『エンド・ゲーム 常野物語』あらすじとネタバレ感想!オセロのような戦いの行方は?
『あれ』と呼んでいる謎の存在と闘い続けてきた拝島時子。『裏返さ』なければ、『裏返され』てしまう。『遠目』『つむじ足』など特殊な能力をもつ常野一族の中でも最強といわれた父は、遠い昔に失踪した。そして今、母が倒れた。ひとり残された時子は、絶縁していた一族と接触する。親切な言葉をかける老婦人は味方なのか? 『洗濯屋』と呼ばれる男の正体は? 緊迫感溢れる常野物語シリーズ第3弾。
Amazon商品ページより
常野物語シリーズ第三弾となる本書。
第二弾はこちら。
第一弾『光の帝国』に登場した『裏返す』能力を持つ拝島暎子、娘の時子が登場し、彼女たちと『あれ』と呼ばれる謎の存在との戦いが描かれています。
これまでの二作品と違ってホラーテイストが入り、謎解きのような要領で真実に近づいていくので、前二作にはなかった緊迫感を楽しむことが出来ます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
『エンド・ゲーム』とはチェスで使われることの多い用語で、盤上の駒が残り少なくなった終盤戦を意味します。
一族と『あれ』との見えない戦いはもう終盤戦なのか?
どちらかで優勢なのか?
その答えは本書の中にあります。
あらすじ
倒れた母
『光の帝国』に登場した時子は大学四年生にまで成長し、就職先も決まっていました。
年末、ゼミ旅行から戻ると、暎子の秘書から暎子が倒れたと連絡が入り、あることに気が付きます。
冷蔵庫に貼られた緊急時の連絡先を書いたメモがなくなっていたのです。
時子は暎子が『あれ』に裏返されたのではと恐怖しますが、病院に運ばれた暎子はただ熟睡している状態で、裏返されたのかどうか判断がつきません。
暎子は会社の慰安旅行で岐阜を訪れていて、そこで誰かに会いに行ったと秘書は証言。
時子の知らないところで何か大きなものが動いているのは明らかで、一人残された時子はいつ終わるかも分からない戦いに恐怖し、絶望します。
洗濯屋
時子は意を決して覚えていたメモにあった番号に電話を掛けます。
相手は薬局で、常野一族の支援を行っていました。
電話に出た女性は一族の中でも特に若くて優秀な火浦という男に会うよう指示。
時子は言われるがままに待ち合わせ場所に行き、火浦に会います。
火浦は『洗濯屋』と呼ばれるどちらかというと時子たちに近い能力を持ち、『裏返された』人間を『洗う』ことが出来るのだといいます。
火浦は時子の知らない家族三人のことをよく知っていて、時子の両親は一族の決まりを破って一族同士で結婚したこと、それ以来一族と疎遠になっていたことが明かされます。
戦いの行方は
戦局は日々変わっていて、火浦は時子の両親を取り戻すだけでなく、彼女たち家族が戦線から離脱できるよう作戦を考えているのだといいます。
そのためには時子と『あれ』の始まりまで遡って『洗う』必要があり、時子は火浦の協力を得て自分のルーツを探ることになります。
オセロゲームのようなこの戦い。
盤面は現在、どのようになっているのか。
実は時子以外全て裏返されてしまい、味方は時子一人だけなのでは?
そんな緊迫感の中で、時子と火浦は少しずつ真実に近づいていきます。
父親の失踪の意味、そして現在の戦局。
そこには予想もしていなかった真実が隠されていました。
感想
テイストががらりと変わった
常野物語シリーズ第三弾となる本書ですが、それまでの二作と違ってサスペンス、ホラーテイストが強い作品になっています。
それまでの温かさ、優しさ、懐かしさといった暖色系の雰囲気は消え失せ、表紙のような赤黒い焦燥感、不安、恐怖が作品を支配しています。
『あれ』はなぜ存在するのか。
なぜ『裏返す』という能力があるのか。
理不尽にも思える宿命を背負った拝島家の『エンド・ゲーム』は緊迫感があり、最初から最後まで目が離せません。
一族と離れた不安
これまでの常野一族というと、離れていても一族の繋がりを感じることができ、それが支えになってくれる場面が何度もありました。
しかし、暎子も夫も一族とは疎遠になっており、その援助を得ることが出来ない状況にあります。
加えて暎子もやられ、一族のことさえ知らない時子一人だけが残されてしまいます。
時子でなくとも、この状況に置かれた時の不安や恐怖は簡単に想像できると思います。
『光の帝国』の暎子の話でも恐怖を感じましたが、本書のそれは暎子の時の比ではありません。
一族から離れるとこんなに心細いのかと痛感させられました。
予想を裏切る展開
手に汗握る展開を経て、終盤に『エンド・ゲーム』の意味が明かされます。
賛否両論あるかと思いますが、僕はとても驚き、恩田陸さんだから描ける結末だと納得がいきました。
元々現実や妄想、回想が入り混じる幻想的な雰囲気がありますが、終盤はこれが顕著で、作品の中に迷い込むような不思議な感覚を得ました。
この感覚はいつまでも身体に染みつき、個人的にはシリーズの中でも一番好きだったりします。
おわりに
シリーズ作品として異色な第三弾でしたが、やはり常野物語でした。
2009年に書かれた文庫版のあとがきではまだ常野物語が続くと言及されているので、ゆっくりと続編を待ちたいと思います。
また同じくあとがきにて、シリーズ作品はどれも独立していると明言されていますので、『蒲公英草紙』や『エンド・ゲーム』から読んでも問題ありません。
ただ『光の帝国』で常野について予習するのとしないのとでは続編へののめり方が全く違ってきますので、特にこだわりがなければ順番通りに読むことをオススメします。
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