『薬屋のひとりごと 5』あらすじとネタバレ感想!
子の一族の反乱がおさまり、宮廷では皇子が生まれたことで玉葉后が正室になった。壬氏もまた、宦官ではなく皇弟として政を行うこととなる。一見、何事もなく平和におさまったかに見えたが、都にはすでに不穏な空気が漂っていた。猫猫はといえば、謎の毒菓子事件、蝗害への不安、紙の村の所有権問題…いつものごとく巻き込まれ、首を突っ込むことになる。また、壬氏からの命令で、玉葉妃の故郷、西都へと向かうことになった。色とりどりの花たちが咲く舞踏会で何者かの陰謀が渦巻いていく。猫猫はその思惑を暴くことができるだろうか!?
「BOOK」データベースより
シリーズ第五弾となる本書。
前の話はこちら。
前作で一つの大きな流れがまとまりましたが、本書で新たな大きな流れが生まれます。
それも後宮内に留まらない規模になるので、より壮大な物語を楽しめます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
蝗害(こうがい)
昨年、飛蝗(バッタ)が大量発生したという話が舞い込みます。
数匹であれば何の害もありませんが、これが無数に発生すれば、作物や住居、衣服までも食い荒らされ、人々の生活を脅かす大変な事態になります。
壬氏はすでに被害の報告を受けており、対策を進めていました。
被害分の食料はカバーすることができますが、さらに被害が拡大すれば、誰にも手に負えない状況になることは明白です。
猫猫は蝗害について調べていた人の研究をたどり、今後の対策について考えます。
予感
蝗害の研究内容から、小規模な蝗害は大規模な蝗害の前触れであることが判明しました。
小規模であっても被害を被っていることから、大規模な蝗害が起きた場合、対応を間違えれば飢饉にさえ発展しかねません。
研究には対策方法までは記載されておらず、そこから先は猫猫たちが考えなければなりません。
この問題はここから先、しばらく続く問題で、シリーズ数作を通じてどんどん壮大な問題に発展していきます。
白蛇仙人
仙女のような娘がいるという噂でにぎわっていました。
緑青館はそのあおりを受けて売り上げが落ちており、猫猫は仙術を使うという娘を一目見に行きます。
少女はその容姿から白娘々(バイニャンニャン)と呼ばれていて、確かに理解できないような不思議なことを次々にやってのけます。
誰もが仙術だと驚きますが、猫猫は冷静に観察・分析し、決して仙術の類ではなく、ちゃんとトリックがあることを見抜きます。
白娘々の話は一旦これで終わったように見えますが、話が進むにつれて彼女の影が何度も見え隠れして、大きな物語へと発展します。
感想
束の間の日常
前作で大きな事件が幕を閉じ、猫猫はその後始末というか、日常を取り戻すために新たなことをいくつかしています。
被害にあった人たちが新たな居場所を見つけ、物語に自然に組み込まれる。
自然な人の営みを丁寧に描いていて、物語が違和感なく広がっていくのを感じました。
日常ではありますが、猫猫のそれに退屈なことなど絶対にありえませんので、しっかり楽しめます。
新たな問題
今回は種まきのようなパートで、盛り上がりを見せつつも、新たな大きな問題の発端にしかすぎません。
発端でもこれだけ面白いのだから、物語はどこまで拡がるのだろう。
それに対して、猫猫たちはどのように立ち向かい、どんな変化を見せてくれるのか。
多くの人の状況、思惑が複雑に絡み合っているので、正直、先の展開が読めず、それがドキドキワクワクに繋がっています。
どんな物語になるのかは分かりませんが、猫猫をはじめとした登場人物の物語であれば、どうなっても絶対に楽しいはず。
そんな安心感がすでに漂っていますので、シリーズとして成長したのだとはっきり感じとることができました。
おわりに
新たなスタートにふさわしい一冊でした。
登場人物も入れ替わり、さらに勢いを増しているので、しっかりじっくり楽しみたいと思います。
次の話はこちら。
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