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『ルピナス探偵団の憂愁』あらすじとネタバレ感想!永遠の友情を誓うシリーズ第二弾

harutoautumn
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高校時代「ルピナス探偵団」と称して様々な謎解きに関わった三人の少女と少年一人。だが卒業から数年後に、一人が不治の病で世を去った、奇妙な小径の謎を残して―。探偵団最後の事件を描く第一話「百合の木陰」から卒業式前夜に発生した殺人事件の謎に挑む第四話「慈悲の花園」まで、時間を遡って少女探偵団の“その後”を描く、津原泰水にしか書き得ない青春探偵小説の傑作。

「BOOK」データベースより

『ルピナス探偵団』シリーズの第二弾となる本書。

前の話はこちら。

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前作で青春らしい輝きを見せてくれた少年少女たちですが、本書ではその雰囲気ががらりと変わります。

賑やかさは控えめで、その分哀愁が漂い、前作と違った青春の一ページを味わうことが出来ます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

第一話『百合の木陰』

ルピナス探偵団としての最後の活動記録である話。

彩子たちは二十五歳になり、仕事をするようになって離れ離れになっていました。

そんな時、摩耶の訃報が飛び込んできて、再び集合することとなりました。

死因は白血病による病死です。

摩耶は早々に結婚して川越で暮らしていました。

夫含めて遺族が悲しみに暮れる中、摩耶について説明のつかない謎が残されていました。

摩耶は夫の所有する土地を無理やり市に寄贈させ、その林の中に曲がりくねった、利用しにくい遊歩道を作らせたのでした。

なぜ摩耶はこんなことをさせたのか。

ルピナス探偵団が調べると、この土地こそが摩耶の生まれた場所であることが判明します。

何かこれには意味があると調査を続けると、この林には摩耶の秘密が隠されていました。

第二話『犬には歓迎されざる』

同じ大学に進学した彩子と祀島。

歴史学専攻教授の石神井から食事会に誘われ、彩子は祀島の付き添いという形でついていきます。

食事の場には、小説家の蒲郡も同席していました。

彩子は応募した小説が短編部門の佳作に選ばれていて、蒲郡はその時の審査員の一人でした。

食事会を終えて帰路に着く彩子と祀島ですが、すれ違う救急車に嫌な予感を覚え、来た道を引き返します。

すると、蒲郡の家に泥棒が入り、蒲郡はバットによる打撃で足が折れていました。

第三話『初めての密室』

彩子は別の大学に進学した霧江に無理やり合コンに参加させられます。

興味のなかった彩子ですが、参加者のうち、初対面にも関わらず知っている人がいることに驚きます。

日野慶太。

四年前に彩子が解き明かした密室事件の犯人の息子でした。

当時、その事件の捜査に当たっていた庚午は今になって事件に疑問が残っていることに気が付き、祀島含めて三人で事件の再解体に挑みます。

すると、四年前には気が付かなった真実が浮かび上がります。

第四話『慈悲の花園』

卒業を間近に控えたルピナス探偵団。

卒業式のために学校に向かうと、突然の延期を知らされます。

事件の予感がして彩子と祀島は学校に向かうと、動物小屋で多々良理事長が殺害されていたことが分かります。

一同は卒業前にこの事件を解決したいと思い、庚午に協力してもらいながら独自に捜査をします。

学校の正門から外に出ていく赤いワンピース姿の女性が目撃されていて、有力な容疑者とされますが、本当にそうなのか。

学校を舞台にして、いかにこれまでの日々が尊く大切だったのかが分かる事件になっています。

感想

時を遡る寂しさ

本書は第一話で摩耶を永遠に失うという衝撃の展開から幕を開けます。

ただの美少女。

そんな風に一番印象の薄かった彼女が、ここにきて強烈な印象を残します。

摩耶もいてこその『ルピナス探偵団』なのだと思い知らされました。

そして、物語は時を遡り、彼らの大学時代、高校時代にフォーカスを当てます。

そこには僕の知る彼ら彼女たちがいて、嬉しくなると同時に、第一話の未来に向かって進むのだと思うと哀愁を感じずにはいられませんでした。

タイトルにある『憂愁(悩み悲しむこと)』にぴったりの内容で、青春時代を振り返ることも少なくなった自分にとって、これもまた青春だなとかつての自分を思い出しました。

変わる環境と変わらない思い

社会に出て、立場や環境によって離れ離れになった一同。

摩耶の死をきっかけに集まるわけですが、離れていても気持ちは誰も変わっていないのだと分かって心の底から嬉しく思いました。

これから先もいつか別れは訪れるし、集まってもすぐに離れ離れの関係に戻ることは間違いありません。

それでも一緒にいた時のことを宝のように思い、いつでも相手のことを思っている姿が、彼らの青春が間違っていなかったことを証明しているように思います。

最後の話で四人は永遠の友情の誓いを立てるのですが、これが感涙ものなのでぜひ読んでみてください。

次作への期待

あまりに綺麗な締め方に、てっきり本書でこのシリーズは完結かと勘違いし、寂しく思っていました。

ところが、巻末の石井千湖さんの解説を読むと、あと一作執筆予定であることが書かれています。

調べてみると、なんと『ルピナス探偵団の情熱』というタイトルで2019年10月に第一話のその1が公開されていました。

Web上で見ることができますので、完結していなくてもとにかく早く読みたいという人はぜひご利用ください。

【特別掲載】〈ルピナス探偵団〉のみんなが帰ってきた―― 『ルピナス探偵団の情熱』第一話「ハミルトンの汀」その1

まだもう少しだけ『ルピナス探偵団』の活躍が見られるようなので、ゆるりと待ちたいと思います。

おわりに

二作目にしてここまで登場人物たちに感情移入をするとは思いませんでした。

まるで彼らと共に青春時代を過ごしたようで、振り返るとおかしく、そして戻らないことにどうしようもない寂しさを感じました。

青春ミステリの中でも自分にとって特別な作品なのだと、本書を読んで改めて実感しました。

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