『きつねのはなし』あらすじとネタバレ感想!京都に潜む闇を描いた作品集
「知り合いから妙なケモノをもらってね」篭の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現われて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
「BOOK」データベースより
森見さんといえばどこか憎めない癖の強いキャラクターの描かれた作品が有名な一方で、言葉で説明のできない幻想的でどこか怖い作品もまた定評があり、本書は後者に当たります。
独立しているようで繋がりがあり、かと思えばやはり独立している四つの短編。
読んだ後でもうまく言葉で説明できない話なのですが、得体の知れない恐怖がたまらない一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
きつねのはなし
私は京都の一乗寺にある古道具屋・芳蓮堂の店主・ナツメに一目会って気になり、アルバイトとして働くことにしました。
仕事を手伝う中で、私はナツメから天城という特別な客の元にお使いを頼まれるようになります。
天城には得体の知れないところがありましたが、その印象がより強まるきっかけがありました。
私は誤ってお客に届けるはずの皿を割ってしまい、そのことをナツメに伝えると、天城に会うよういわれます。
天城はお客の気に入るものをくれますが、代わりのものを私に要求します。
ナツメには何も渡さないよう言われていましたが、惜しくないものであったことからナツメに黙って渡してしまいます。
そこから私は天城に囚われるようになりました。
果実の中の龍
私が大学の研究会で先輩と知り合い、出会いからしばらくして付き合いが始まりました。
先輩は他の人と一線を画しているように見え、大学生になりたての私には経験豊富な大人に映りました。
先輩だけでなく先輩の彼女・結城瑞穂とも交流するようになりますが、穏やかな時間は長くは続きませんでした。
ケモノという言葉が先輩の口から何度か語られますが、やがてそれが三人の関係性に影響を及ぼし始めます。
魔
私は大学の友人の紹介で高校一年の西田修二の家庭教師をすることになりました。
修二は剣道をしていて、私はその繋がりで兄の直也や秋月、夏尾美佳とも知り合いになります。
西田家の近くではケモノが出るという噂があり、私は狐に似た、けれど狐とは違うケモノを目撃しています。
それから夜ごとに人が襲われる事件の話もあり、魔が通ると言われています。
この『魔』とは何なのか。
物語が進むにつれてやがて明らかになります。
水神
五年前の話。
私の祖父が亡くなり、通夜に参加します。
その後、親戚で集まって夜の宴をすることになり、一同は祖父の馴染みである芳蓮堂が預かりものである家宝を持ってくるのを待っていました。
酔いが進む中で祖父や親族の思い出話をしますが、その夜、不思議なことがいくつも起こります。
感想
言葉で伝えられないホラー
僕の読み込みが足りないせいかもしれませんが、森見さんのホラーはどれも言葉でうまく説明のできない、得体の知れない怖さを孕んでいます。
それは『宵山万華鏡』であり『夜行』であり、本書です。
書いてあることでさえ幻想なのか真実なのか分からない。
それを簡潔に言葉にしようとするのですから、言葉で伝えることがいかに難しいのかが分かると思います。
物語の内容の半分も理解できていません。
けれど、本書のまとう雰囲気は僕を離してくれませんでした。
森見さんのホラーはこれだけで読む価値のある作品だと思います。
後半で勢いが鈍る
前二つの物語は比較的分かりやすく、全体像が掴みやすいところがありました。
一方、後半の二つについてはより幻想的になり、何がどうなっているのかすら理解できないこともよくありました。
そのせいか冗長に感じてしまい、集中力が切れてしまって仕方ありませんでした。
この点においては、『宵山万華鏡』や『夜行』よりも読みにくいと思います。
素晴らしい物語だと分かっているのに、自分の理解が追い付かない。
口惜しいですが、自分にはまったかとは言い難く、もったいなかったという感触がなかなか拭えません。
おわりに
京都という舞台を最大限に活かした幻想的なホラーで、いわゆる森見ワールドとは違った魅力を惜しみなく見せてくれます。
分かりやすい物語を求める人にとっては向かない作品かもしれませんが、森見登美彦という作家を知る上で必要不可欠な作品だと思います。
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