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『恋のゴンドラ』あらすじとネタバレ感想!真冬のゲレンデで巻き起こる男女の愛憎劇

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。やがて真冬のゲレンデを舞台に、幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。文庫特別編「ニアミス」を収録。

「BOOK」データベースより

とあるゲレンデを舞台にした大人の恋愛模様を描いた作品で、短編集ですがそれぞれ繋がっていて、読めば読むほどその構成が面白くなってきます。

良い恋愛話もあれば、単なるクズエピソードもあり、スカッとする人もいれば身に覚えのあることにギクッとするかもしれません。

ちなみに本書の文庫化の際、著者の東野圭吾さんは『ごめんなさい。すいません。男というのはこういう動物なんです』と開き直っていて、この潔さも含めて大好きです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

ゴンドラ

広太は同棲中の美雪と結婚目前でしたが、つい魔が差して浮気相手の桃実と里沢温泉スキー場を訪れます。

これからの二日間にワクワクが止まらない広太ですが、乗ったゴンドラで思わぬ事態に陥ります。

混んでいるため相乗りになり、広太たちと共に女性四人組が乗り込んできますが、広太はそのうちの一人を知っていました。

それは、なんと美雪だったのです。

リフト

同じホテルで働く日田栄介、水城直也、月村春紀、木元秋菜、土屋麻穂は休日を利用して里沢温泉スキー場を訪れていました。

水城は秋菜と交際していて、そのことを日田だけが知っていますが、水城の言動や態度から麻穂に気があることが分かります。

日田はそれとなく麻穂に警告しますが、実は日田の知らない秘密がありました。

プロポーズ大作戦

日田は同じ職場の橋本という女性と交際を始め、ドラマティックなプロポーズをしたいと思っていました。

そこで水城も協力し、里沢温泉でインパクトのあるプロポーズをしようと計画を練り、実行に移します。

途中までうまくいっていましたが、そこで思わぬ事実が判明します。

ゲレコン

浮気がバレて広太と別れた桃実は、友人の山本弥生と共に里沢温泉スキー場で行われるゲレコン(ゲレンデを舞台にした合コン)に参加します。

三十歳という年齢もあり良い男性と巡り合えない中、桃実と弥生が気に入る男性二人組が現れます。

なんとその相手は、水城と日田でした。

スキー一家

月村は麻穂と結婚することになり、彼女の両親と共に里沢温泉スキー場を訪れます。

麻穂の父親はスキーを愛し、逆にスノーボーダーを嫌っていました。

月村はスノーボードをしているとはいえず、麻穂も父親には困っていましたが、とある出来事によって状況ががらりと変わります。

プロポーズ大作戦リベンジ

ゲレコン後もたまに会っている日田と水城、桃実と弥生。

日田は桃実に好意を寄せていますが一度告白を断られていて、弥生も日田を憎からず思っているものの、アプローチしてこない日田にやきもきしていました。

そこで水城と弥生は二人をくっつけようと作戦を考えますが、その裏ではさらなる思惑が動いていました。

ニアミス

文庫本用の書き下ろし。

広太は自らの行いに懲りて美雪と結婚しますが、里沢温泉スキー場で弥生と出会ったことで再び浮気に走ります。

前回の反省を活かし、もう少しで弥生との楽しい旅行が決まるはずでしたが、思わぬミスによって事態は急変します。

ゴンドラ リプレイ

いまだに仲の進展しない日田と桃実。

再びいつものメンバーで里沢温泉スキー場を訪れ、桃実は日田との交際について一つの光明を見つけます。

ワクワクしてゴンドラに乗り込みますが、そこで再び悪夢がゴンドラを襲います。

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感想

ゲレンデならではの恋愛が楽しめる

おそらく大学生以上の人だと覚えがある人も多いかもしれませんが、ゲレンデでは誰もがウィンタースポーツ用のウェアに身を包み、帽子にゴーグルまで装着しているので、顔や体型がほとんど分かりません。

ウェアの色によっては性別すら曖昧です。

そのため街中での恋愛とは違った楽しみや緊張感があり、それを利用して恋を成就させようとする人も多いと思います。

本書ではゲレンデならではのシチュエーションを利用して、普段ではあり得ない恋愛模様を描いています。

僕はかつて、ピンクのウェアを着ていたせいで女性と勘違いされ、目を丸くされた覚えがあり、本当に想定外のことが平気で起こります。

しかも登場人物がみな社会人である程度年齢を重ねたこともあって、結婚という見えない重圧も抱え、笑えるけれど笑えない真剣さを帯びているところも見どころです。

純粋な恋愛を求める人が報われるのか。

あるいは本命をキープしつつも、浮気相手を探すようなクズな人間が得をするのか。

綺麗ごとだけではない、非常に人間らしい物語なので、変に創作がかっていない恋愛が好みの人には特に面白いのではないでしょうか。

クズ男の描写が素晴らしい

これは東野さんの人間性を否定するわけではありませんが、本当にクズな男を描かせたら超一流です。

どれだけ悪いことをしていようが、平気で開き直って自分を正当化し、悪事がバレても最後まで自分の利益のために足掻こうとします。

もちろんそういった人には相応の罰が待っているわけで、そういったことも含めて本書は本当に面白いです。

素直に見れば恋愛小説ですが、人にとってサスペンス、ホラーに早変わり。

この辺りの容赦なさは東野さんだからこそ出せる持ち味かなと思います。

おわりに

特殊な環境下でのみ起こり得る恋愛をうまくつなぎ合わせ、エンタメ作品として非常に高い完成度を誇る本書。

読み進めるほど思わずニヤニヤ、ヒヤヒヤしてしまう展開の連続なので、最後まで気を抜かずにお楽しみください。

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