『薬屋のひとりごと』あらすじとネタバレ感想!下働きの少女が宮中の事件を次々に解決する
大陸の中央に位置するとある大国。その皇帝のおひざ元にその娘はいた。猫猫(マオマオ)、花街で薬師をやっていたが、現在後宮で下働き中である。けして美人とはいえぬその娘は、分相応に何事もなく年季があけるのを待っていた。まかり間違っても帝が自分を“御手付き”にしない自信があった。そんな中、帝の御子たちが皆短命であることを知る。存命の二人の御子も重い病と聞いた猫猫は、その原因を調べ始める―。大絶賛されたあの痛快ミステリーが待望の文庫化。中世の東洋を舞台に「毒味役」の少女が宮中で起こる難事件を次々に解決する。
「BOOK」データベースより
様々なメディアで露出し、国民的な人気シリーズとなっている本書。
ずっと気になっていましたが、今回ようやく手に取ることができました。
ライトノベルの軽快さに加え、薬剤知識を駆使したミステリは読んでいて面白く、大満足の一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
誘拐
猫猫(マオマオ)は薬師として森に出かけているところを、宮廷の女狩りにあいます。
給料は出るし、二年が経てば元の生活に戻ることができるので、決して悪いことばかりではありません。
しかし、薬師として文句のない生活を送っていた猫猫にとって、迷惑でしかない話でした。
好奇心
宮廷は基本的に男性禁制で、三千人もの人が働いていました。
猫猫はその中で最下層の下女であり、彼女もそれで文句はなく、目立たぬように過ごすつもりでした。
しかし、帝の子どもが三人も立て続けに亡くなる事件が起こり、事態は変わります。
医師も死亡の理由が分からない中、猫猫は即座に原因を見抜き、書き置きという形で真実を伝えます。
ところが、それが仇となって猫猫は目を付けられることになります。
邂逅
宦官で絶世の美男子である壬氏は、事件の解決を知り、書き置きを残した人物に興味を持ちます。
そこで壬氏はとある策略を立て、見事に猫猫が書き置きの主であることを割り出します。
下女は字が読めない人が多く、それを利用した策略でした。
猫猫は、誰もが惹きつけられる壬氏の美しさを物ともしなかった女性であり、それが逆に壬氏の興味をそそります。
正体が暴かれたことで、猫猫は命の恩人ということで皇帝の寵妃の侍女となり、宮廷での新たな日々をスタートさせます。
感想
読みやすいミステリ
本書は薬に関係するミステリなので、状況から真相を推理することはなかなか難しいです。
なので自身で推理して楽しむという読み方にはあまり向きません。
しかし、猫猫の推理は鮮やかで爽快なので、見ていてとても気持ち良いです。
その力をひけらかしているわけでもなく、謙虚だけれども抑えきれない好奇心というのが見どころで、一気読みしてしまうほど面白いです。
キャラクターの魅力
ライトノベルといえば、キャラクターが魅力的であることは必須条件です。
本書はその点において条件を満たし、かつあらゆるライトノベルの中でもけっこう上位に食い込むのではないかと思います。
猫猫はもちろんのこと、彼女に多大な関心を持つ壬氏や彼女を大切にする玉葉妃やその侍女それぞれに魅力があり、みんなが主役級の強さを持っています。
話が進むごとに彼らのことを知ることができ、作品をもっと熱心に読みたくなる。
このループにはまったら最後、本書を読み終わるまで置くことはできないでしょう。
慣れるまで多少の辛抱を
文句なしで面白い本書ですが、唯一の難点をいえば、設定やキャラクターの名前を覚えるのに時間がかかることです。
中国風の名前は読み方が独特で、読み方を覚えないことには絶対に読めません。
しかも後宮の実態や制度自体に馴染みがなく、それに頭が慣れるまでも時間がかかります。
これに関してはなんとなくの理解で作品を読むのに支障はないので、シリーズを通して少しずつ慣れていくことをオススメします。
おわりに
一冊目ここまで魅力を明確に提示できる作品はそうはないので、シリーズの持つポテンシャルを感じ取ることができました。
ライトノベルで冊数が多いので、無理せず、じっくり本シリーズを楽しんでいきたいと思います。
次の話はこちら。
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