『噛みあわない会話と、ある過去について』あらすじとネタバレ感想!ホラーともいえる短編集
あなたの「過去」は、大丈夫?
美しい「思い出」として記憶された日々――。
その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集!大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。「ナベちゃんのヨメ」
国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」
人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
Amazon商品ページより
タイトルが全てを物語る本書。
辻村さんならではの人間それぞれの心理描写が細かく、自分の過去は大丈夫だろうかとゾッとしてしまいました。
ある意味、ホラーともいえるテイストで、背筋が冷えるような短編を四つも楽しむことができます。
本書に関する辻村さんへのインタビューはこちら。
この本を読んで凍りつく感覚がない人は危ない 著者は語る 『噛み合わない会話と、ある過去について』(辻村深月 著)
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
ナベちゃんのヨメ
大学時代、コーラス部に所属していたナベちゃんという男性。
彼は女子に人気がありましたがモテるという風ではなく、女子のような扱いでコーラス部の女子たちから愛されていました。
そんな彼が大学卒業後、結婚すると報告したことで、コーラス部の友人たちはナベちゃんとその嫁に会うことになります。
ところがこの嫁は他の人が理解できない価値観を持っていて、それが次第にエスカレートしていく様子が描かれます。
パッとしない子
高輪輔は人気アイドルグループのメンバーですが、小学生時代はパッとしない子でした。
そんな彼が番組の企画で母校を訪れることになり、かつて彼に授業をしたことがある教師の美穂は十分だけ彼と二人きりになります。
美穂はてっきり思い出話になるのかと思いきや、輔の口から飛び出したのは思いがけない言葉の数々でした。
ママ・はは
住吉亜美が引っ越すことになり、かつて同じ小学生で教師をしていた私は準備を手伝うことになりました。
準備を進めながら話題が教育のことになり、亜美は子育てにおける大事なことについて口にします。
亜美は母親とうまくいっておらず、その過去について話し始めますが、次第に昔話は思わぬ展開を見せます。
早穂とゆかり
県内情報誌のライターである早穂は、個人塾のカリスマ経営者として注目を浴びている日比野ゆかりにインタビューする機会を得ます。
早穂は決して仲が良いわけではありませんでしたがゆかりの小学生時代の同級生であり、複雑な心境でインタビューに臨みます。
懐かしの再会。
そんなシーンを思い描いていた早穂ですが、再会したゆかりから思いもよらない言葉が飛び出し、インタビューは復讐の場へと変貌します。
感想
過去は人の分だけある
本書を読んで一番思ったことは、過去は人の数だけ存在し、一つとして同じ過去など存在しないということです。
例えば学生時代の思い出。
ほんの些細な出来事があったとして、ほとんどの人にとってそれは言われて思い出す程度のことです。
しかし、誰かにとっては忘れられないほど嬉しい、あるいは悲しい思い出で、大多数の人の記憶と食い違うことがあると思います。
本書はそんな違いが原因で会話が嚙み合わず、自分の過去が思っていたものと違うことに気づかされることになります。
復讐、といっても差し支えないほどの暗くギラギラした攻撃的な感情は切れ味抜群で、辻村さんの持ち味の一つが遺憾なく発揮されています。
万人受けという感じではありませんが、僕は辻村さんのこういう一面も大好きです。
相互理解の難しさ
上記のようなことから人それぞれ認識は異なるので、お互いを理解することがいかに難しいのかを思い知らされました。
特に敵意むき出しのせいで、例え間違った記憶でも修正を受け入れず、それがさも実際にあったかのように思い込んでしまう。
このあたりのやりとりは現実でもあるで、ここまで思い込みが激しくなるともはや無敵で、どんな言葉をもってしても理解を得られることができません。
この会話にならない会話が、本書の真骨頂ともいえます。
Kindleでの販売について
本書の内容とは関係ありませんが、販売方法についてちょっと言及しておきます。
本書に収録されている『ナベちゃんのヨメ』、『パッとしない子』がKindleで単話として販売されており、完全新作やどこにも収録されていない作品だと思った人もいるかもしれません。
実際、僕は書籍に収録されてない本だと思ったので購入しましたが、本書に収録されていました。
特にそのことで不満には思っていませんが、人によっては損をしたと感じることもあると思うので、ご留意ください。
おわりに
辻村さんは観察眼が本当に優れていて、日常に潜む嘘のようで本当にありそうな怖い話を生み出してくれました。
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