サスペンス

『閉鎖病棟』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

【「BOOK」データベースより】

笑福亭鶴瓶さん、綾野剛さん、小松菜奈さん出演で映画化、2019年11月1日に全国公開となることが決まった本書。

タイトルは『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』と原作と少しだけ異なっています。

実は1994年に単行本で発行され、第8回山田周五郎賞を受賞し、1999年には『いのちの海 Closed Ward』というタイトルで映画化もされています。

また作者の方の名前が僕は最初読めませんでしたが、帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)と読みます。

帚木さんは現役精神科医ということで、患者の視点を借りて描く病院内部の様子にはリアリティがあります。

作品の内容ですが、扱っている題材から読み取れるように決して軽いテイストではなく、当時の時代背景もあり、登場人物それぞれに重たい過去があります。

しかし、それでも人生を楽しもうと努力をしている姿は、病気に関係なく僕らも見習いたい部分だと思います。

以下は、映画化された際のキャストへのインタビューです。作品により思い入れがでると思いますので、合わせてお楽しみください。

https://www.cinra.net/news/20190204-heisabyoutou

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

なお、内容が非常に多岐にわたるため、ある程度はカットさせていただきますので、ご了承ください。

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映画の舞台、キャスト

2019年に公開予定の映画は2019年1月にクランクインし、長野県小諸市にある精神科の専門医療施設・小諸高原病院の協力でロケも行われています。

監督を務めるのは、映画『学校の怪談』などを手掛けた平山秀幸さん。

2019年4月2日現在、公開されているキャストは以下の通り。

 

梶木秀丸:笑福亭鶴瓶

チュウさん:綾野剛

由紀:小松菜奈

 

今後も情報が解禁になると思うので、その都度、この項目は追記していきます。

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三人の主要人物

物語は本筋に入る前に、主要となる三人の人物の過去にまず焦点が当てられます。

読者はその関連性が読み取れずについ読み飛ばしたくなりますが、後でこの背景が今に繋がっていることが理解できますので、できれば丁寧に読んでください。

島崎由紀

冒頭、彼女の中絶手術から始まります。

ここでは妊娠までの経緯は描かれていませんが、後に母親の再婚相手(義父)によって中学二年の時に望まぬ妊娠をしてしまったことが判明します。

由紀は妊娠が発覚した時、母親にも相談できず、一人で産婦人科のある医院を訪れ、中絶するには高額な費用がかかることを知ります。

アルバイトをしますが、それだけではとても賄えず、街中で中年男性に声を掛けて自分を売ります。

しかし、前払いでお金をもらうと、それだけ持ってホテルから逃げ出します。

母親はというと、そんな由紀のことには気が付かず、不登校になった娘を叱りつけます。

手術後、由紀は先生から『もっと自分を大切にしなさい』と言われますが、自分のことを粗末に扱ったことなど一度もないのに、と思うのでした。

梶木秀丸

秀丸の父親が五年ぶりに戦争から帰ってきますが、その時の負傷によって左手が使えなくなり、前の職場に復帰することができませんでした。

寝る時は悪い夢にうなされ、うるさい音がする場所もダメになっていました。

このままでは百姓仕事もできず、父親は傷病恩給を受け取るために何度も役場に通い、訴えます。

しかし、戦争で負った怪我であることを証明できず、申請は一向に通りません。

すると不満を周囲にもらすようになり、誰のいうことも聞きません。

秀丸は住み込みで見習い料理人として働くことになり、家に帰る頻度がぐっと少なくなります。

そんなある日、父親は役場の前の木で首つり自殺をし、その半年後に傷病恩給が認められるのでした。

昭八

昭八の村では年に一度魚獲り大会があり、彼は一家の代表として参加し、大物を捕えます。

しかし、姉が結婚すると、義兄が代表として参加することになります。

義兄は知的障害(本書では知恵遅れと記載)を持つ昭八に冷たく、昭八もあまり関わらないようにしていました。

そんな彼にとって、姉の子どもは格別に可愛く、甥の敬吾は昭八を父親のように慕っていました。

敬吾が小学生になると二人で遊ぶことはめっきり減りましたが、夏休みのある日、二人は溜池に行って遊びます。

昭八は泳ぎに夢中になるあまり、気が付くと敬吾は溺れていました。

敬吾は近くにいた人に助けられますが、このことがきっかけで、父親と義兄から敬吾に近づかないよう言い渡されます。

その夜、昭八は牛小屋に火をつけ、それは予想以上に広がり、彼は逃げ出すのでした。

精神病院

そして、ここからは精神病院である四王子病院が主な舞台となります。

秀丸、昭八、敬吾はここに入院していて、他に短歌や演劇会の脚本を書くのが得意な塚本中弥(チュウさん)もいます。

ここからはそれぞれが入院するまでの経緯について。

秀丸

三十五年前、彼は父親が生きている頃から浮気をして、今は父親の傷病恩給でのこのこ暮らしている母親を殺害。

さらに義父、その子供二人も殺害し、十五年の拘置後に死刑が執行されますが、彼は運良く生き残り、二度は死刑にできないと放免になります。

出所後、建設現場で働きますが、てんかんの発作を理由に追い出され、以前通っていた病院に行きます。

先代院長は秀丸のことを覚えていて、小間使いとして住み込みで働かせてもらいますが、事故で歩けなくなると、患者として収容されたのでした。

昭八

彼は放火をきっかけに入院させられ、姉も彼との接触を避けていました。

敬吾

彼は自衛隊に入りますが、二年で精神的な病を抱えることになり、家で畑仕事を手伝っていました。

しかしその後、部屋に十年にわたって閉じこもり、入院することとなりました。

チュウさん

彼は両親と共に朝鮮から引き揚げ、十五歳で電力会社で働いていました。

しかし、胸を患い十二年で退職。退職金で土地を購入し、そこに家を建てて両親と暮らしていました。

ところがある時、チョウさん幻聴を聴くようになり、病院に行こうと勧める父親をあわや絞殺しそうになります。

このことがきっかけとなり、彼は強制的に入院することになったのでした。

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由紀を襲う悲劇

さらに四王子病院には由紀が外来患者として通っていました。

彼女は中学を不登校で、病院に通って半年が経っていました。

由紀は秀丸たちとの交流もあり、徐々に過去から立ち直りつつありました。

ところが、収容患者で誰からも厄介者扱いされているヤクザの重宗が彼女を強姦。

偶然、そこに居合わせた昭八ですが、非力な彼はその様子を写真におさめます。

そのことをチュウさんに報告すると、チュウさんは他言無用を伝え、このことを秀丸にも伝えます。

チュウさんは、由紀を救うには重宗を殺害するしかないと覚悟を決めますが、秀丸はそれより先に重宗を殺害し、そのことが新聞で大々的に報道されます。

秀丸は拘置所に入れられ、チュウさんは病院に来なくなった由紀の行方を探しますが、彼女は転校していなくなっていました。

昭八の退院

昭八と敬吾は一緒に退院することになります。

チュウさんは昭八の退院を喜びつつも、寂しさを感じていました。

その後、チュウさんは昭八の家に泊まることになり、その時、昭八の姉は彼を病院に放置していたことを悔いる言葉を何度も口にします。

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手紙

拘置所にいる秀丸からチュウさんへ手紙が届きます。

そこにはこれまでの人生、チュウさんへの感謝が書かれていました。

また秀丸は由紀の過去を知っていました。

母親を殺害した秀丸に、由紀は父親を殺してやりたい自分を重ねていました。

由紀の過去を知っている秀丸だからこそ重宗のことが許せず、彼を殺害するしか由紀を救う方法はないと考えたのでした。

チュウさんの退院

チュウさんは新しい先生に退院したい意思を伝えます。

これに反対したのは妹夫婦でした。

チュウさんは三十年前、夜中に徘徊したり父親の首を絞めたことがあり、病院で面倒を見てほしいのです。

しかし、先生はチュウの意思を尊重し、彼もまた自宅で亡くなった母親を迎えてやりたいと思っていて、ついに退院が決まるのでした。

結末

チュウさんが退院してから一年後。

彼は秀丸さんの裁判に証人として呼ばれます。

そこで会ったのは、同じく証人として呼ばれていた由紀でした。

二人は再会を喜ぶのもそこそこに、それぞれ証人として裁判官たちの前に立ちます。

証言の間、秀丸は何も言わず、チュウは彼が自分の罪を背負い、死に場所を探していたのではと思います。

最後に弁護人から、秀丸が重宗を殺害していなければ、由紀はとても生きていられなかったことが述べられます。

またチュウさんが退院したことを伝えると、秀丸は何度も頷くのでした。

 

証言が終わると、チュウさんと由紀は再び会うことを約束します。

由紀はこれまで何度か秀丸と手紙のやり取りをしていて、それがあったからこそ今日まで死なずに頑張ることができました。

彼女は准看と正看護師の免許をとるために勉強中で、それがとれたら四王子病院で働きたいと考えていました。

そして、由紀もまた秀丸が死にたがっていることを感じていて、生き続けなければならないと説得することを誓います。

チュウさんもまた、秀丸を説得することを誓うのでした。

最後に

淡々と、しかし深くまでそれぞれの背景が掘り下げられ、それが物語の進行と共に活かされているのが読んでいてとても印象的でした。

僕ははじめ、それがどう物語に繋がるのか分からず流し読みしていたため、何度も読み直すことになってしまいました。

皆さんは出来れば、最初から根気強く丁寧に読んでみてください。

本書は、それだけの価値がある名作です。

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