『怪談小説という名の小説怪談』あらすじとネタバレ感想!大どんでん返しをもたらす恐怖小説
“小説”ならではの企みに満ちた“怪談”全7編。深夜、疾走する車内を戦慄させた「高速怪談」、呪われた大ヒットホラー映画「苦々陀の仮面」、禁忌を犯してしまった夫婦と「こうとげい」、正体不明の殺戮犯「うらみせんせい」、作者不明の恐怖譚「涸れ井戸の声」他。謎めいた語りが恐怖と驚愕を生み、奇妙で不穏な空気と意外な結末に嫌な汗が滲みだす。著者真髄の大どんでん返し恐怖短編集!
Amazon商品ページより
澤村伊智さんの短編集である本書。
大森望さんの解説で、都筑道夫さんの『怪奇小説という題名の怪奇小説』という作品があることを知り、関係性までは踏まえずに読みましたが、かなり怖かったです。
単純に怖さを感じるだけでなく、二度目の読書では『小説』と『怪談』の違いを考えることができ、ホラーというジャンルをさらに味わうためのヒントをもらった気がします。
本書に関する澤村さんへのインタビューはこちら。
怪談・オカルト研究家とホラー作家が語る「怖い話」の原点 吉田悠軌×澤村伊智・対談
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
高速怪談
出版社で勤務する僕は、カメラマンの真柄から誘われ、五人で車の相乗りをして関西に帰省することにします。
深夜の高速道路。
何気ない会話をしながら楽しんでいましたが、一本の電話によって車内状況が異様であることが分かります。
笛を吹く家
私は妻の由美、息子の修一と散歩している中で、何の気なしにいつものコースを外れて歩きます。
すると二階建ての一軒家が見えてきて、暗闇に包まれるその姿はまるで幽霊屋敷でした。
三人は理由こそ分かりませんがこの家に興味を持ちます。
その時、巡査長の南に声をかけられ、その場を去るようすすめられますが、家から遠ざけたいという意思が感じられました。
その後、由美は人づてにその家で起きた悲劇を知りますが、それは異様なものでした。
苦々陀の仮面
『苦々陀の仮面』という映画が国際映画祭でグランプリを獲得します。
日本映画での初受賞で、監督や出演者に注目が浴びせられます。
制作人数もギリギリで、決して順風満帆な制作ではありませんでしたが、それを乗り越えた様子が美談として語られます。
しかし、映画に対する真実が明かされた時、それまでの美談がひっくり返りました。
こうとげい
小説家の香川は、出版社の同期だった柴田から恐怖体験を聞かされます。
それは柴田が一回り年下の佳乃との新婚旅行のことでした。
二人は国内をいくつか巡り、最後に関西のとある山奥を訪れます。
マイナーな避暑地でしたが、高級ホテルが出来たことで人気が出てきた場所で、ホテルは二人が満足できるものでした。
それから近くを散策する中で元旅館のような佇まいのカフェに辿り着きますが、それが間違えでした。
うらみせんせい
優と猪木ちゃん、メイは気が付くと中学校に閉じ込められていました。
寝落ちとは違う奇妙な感覚で目覚めると、そこは教室で、出られないだけでなくスマホも繋がりません。
三人はどうにかして脱出しようと試みますが、そこで友人の茂手木咲と会います。
彼女は全身血だらけで、間もなく息を引き取りました。
そして、これは恐怖の入口でしかありませんでした。
涸れ井戸の声
香川は、小説家の先輩である西村亜樹から未発表の原稿を譲りうけます。
著作権は放棄するし、気を遣って中途半端に改変もしなくて良い。
そう言う亜樹から、その原稿を発表してほしいという意思が感じられました。
原稿は、『涸れ井戸の声』という作品にまつわるもので、その内容が少しずつ開示されます。
怪談怪談
ライターの澤渡は霊界伝道師の不二胡摩子と会うために、彼女の秘書である滝に接触します。
不二は最盛期には数多くの冠番組を持つほどの人気でしたが、ある日を境に急にいなくなってしまいます。
澤渡は不二に会う前に、滝から様々な原稿や音声を渡され、確認させられます。
それが不二とどんな関係があるのか、分からずに断片的なものを数多く見せられますが、やがてそれらと不二がどのように関係しているのかが明らかになります。
感想
怪談と小説の違い
僕は本書を読んだ後にインタビューを読み、怪談とホラーの違いについておぼろげながら知ることになりました。
正確な意味ではありませんが、怪談は本当にあった話で誰かが語ったもの。
ホラーは怖いものそのものに注目して、現象を描いたもの。
そういった区分が明示されることによって、本書に収録されたものの中でも細かい分類ができることに気が付きます。
初見は何も考えずに読んで楽しんだのですが、二度目の読書ではそういった構造や表現方法に注目することで小説とは、怪談とはといった楽しみ方ができ、それに耐えうるだけの尽きない面白さが本書にはありました。
尽きない恐怖
本書はここ最近読んだ恐怖小説の中でもかなり怖かったです。
見ていた景色が一言で塗り替えられてしまうようなどんでん返しが何度もあり、その手腕は鮮やか。
油断していないつもりでしたが、何の意味もありませんでした。
この辺りまでの恐怖かな?と当たりをつけると、それを超えてくる恐怖が襲ってきて、もしかしてまだ上限ではないのでは?という緊張感が終始ありました。
ホラー好きも、あまりホラーを読まない人であっても、誰にでもオススメできる一冊です。
どれも一級品
本書の中でオススメをあげることが難しいほど、どれも方向性こそ違いますが一級品です。
強いてあげるのであれば『こうとげい』がとびきり怖いです。
柴田の語る恐怖体験の時点で心臓をぎゅっと掴まれるような恐怖があったのですが、その後の結末も秀逸でした。
結末を知って読み返しても感じた恐怖心が甦り、澤村さんの底知れなさを感じずにはいられませんでした。
おわりに
澤村さんの新たな代表作になるポテンシャルを感じました。
これから澤村作品に挑戦するという人にとっての一冊目としても最適かもしれません。
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