『虚構推理』あらすじとネタバレ感想!都市伝説を倒すのに必要なものは合理的な虚構
巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?驚きたければこれを読め―本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!
「BOOK」データベースより
アニメ化もされている本書。
合理的な虚構で都市伝説に立ち向かうという設定がまず面白い。
それから主人公である琴子と九郎の掛け合いも素晴らしく、大満足の一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
知恵の神
岩永琴子は十一歳の時、妖怪たちに二週間ばかりさらわれたことがあります。
そこで彼らに知恵の神になってくれと頼まれ、了承した琴子は以来、彼らの争いごとや問題が起こった時、仲裁役を務めるようになりました。
代わりに右眼と左足を失い、義眼と義足で補っています。
琴子はそれから週一で病院に通っていますが、十五歳の時、従姉のお見舞いで病院を訪れていた桜川九郎に一目ぼれします。
彼には恋人がいてつけ入る隙はありませんでしたが、数年経って二人が別れたと聞き、琴子は彼に交際を申し込みます。
妖を食らう男
いきなりほぼ初対面の相手に交際を申し込まれて面食らう九郎ですが、琴子と会話を重ねる中で、彼が普通の人間でないことが分かります。
九郎は十一歳の時、人魚と件(くだん)という妖怪の肉を食べ、その二体の能力を受け継いでいたのです。
人魚によって不死の体を得て、件によって死ぬ間際、可能性のある未来を見てそれを選び取る能力を得ました。
通常であれば件の能力は一生に一回しか使えませんが、不死の九郎であれば望む未来を掴むまで何度もチャレンジすることができます。
もちろんなんでも叶えることができるほど万能な能力ではありませんが、妖怪たちからは恐れられるほどの存在でした。
元恋人と別れたのも、九郎の正体が知られてしまったからです。
琴子であればそんな部分も含めて受けいれられるといい、こうして二人の不思議な交際が始まります。
鋼人七瀬
琴子のもとに、鋼人七瀬という妖怪を何とかしてほしいと、妖怪たちから要請があります。
鋼人七瀬は亡くなったアイドルが化けたという都市伝説が実体化したもので、対話ができない相手でした。
琴子は鋼人七瀬を何とかしようと真倉坂市を訪れ、たまたまとある女性と出会います。
その人は九郎の別れた元恋人、弓原紗季でした。
感想
これぞ妖ミステリ
妖怪が登場する小説、アニメは数多く登場します。
しかしその中で、本書のようにミステリが中心で、しかも真実ではなく虚構で立ち向かうというのは斬新で、その点がまず気に入りました。
主人公である琴子は様々な妖怪たちから情報を得ることができるので、見たから聞いたから真実を知っている、というチートを見せつけてくれます。
この時点で、推理を楽しみたい人には向かないことがよく分かると思います。
本書の魅力はそこではなく、どうすれば虚構によって真実よりも納得させられるかというところにあります。
今回の都市伝説は虚構推理というテーマにとってもってこいのもので、合理的な嘘をまずは楽しんでほしいです。
登場人物がユニーク
本書のもう一つの魅力として、登場人物のユニークさがあります。
まずは琴子。
人形のように可憐で上品な彼女ですが、時に下品なことを平気で言い、ギャップを見せてくれます。
そんな彼女に対する九郎、紗季の応対は遠慮がなく、ユーモアたっぷりのやりとりがたまりませんでした。
系統こそ違いますが、西尾維新さんや森博嗣さんの作品が好きという人であれば、かなりはまるのではと思っています。
次巻以降への期待
本書では中盤以降、鋼人七瀬の裏に黒幕がいることが示唆されます。
しかもこの話だけで完結するものではなく、シリーズとして黒幕と対峙することになるので、自然と次巻以降への期待が高まります。
九郎×琴子のコンビがどんな活躍を見せ、どういった結末を迎えるのか。
本書を気に入って人であれば、シリーズを通して読むことを強くオススメします。
おわりに
アニメではまって本書に入りましたが、どちらも違った魅力があって良かったです。
本書から入ったという人はぜひアニメも見てみてください。
小説の魅力をうまく取り入れ、良い意味で再現されています。
次の話はこちら。
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