『英国クリスマス幽霊譚傑作集』あらすじとネタバレ感想!知られざる傑作が集まった作品集
ヴィクトリア朝期、ディケンズ『クリスマス・キャロル』がベストセラーとなって以降、聖夜の訪れに伴って出版社は作家に怪奇小説の新作を依頼し、特別なシーズンの贈り物として大衆に届けた――幽霊をこよなく愛するイギリスの国民性に根ざす慣例から生まれた作品を、数々の怪奇幻想小説を紹介する翻訳家が精選する。古屋敷に招かれた男が鏡の中に見た幻影「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」、もの悲しい海岸の村で起きたゴシック的怪異を綴る「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」、奇妙な下宿で女性が体験する恐怖の一夜「メルローズ・スクエア二番地」など、知られざる傑作から愛すべき怪作まで13篇を収録。集中12篇が本邦初訳。
Amazon商品ページより
クリスマス×幽霊というこれ以上ないシチュエーション。
かつ英国の作品を集めた本書。
さらに十三編中十二編が本邦初翻訳ということで、レア度もかなり高めです。
シチュエーションもあって、できれば冬、もっといえばクリスマス前後に読むとより楽しめます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
クリスマス・ツリー
はじめはクリスマスの風景や人たちの描写を通じて、懐かしいような温かい描写がされます。
そこからいくつもの幽霊に関する話が語られ、しっかり恐怖を味わうことができます。
死者の怪談
十二月の夜、三人の男性が画家の工房に集まっていました。
そのうち医師である男性が自身の経験を話します。
それは処置を待つ女性のもとに向かい、彼女に恋をして、それから経験した話でした。
わが兄の幽霊譚
わたしは、ただ一人の兄に関する話を始めます。
話は三十年前のことで、兄がアルプス山脈のあたりを旅していた時のことでした。
九月のその時期は祭市があって村は旅人でにぎわっていて、兄はその中で三人の旅客と仲良くなり、そのから幽霊譚に繋がります。
鋼の鏡、あるいは聖夜の夢
私はいつからかクリスマスを旧友のシークイン家とともに過ごす習慣ができていました。
大抵は彼らの暮らす邸に集まるのですが、今回はその約束が果たされない可能性が出てきました。
そうすると何か嫌なことが起きるのではという予感があり、それが怪異譚に繋がります。
海岸屋敷のクリスマス・イブ
マッケンジー家は呪われているとされていて、誰もが寝台で息を引き取ることができないといわれています。
暴力的な死、火事での焼死、難破、突然の失踪など非業な死が続き、偶然では片づけられないものになっていました。
この話では、マッケンジー家の一人としてアリスという女性にフォーカスが当てられます。
胡桃邸の幽霊
エドガー・ステイントンはロンドンにある赤煉瓦造りの大きな邸宅を購入します。
邸宅は七年もの間で、以前の所有者は精神病院の入院しており、何かいわくがありそうな雰囲気です。
旧所有者の法律顧問だった弁護士事務所に話を聞くと、この邸宅には幽霊が出るのだといいます。
その幽霊は子どもだという話ですが、正体までは分かりません。
エドガーは事務員の話を鼻で笑い、一人で邸宅で過ごすことにしますが、そこで幽霊を目撃します。
メルローズ・スクエア二番地
わたしは友人・ヘスターの紹介でメルローズ・スクエア二番地にある邸に一年前から住むようになりました。
しかし、それから時が経ち、わたしは邸を後にしようとしていて、それが冒頭です。
所有者はなぜ邸を出ようとするのか、追及します。
いわく、わたしの行為によって邸の評価が落ち、次の借り手を見つけることが難しい状況とのこと。
そこでわたしはその理由について話す、という形で物語が展開します。
謎の肖像画
数年前、わたしは独身のままの六十歳になろうかという旧友のもとでクリスマスを過ごそうと出かけます。
彼の書斎には美しい女性の肖像画があり、なぜかそれについて尋ねることがためらわれました。
彼が独身の理由は、若い頃に何か失敗した経験があるからだろうと思われていましたが、この日、彼の方から私にそのことについて、そして肖像画について語ってくれます。
幽霊廃船のクリスマス・イブ
一八七〇年代のこと。
わたしは学生時代の友人・ジョーンズと共にクリスマス休暇を過ごします。
相当に退屈な土地ですが、干潟での鴨撃ちは面白いということで、わたしは一人で実施することにします。
その中で水面に小舟が浮かんでいるのを見つけ、わたしはそこに入ることにします。
残酷な冗談
双子のジャックとジム、彼らの従兄であるブライスはそれぞれ両親を失い、叔母であるベルに引き取られます。
そこはひどい穴ぐらみたいな場所で、三人はそこから引っ越したくて仕方ありませんでした。
ある日、三人は今住んでいる館がかつてメリヴェール家が所有していて、そこで家庭教師の女性を巡って問題が起きたことを知ります。
三人はその女性こそがベルではないかと疑い、そのことを伝えることで精神的に動揺させてこの土地から離れさせようとしますが・・・
真鍮の十字架
ぼくと女性は森を歩いています。
ぼくはその女性を愛していますが、来年には別の女性と結婚することが決まっていて、二人の間には悲しい雰囲気が流れています。
クリスマス・イヴですが、その日だけはこの場所に邪悪な霊魂たちに憑かれているという言い伝えがあり、それがぼくたちに襲い掛かります。
本物と偽物
ウィル・マスグレイヴは友人であるヒュー・アーミティッジとホレス・ローリーを邸に招待します。
この邸には幽霊がいるといわれていて、祖父の時代以降、家族の誰も目撃していないのだといいます。
マスグレイブはいつかこの幽霊と出会いたいと思っていて、そこから物語が展開します。
青い部屋
マータウン館には青い部屋と呼ばれる部屋があり、幽霊が現れるのだといいます。
誰もが興味を持っている一方で、幽霊が何者で本当にその部屋に存在するのか、知っている人は一人もいませんでした。
この話は、かつてマータウン家の一員だったバーバラという夫人がその部屋で亡くなっていることに起因しています。
冒頭、青い部屋の憑き霊(つきもの)が封じられたことが明かされていて、どうしてそこに至ったのかということが描かれます。
感想
クリスマスのイメージが変わる
クリスマスのイメージといえば、イルミネーションによって煌びやかに彩られ、クリスマスツリーにケーキや七面鳥などのおいしい料理、そしてプレゼントという、幸せなものしか浮かびません。
本書に収録されている作品には、そういったものを連想させるものも少なからずあります。
しかし、それはほんの一面でしかなく、本書ではあらゆる方法、シチュエーションで読者に恐怖を与えてくれます。
時代が違うということもありますが、日本とは違ったクリスマスの風習があり、そういったことも味わえたのが良かったです。
一気読みはきつい
本書は十三もの作品が収録されていて、一つ一つは短編であっても、まとまると結構なボリュームです。
加えて翻訳版ということで読みにくい日本語もあり、リーダービリティは高いとはいえません。
さらに馴染みがないシチュエーション、風習があると何度も読み直してしまうので、一編読むだけでもかなりの満足感です。
一日一編読むとしても、けっこうな時間と労力がかかるので、他の作品と並行して読むと、飽きたり疲れたりせずに読めてよいかもしれません。
僕は、特に海外作品において人や土地の名前などの固有名詞を覚えるのが苦手なので、一気読みはできず、数ヵ月にわたって気が向いた時に少しずつ読み進めました。
おわりに
これまで翻訳されなかった作品がほとんどということで、希少性が高い作品です。
タイトルにある通り、雰囲気をより高めるためにも冬の時期、もっといえばクリスマス近くで読むと気持ちが高まって、本書の面白さをより引き出せるかもしれません。
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