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『ロートレック荘事件』あらすじとネタバレ感想!筒井康隆が放つメタミステリ

harutoautumn
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夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。

「BOOK」データベースより

あまりミステリのイメージがなかった筒井康隆さんですが、メタ・ミステリものとしてよく本書の名前を聞いていたので、ようやく読む決心がつきました。

1990年に発表されたこともあり、設定や価値観など平成以前の古さがあります。

また本書最大の魅力であるトリックについて賛否両論ありますが、僕が後から読み返しても大きな破綻は見られず、非常にうまく出来ていると思います。

二百ページちょっとというボリュームで種が明かされれば単純な話なので、本格ミステリとしてではなくエンタメ作品として気楽に読むくらいがちょうど良いのではないでしょうか。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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ロートレックとは

本書の内容に入る前に、タイトルやバカンスの滞在先にもある『ロートレック』について説明したいと思います。

ロートレックとはフランスの画家で、正式名称はアンリ・ド・トゥルーズ=ロートレックといいます。

十九世紀後半のパリを表現した印象派画家で、本書には彼の作品が数多く登場し、実物がカラー印刷されて登場します。

本筋とはそこまで関係ありませんが、ミステリの雰囲気をかもしだすアイテムの一つとしてしっかり機能しているので、余裕のある方はこちらも合わせて楽しむと良いと思います。

あらすじ

内容に入る前に、本書には叙述トリックがしかれています。

叙述トリックとは、不都合な事柄や描写をあえて伏せることで、読者に事実を誤認させるテクニックのことです。

そのため、あらすじをそのまま書くとトリックの根幹に触れ、それはもはやあらすじではなくなってしまいます。

そこでかなりぼやかして書きますが、ご了承ください。

ロートレック荘

木内文麿が所有するロートレック荘に将来有望な青年や美しい娘、そしてその父親や母親などが集まり、数日間のバカンスを楽しむ予定でした。

優雅な時間であると同時に、映画製作で生まれた赤字を誰が出資して補填するのか、三人の若い娘の誰が将来有望な青年を射止めるのかなど見えない攻防の時間でもありました。

バカンスは何日もあると焦らずにいた一同ですが、早朝、二発の銃声が聞こえ、事態は急変します。

音のする方に向かうと、そこには若い娘のうちの一人・牧野寛子の死体がありました。

意外な犯人

警察が捜査に乗り出します。

外部犯の可能性を模索する中、殺人事件は連続し、三人の娘全員が殺害されてしまいました。

これらの状況を総合すると、内部犯でしかありえないことが分かり、やがて犯人が判明します。

非常に簡単な理由で犯人が特定されますが、首をかしげる読者も多かったはず。

本書には大胆なトリックが仕掛けられていて、それを知ることで物語は大きく変化します。

犯人は自分のしたことを自供しますが、それはトリックの説明でもありました。

感想

テンポが良い

二百ページちょっとという比較的少ないボリュームで、しかもそのうちの十数ページはロートレックの作品が載っているだけ。

叙述トリック自体が分かれば単純な事件なので、非常にテンポよく読むことができます。

発表された年代の影響で、今では表立って言えないような失礼な表現、扱いなど多々ありますが、それも含めて古き良きミステリの姿として非常に満足のいく出来でした。

叙述トリックが絶妙

本書最大の魅力であり、読者の間でも賛否両論が分かれる叙述トリックについて。

アンフェアだという人もいますが、僕はそうは感じませんでした。

一人称で視点が変わる点からある程度予想はつきますし、違和感を覚えるポイントはいく

つも散りばめられています。

第一、叙述トリックの魅力はそれを暴くことではなく、知る前後で世界がどのように変わるのかを楽しむことにあると僕は考えています。

だまし絵が良い例えだと思いますが、自分の勝手な認識や思い込みが本来の姿を捻じ曲げ、それが正された時の納得と驚き。

その点において、本書はトリックが分かってからの解説が分かりやすく、大きな破綻も見られなかったため、評価されてしかるべき作品だと思います。

エンタメくらいの気持ちで読むのが良い

とはいえ、本格ミステリとしては弱さを感じます。

殺害方法や事件の焦点などかなり限定されていますので、事件そのものを推理する余地はあまりありません。

あくまで叙述トリックがメインであり、それが分かれば犯人はあっさり分かります。

探偵気分で読むには適していません。

これらのことを踏まえ、一種のエンタメ作品くらいの気楽さで読むと素直に楽しめるのではないでしょうか。

事件や叙述トリックを自分で暴こうとせず、騙されるがままにして、筒井さんの手のひらの上で踊らされる。

それに抵抗がなければ、本書は間違いなく名作です。

おわりに

筒井さんの作品といえば『旅のラゴス』しか読んできませんでしたが、本書は読んで大正解でした。

叙述トリックはもちろん楽しかったですが、やはり昔の時代背景の方がミステリは映えるなと、古典ミステリに対する欲求が再燃しました。

今では当たり前の手法になった叙述トリックですが、作者の違いや作品の描かれた年代によってそれが与えてくれる衝撃は違いますので、ぜひ興味のある方は挑戦してみてください。

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