ミステリー

『パーフェクトフレンド』あらすじとネタバレ感想!友だちって何だろうな友情ミステリ

少女たちの“トモダチ大作戦”。みんなよりちょっとだけ頭がよい小学四年生の少女・理桜は、担任の先生のお願いで、不登校の少女・さなかの家を訪れる。しかしさなかは既に大学院を卒業し、数学者の肩書きを持つ超・天才少女!手玉に取られくやしい理桜は、マウントを取るべく不用意に叫ぶ。「あんた、友達居ないでしょ!」かくして変な天才少女に振り回される『友達探求』の日々が始まるのだった…。野崎まど新装版シリーズ、「友情」の極意をお届けする第5弾!

「BOOK」データベースより

『友情ミステリ』という良く分からないジャンルに分類される本書。

タイトルの通り、『完璧な友だち』とは何だろうを突き詰めていくお話です。

主人公たちが小学生なので非常にほのぼのとしていて、癒されます。

しかし中盤以降、急展開を迎え、タイトルの意味の回収が一気に始まり、ミステリ要素が少し出ます。

最後には野崎まどさんのファンであればあっ、と声が出てしまうような仕掛けがされているので、ぜひ野崎さんの『【映】アムリタ』を先に読んでおくことをオススメします。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

不登校の天才

小学四年生の理桜は、担任の千里子先生からあるお願い事をされます。

それは同じクラスのさなかという少女についてでした。

さなかは昨年の三学期に転校してきて以来、まだ登校したことのないいわゆる不登校で、母親の要望で同級生に来てほしい千里子が依頼され、その役をクラス委員当確であろう理桜に頼んだのでした。

理桜は親友のややや(名前)と柊子を連れてさなかの家に向かいます。

さなかは不登校にも関わらず堂々としていて、同年代では大人びた理桜をいいようにもてあそびます。

それもそのはず。

さなかはすでにイギリスの大学院を卒業し、現在は同じ大学で数学者として働く天才児でした。

勉強という面でいえば、さなかが小学校に通う必要はありません。

しかし、負けず嫌いの理桜はさなかに友だちがいないことを指摘。

社会で生きていく上で友だちが必要だと主張すると、さなかは興味を持ち、友だちが何であるかを知るために翌日から学校に来るようになりました。

友だちとは何か

無事学校に来るようになったさなかですが、他の生徒のことなどお構いなく振舞い、友だちが何であるかを知ろうとします。

そこで問題が起きれば対処するのは当然理桜で、日々疲弊していきます。

しかし、成果はありました。

さなかは日々の小学校生活の中で生徒たちの理解不能な行動の数々を目にして、少しずつ友だちが何であるかを理解できるようになりました。

理桜たちはさなかの成長を喜びますが、そう簡単にはいきません。

さなかの結論。

それは、友だちとは人類の効率を上げるためのシステムであり、数式で再現できるというものでした。

縮まった関係に再び溝ができるのかと思われましたが、理桜がポツリと本音をこぼします。

それこそまさに友だちが必要であることを表した言葉で、さなかの中で理解のできない感情が生まれます。

突然の別れ

友だちを理解したはずなのに、理桜たちと会えないと寂しい。

この謎の感情こそ、さなかが理桜たちと友だちになれた証拠でした。

さなかは友だちの必要性を理解したのです。

ところが、ここから物語が大きく動き出します。

四人で井の頭公園で遊んでいると、理桜が池に落ち、そのまま亡くなってしまったのです。

友だちを失い、茫然とするさなか。

これからどうしたらいいのだろうと考えていると、そんなさなかの前にとある人物が現れます。

男は魔法使いでした。

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感想

途中までキャラもの小説

友だちって何だろう、という非常に難しい問題が本書の核にありますが、基本的には小学生たちの戯れが中心となります。

小学生としてはかなり冷静な理桜も一つ皮をむけば年相応の少女で、さなかの行動はいつも突拍子もなく、意表を突かれることばかりです。

やややはそのままのキャラで、柊子が大人しそうに見えてたまにとんでもないことを言ったりと、四人のバランスがちょうどよくまとまっていて、キャラもの小説として上々です。

中盤あたりまでは彼女たちの掛け合いが見どころになっていますので、肩の力を抜いて癒されるのが良い気がします。

理屈だけでは説明できない友だちの存在

物語の中盤、さなかが友だちについて一つの主張をしますが、これを否定するのが非常に難しいなと感じました。

感情論でいえば到底納得できるものではありませんが、合っている部分もあるため、これを逃げずに真っ向から説明して納得させるのは至難の業です。

しかもこれを小学四年生の、まだ友だちというものを明確に定義できない年ごろの理桜が説明しないといけないのですから、まあ大変です。

でも、彼女だからこそさなかに伝えられるものがあり、理桜の提示した答えは僕が理屈をこねた答えよりもずっと心理を突いていると思います。

難しいことは抜きにして、友だちはいいものだ。

本書はそういう小説です。

最後の驚き

友だちについての問題が片付いてめでたしめでたしかと思いきや、最後の最後で野崎さんがやってくれます。

まさかあの人が本書で起こる一連の騒動の裏にいたなんて。

驚くと共に、確かにあの人であればこんなとんでもないことも顔色変えずにやってしまうなと納得してしまいました。

そして、これはメディアワークス文庫で本書の次に刊行された『2』の伏線にもなっています。

本書を最大限楽しむには、記事の冒頭に書いたように『【映】アムリタ』が必須で、本書は野崎さんのこの時点での集大成ともいえる『2』の伏線にもなっているので、せっかくなら『【映】アムリタ』から『2』まで順番に全て読むことを強くオススメします。

小説六冊というのは決して少なくない量ですが、それをしただけの、いやそれ以上の面白さが野崎さんの作品には詰まっています。

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おわりに

友だちって何だろう。

大切だとは思っていましたが、本書を読んで理桜やさなかと共にその意味を感じ、改めて得ようと思って得られるものではないと痛感しました。

人数はそんな必要とは思いませんが、一人でも自分と一生友だちでいてくれる人を見つけ、大事にしたいと思います。

そして、最後に読者を驚かせる仕掛けをしている辺りに、野崎さんらしさを感じました。

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