ミステリー

『神様の罠』あらすじとネタバレ感想!ミステリ作家六人による豪華なアンソロジー

人気作家6人の豪華すぎるアンソロジー!ミステリー界をリードする作家による、珠玉の「罠」。好きな作家を指名買いの方も、新たなお気に入り作家を探す方も納得の一冊です。

「夫の余命」乾くるみ
「崖の下」米澤穂信
「投了図」芦沢央
「孤独な容疑者」大山誠一郎
「推理研VSパズル研」有栖川有栖
「2020年のロマンス詐欺」辻村深月

Amazon商品ページより

ミステリ界において第一線で活躍されている六人の作家さんによるアンソロジーです。

僕は辻村深月さん、米澤穂信さん、芦沢央さん目当てで買いましたが、他の作家さんの作品も好きですので、購入前からドハマりすることは分かっていました。

分かっていましたが、いざ読んでみるとやっぱり面白いです。

各作家さんの誇るシリーズの延長線上にある作品だったり、シリーズに関係ない作品だったりバリエーションに富み、一人でもお目当ての作家さんがいれば買いです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

夫の余命

乾くるみさんの作品。

時系列がどんどん遡る形で物語が展開していきます。

貴士と美衣は余命が残りわずかであることを承知の上で結婚しますが、すぐ死によって離れ離れになってしまいます。

この話では美衣が過去を振り返るという形で進行しますが、そこには隠された秘密がありました。

崖の下

米澤穂信さんの作品。

とあるスキー場で旅行客の五人中四人が宿に戻ってこないという事案が発生し、群馬県杉平警察署の葛たちが捜査に当たります。

行方不明だった人のうち二名が見つかりますが、一名は重症で救急搬送され、もう一名は亡くなっていました。

二人は崖から落ちたことが分かっていますが、死因は先の尖ったもので頸動脈を刺されたことによる失血死で、明らかに他殺です。

葛は状況から他の行方不明だった三人の誰かが殺害したと考えますが、凶器が見当たらないことが問題でした。

投了図

芦沢央さんの作品。

とある町で有名棋士による棋将戦が行われ、全国ニュースでも取り上げられるほどでした。

一方で、新型コロナウイルスによって緊急事態宣言が出ていた時期ということで、感染拡大を懸念した一部の人からは猛烈な反対意見が挙がっていました。

そんな時、美代子はあることに気が付きます。

対局で使われる会場に貼られた中止を求める張り紙。

その字が夫のものによく似ていたのです。

夫は大の将棋好きであるはずなのに、なぜそんなことをするのか。

美代子の疑念は深まり、やがて全てのことが明らかになります。

孤独な容疑者

大山誠一郎さんの作品で、『赤い博物館』に登場する人物が活躍します。

久保寺は妻の沙耶を自殺で二年間に失くしていました。

彼には秘密があって、それは藤白亮介という男を殺害したことでした。

その事件はすでに時効を迎えており、かつ久保寺には当日のアリバイがあります。

バレるはずない。

久保寺は高を括っていましたが、その時、突然警視庁付属犯罪資料館の緋色冴子、寺田聡が現れ、鮮やかに事件の全容を解き明かします。

推理研VSパズル研

有栖川有栖さんの作品で、学生アリスシリーズに登場する人物が活躍します。

英都大学推理研究部の望月と織田は飲み屋で同じ大学のパズル研の面々とかち合い、ひょんなことから勝負をすることになります。

パズル研の出した問題を解ければ推理研の勝ちですが、望月と織田の手には負えず、推理研総出で挑むことになります。

なかなか答えが見えない中、部長である江神はあっさりと答えを導き出します。

2020年のロマンス詐欺

辻村深月さんの作品。

加賀耀太は大学に通うために山形から上京しますが、新型コロナウイルスによって大学に通うことは出来ず、親からの仕送りは半分になって経済的にピンチでした。

そんな時、地元の幼馴染の奥田甲斐斗からオンラインでできるバイトを紹介され、耀太は喜んでそのバイトを始めます。

ところが、そのバイトは詐欺そのもので、耀太が次第にそのことに気が付いた時にはもう遅く、逃げ出せなくなっていました。

耀太は良心を痛めながらもお金持ちのふりをして引っかかりやすそうな人たちにメッセージを送り続け、未希子という女性とやり取りをするようになります。

未希子の言葉でたまに本音が出てしまう耀太。

はじめは他愛のないやりとりでしたが、やがて未希子からとんでもない言葉が飛び出します。

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感想

短い中に凝縮された驚き

どの作家さんもミステリ業界において知らない人はいないであろう方々ばかりで、かつここまで自分の好みが見事に反映されたアンソロジーは未だかつて読んだことがありませんでした。

内容としては2021年現在も猛威を奮っている新型コロナウイルスに関係した話だったり、既存シリーズに関係した話だったり、はたまた(初出誌における)完全新規の話だったりととにかくバリエーションに富んでいます。

冒頭にも書きましたが、僕は辻村深月さん、米澤穂信さん、芦沢央さん目当てで購入し、こちらの方々の作品は予想通りの仕上がりでした。

僕の勝手な期待を満たしてくれるだけの作品が並び、これだけでも満足です。

次に、大山誠一郎は『赤い博物館』、有栖川有栖さんは『学生アリス』シリーズに関係した作品だったので、読んだ当時のことを思い出しながら楽しむことが出来ました。

そして、一番驚いたのが乾くるみさんの作品。

『イニシエーション・ラブ』を読んだ時のあの衝撃はいまだに忘れられませんが、その衝撃を目の前で再現されたかのような圧倒的な破壊力を誇っていました。

そんな話ですら本書の一部に過ぎないのですから、豪華すぎるアンソロジーという謳い文句もあながち誇張ではありません。

入門編になり得るかも

本書に収録された作品の作家さんを知らない人でも、本書は充分に楽しめます。

むしろ本書を入門編と捉え、自分の感性に合った作家さんの作品を掘り下げるのも一つの楽しみ方かもしれません。

一方で、本書に収録された作品でその作家さんの魅力が伝わるかというと、この点に関しては微妙と言わざるを得ません。

僕の今回の推しである辻村深月さん、米澤穂信さん、芦沢央さんの作品について、確かに面白いです。

しかし、これだけでこの方々の作家性を判断してほしくないというのが僕のワガママな願いでもあります。

もしちょっとでも引っ掛かるものがあれば、ぜひ別の作品にも挑戦いただき、新たな出会いに繋げてもらえればと思います。

おわりに

ファンにとっては夢の競演、新規の人にとっては新たな出会いの場としてアンソロジーは素晴らしい企画であり、特に本書は参加している作家の方々に外れがありません。

どの方も自信を持ってオススメできる名作家ばかりなので、ぜひ本書を足掛かりに新たな挑戦をしてみてください。

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