、Uであれば大好きな歌が思う存分に歌える。
鈴にとって、Uは大切な居場所になっていました。
謎の竜
Uで行われるベル史上最大のライブ。
ところがその最中に、謎の竜が乱入してきて会場は騒然とします。
その竜は数か月前にUに現れ、連戦連勝を果たしてきた猛者である一方で、相手を完膚なきまでに叩きつぶすファイトスタイルで不評も買っていました。
背中には無数のアザ。
会場にいる誰もがライブを台無しにした竜にブーイングを投げかける中、ベルだけは違いました。
純粋に相手のことを知りたいと願いますが、竜は正体を明かさないままどこかに行ってしまいます。
竜の正体は誰で、何のためにこんなことを繰り返すのか。
ベルは少しずつですが竜の心に近づき、やがて乗り越えるべき大きな壁にぶち当たります。
感想
今だから必要な物語
同じく仮想世界を舞台にしたサマーウォーズと何が違うのか。
それは、仮想世界の位置づけです。
サマーウォーズが公開された2009年はスマホもそこまで普及しておらず、あくまでいずれ訪れるであろうネット世界の発展を先取りした形になっていました。
ところが、現在ではネット世界がリアルに大きく影響し、リアルで冴えなくてもネット世界であればキラキラ輝ける。
まさに本書で描かれていることがそのまま現実にも当てはまります。
国籍や年齢、性別という枠組みを超えて、良いものは良いと評価される。
そういう意味でネット世界の発展は非常に好ましいものです。
一方で、根も葉もないデマが蔓延し、人々は信じたいものだけを見るようになり、真実をいともたやすく捻じ曲げてしまう恐ろしさもあります。
本書にはネット世界の良いところ、悪いところが余すところなく詰まっていて、今だからこそ読む、見る必要のある物語だと感じました。
これからの在り方
本書ではリアルがダメでも、ネット世界であればやり直しがきいて、新たな人生が歩める。
そんなことが描かれていますが、だからといってリアルを疎かにしていいわけではありません。
隔絶されているように見えて、どちらかでしたことは確実にもう片方の世界に影響を及ぼします。
ネット世界で満たされても、必ず満たされない感情が出てきて、リアルで辛い、寂しい思いをします。
その一方で、ネット世界で頑張ったことは報われ、リアルでの生活を良い方向に導いてくれることもあります。
要は適切な楽しみ方があり、あまりネット世界に依存しすぎることは良くない。
そんなメッセージを受け取り、改めて自分の立ち位置を考える良い機会になりました。
映画とは別評価
僕は本書単体として、非常に面白く有意義だと感じました。
細田さんらしい物語展開で、映像でなくても伝わるものがたくさんあり、これはこれでアリだと思います。
ただ、本書の評価と映画の評価は分けないといけません。
予告を見た段階では、どうしても登場人物は従来の細田作品の登場人物と似ているし、世界観もサマーウォーズのイメージを払拭しきるほどのインパクトはありませんでした。
あとはそこにベルの歌声が乗っかり、公開されていない部分がどれだけ作品を盛り上げてくれるか。
この辺りは実際に映画を見た上で、ちゃんと見極めていきたいと思います。
おわりに
最初は見向きすらしませんでしたが、ちょっとした思いつきで買って良かったと思います。
今の十代、二十代前半の子たちに読んでほしいのはもちろんのこと、サマーウォーズをリアルタイムで見てきた世代にとっても意味がある作品です。
どうしても映画のビジュアルだけを見ると拒否反応を起こしてしまう人が一定数いるかと思いますが、ぜひ先入観を取っ払った上で自身の目で本書、または映画の価値について判断してほしいと思います。
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