『鬼談百景』あらすじとネタバレ感想!読者から寄せられた怪談を仕上げた九十九の話
学校に建つ男女の生徒を象った銅像。その切り落とされた指先が指し示す先は…(「未来へ」)。真夜中の旧校舎の階段は“増える”。子どもたちはそれを確かめるために集合し…(「増える階段」)。まだあどけない娘は時折食い入るように、何もない宙を見つめ、にっこり笑って「ぶらんこ」と指差す(「お気に入り」)。読むほどに恐怖がいや増す―虚実相なかばする怪談文芸の頂点を極めた傑作!初めての百物語怪談本。
「BOOK」データベースより
小野不由美さんによるホラーである本書。
百物語が題材になっていて、理由は後述しますが、九十九のショートホラーが収録されています。
読者の手紙に書かれた話をもとに組み立てていて、短い時は一ページで収めています。
その中で導入から不気味さを与える結末と余韻を見事に満たしていて、小野さんの手腕が遺憾なく発揮されています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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百物語とは
本書を語る前に、日本の怪談において外せない『百物語』というワードについて解説します。
百物語とは日本の伝統的な怪談会のスタイルの一つです。
参加者が各々の怪談を語り、百話語り終えると、本物の怪異が現れてるというものです。
それゆえに、作品としてはあえて九十九話で止めて、怪異が現れる直前でやめるスタイルをとることが多く、本書もそのスタイルを採用しています。
よく夏の夜、暗い部屋で参加者が円陣を組み、真ん中に蠟燭を立てて順番に怪談を披露するという絵がありますが、百物語はそのイメージで差支えないと思います。
あらすじ
本書は九十九の怪談が収録されていて、それぞれが独立しているので特定のあらすじはありません。
正体がはっきりしないものも多く、もやもやとした感覚が残ることもありますが、それが日常をかすかに変えるような余韻に繋がっています。
また明確な怪異がほぼ登場しないので、ホラーが苦手という人にも読みやすいのもポイントです。
感想
小野さんの手腕
本書は前述したように、読者の手紙に書かれた話をもとに描かれています。
なのでネタは十分なように思えましたが、巻末にある稲川淳二さんの解説を読んで認識が変わりました。
長くする分には風景・心理描写を足せば良いので、いくらでも増やすことができます。
しかし、短くする分にはそうもいかず、それでいて読者を怖がらせないといけません。
この難しさを認識してから改めて読むと、小野さんの手腕がいかにすごいかが読み取れます。
長くても二、三ページ。
その中で分かりやすく導入して、たちどころに読者をその世界に誘う。
疑問と興味を抱かせ、最後に怖がらせる。
素っ気なさすぎない、けれど大げさでもない。
この絶妙なバランスを九十九回もやっているので、これだけでも小野さんのすごさを分かってもらえると思います。
おまけに読者の話には矛盾をはらんでいることも多いと思うので、それをどう修正・保管するのか。
この辺りにも小野さんの実力と苦労が現れているのではないでしょうか。
さすがに飽きる
これだけ小野さんのすごさを語りましたが、結論からいうと、僕は途中から飽きてしまいました。
物語にどっぷり浸かってじっくり読みたい派なので、そもそもが短編に不向きな性格です。
それが今回は九十九回も気持ちを切り替えないといけないので、これがけっこう大変でした。
おまけに登場人物は実話怪談であるアルファベットを使った仮名なので、人物像をイメージしにくいところを飽きの原因になっているのかもしれません。
稲川淳二さんが語ってくれたら面白いだろうな、と思っていたら解説でまさかのご本人が登場したので、それはかなり嬉しかったです。
百物語のように読者も雰囲気作りをして、それから本書を手に取ると、本書のコンセプトが見事にはまるかもしれません。
おわりに
小野さんといえば『残穢』、『屍鬼』のイメージがあったので、ホラーにおける強みが本書にもきっちり反映されていました。
夏の夜、暗い部屋に蝋燭なんか灯して読むと、雰囲気が出てより良いかもしれません。
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