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『invert 城塚翡翠倒叙集』あらすじとネタバレ感想!探偵の推理を推理できるか?

harutoautumn
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綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?

ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!

Amazon商品ページより

大人気を博した城塚翡翠シリーズ第二弾となる本書。

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今回は『倒叙ミステリ』ということで、読者はあらかじめ犯人や犯行の一部を知った状態で物語を読むことになります。

一見、穴のないように見える犯罪を、翡翠がどう見破るのか。

通常のミステリとは違った視点で翡翠の活躍を見ることが出来るので、一作目とは違った面白さがあります。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

雲上の晴れ間

狛木繫人は優秀なプログラマーです。

しかし、狛木は小学校時代、同級生の吉田直政に後まで影響の残る怪我を負わせてしまい、それが大人になった今でも尾を引いていました。

吉田は自身の経営する会社で狛木を雇い、彼の手柄をさも自分のもののように見せ、狛木も罪悪感から逆らうことができませんでした。

それが限界を迎え、狛木は吉田を事故に見せかけ殺害。

アリバイも作って完全犯罪に思えました。

そんな時、隣に引っ越してきた住人が挨拶に訪れ、それが翡翠でした。

泡沫の審判

小学校の教師・末崎絵里は元校務員の田草明夫に弱みを握られ、彼の盗撮に協力していました。

それが限界を迎え、絵里は子どもたちを守るために田草を殺害します。

教師・生徒が事件で心の傷を負う中、学校に新しいカウンセラーがやってきます。

それが翡翠でした。

信用ならない目撃者

元刑事の雲野泰典は探偵業を営んでいて、相手の弱みに付け込むことで不自由ない生活を送っていました。

ところが部下の曽根本に犯罪行為に関する自首を勧められ、口封じのために殺害。

一部始終を近隣住民に目撃されますが、遠くからでかつ目撃者が酔っていたこともあり、目撃情報の信用度は低めです。

警察の捜査も問題なくかわせるはずでしたが、警察の協力者として翡翠が立ちはだかります。

感想

メタ的な作品

本書はタイトルにある通り、倒叙ミステリです。

犯人や犯行の一部始終が分かっている状態で、翡翠がそれをどう立証するのか、読者はそれを推理することになります。

往年のミステリのように、解決パートの前に読者に挑戦状がたたきつけられ、メタ的な要素も含まれています。

人気シリーズにミステリ好きであれば嬉しくなってしまう要素も詰まっていて、まずこの点が良かったです。

翡翠のさじ加減

今回思ったことが、翡翠のさじ加減が絶妙だということです。

前作で彼女のキャラクターが分かっているので、あざといキャラクターをずっと演じられると、正直、胃もたれします。

事実、二つ目の中編までその流れだったので、これはキツイと思い始めていました。

ところが、三つ目の中編ではそれが和らぎ、やや素の彼女を楽しむことができます。

翡翠に溺れる人、彼女に疎ましく思う人、何とも思わない人など、それぞれの視点から見る翡翠が描かれているので、さじ加減が絶妙で良かったです。

ミステリとして上質

どうしても翡翠やパートナーである真に注目しがちですが、ミステリとして見ても上質だなと改めて思いました。

一見、立証が難しそうな犯罪。

それが翡翠によって鮮やかに推理されるわけですが、言われると一目瞭然の結果ばかりで、この衝撃を与えてくれるミステリはそう多くありません。

キャラクターに依存せず、ミステリとしての質もしっかり保っている所に好感が持てました。

おわりに

二作目にしてシリーズとしての存在感を明確にしてくれた本書。

まだまだ翡翠の掘り下げポイントがありそうなので、今後の展開にも期待です。

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