『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ~扉子と空白の時~』あらすじとネタバレ感想!横溝正史に関係する三つの事件
ビブリア古書堂に舞い込んだ新たな相談事。それは、この世に存在していないはずの本――横溝正史の幻の作品が何者かに盗まれたという奇妙なものだった。
どこか様子がおかしい女店主と訪れたのは、元華族に連なる旧家の邸宅。老いた女主の死をきっかけに忽然と消えた古書。その謎に迫るうち、半世紀以上絡み合う一家の因縁が浮かび上がる。
深まる疑念と迷宮入りする事件。ほどけなかった糸は、長い時を超え、やがて事の真相を紡ぎ始める――。
Amazon商品ページより
扉子の登場する事件手帖シリーズとして二作目となる本書。
前の話はこちら。
扉子が生まれる前の話や彼女のいない所で起きた事件のことが描かれるので、扉子自体の登場は控えめです。
しかし、彼女は確かに栞子の娘であることが前作以上に分かる描写のインパクトが大きく、衰えないシリーズの面白さを堪能することが出来ました。
また本書では横溝正史がまるまる一冊取り扱われ、ミステリ好きであれば読んで損はありません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
はじめに
扉子は、高校の友人・戸山圭の両親が経営するブックカフェで待ち合わせをしていました。
相手は智恵子です。
智恵子は確認したいことがあるからとマイブック『2012、2021』を持ってくるよういい、扉子は智恵子を待つ間にそれらに目を通します。
それはビブリア古書堂の事件手帖で、どちらにも横溝正史の『雪割草』事件について書かれていました。
第一話 横溝正史『雪割草』Ⅰ
2012年、結婚したばかりの大輔や栞子。
栞子は井浦清美という依頼主から盗まれた横溝正史の『雪割草』を取り返してほしいと依頼されますが、それは幻の作品と呼ばれ、長編か短編かも分からないものでした。
雪割草は清美の伯母・上島秋世が所有していたもので、秋世には春子、初子(清美の母)という妹がいました。
秋世が亡くなると、雪割草は春子に相続されるはずでした。
しかし、その雪割草が盗まれたことで、春子は初子が盗んだのだと主張。
初子は興味などないと否定し、身内の恥を晒したくないと警察に相談しなかったため事件は解決する目処が立ちません。
誰が盗んだのか。
なぜ盗んだのか。
そもそも雪割草は存在するのか。
大輔と栞子は事件に挑みますが、最初に提示されるように、この事件は完全に解決されず、九年後の2021年に持ち越されることになります。
第二話 横溝正史『獄門島』
2021年。
小学三年生の扉子は、大輔と一緒にもぐら堂という古書店にあるカフェにいました。
扉子はもぐら堂にあった横溝正史の『獄門島』に一目惚れし、両親の許可を得た上で今日、買いに来たのです。
表紙のイラストが怖いのが特徴で、大輔も栞子もどの出版社が出している『獄門島』かは分かっていません。
取り置きをしてもらっていたはずの『獄門島』。
しかし、取り置きのことを知らない店員によって売られてしまったことが判明。
扉子はショックを受けますが、売った店員の反応からすぐに買主を見つけます。
事情を説明しますが、事件はそれで終わりではありませんでした。
第三話 横溝正史『雪割草』Ⅱ
『獄門島』の事件の後の話。
栞子は再度清美から依頼を受けます。
初子が亡くなったため、その蔵書を買い取ってもらいたいという内容でした。
なぜわざわざビブリアに依頼してきたのか。
それは完全に謎が解けなかった九年前の『雪割草』事件と何か関係があるのではないか。
そう判断した大輔と栞子は依頼を受け、前回の事件で盗まれたままだった横溝正史の直筆原稿をもう一度探すことを決めます。
感想
横溝正史の魅力を再確認
ミステリ好きであれば、横溝正史の名前を聞いたことのない人はあまりいないのではないでしょうか。
金田一耕助が探偵役として登場するシリーズは普段本を読まない人にとっても馴染みがあると思います。
作品名だと『犬神家の一族』、『獄門島』、『八つ墓村』などが特に有名でしょうか。
本書では、その横溝正史の作品はもちろんのこと、生きていた当時の彼の状況、取り巻く時代や環境なども丁寧に解説され、ファンでなくとも興味を持てるような内容になっています。
正直いうと、僕は『獄門島』に挑戦し、なんだか面白さがよく分からないと途中で読むのを止めてしまった経験があります。
それがあって読み始めは後悔というか、後ろめたさのようなものを感じていました。
しかし、大輔や栞子の語る本は本当に魅力たっぷりで、もう一度挑戦しないともったいないと思えるようになりました。
ビブリアシリーズは作品自身が面白いだけでなく、そこで紹介された作品の良さも知ることが出来るので、新しい作品と出会う上でいつも重宝しています。
大輔と栞子が作り上げる家族
本書では扉子が生まれることになった経緯などが多少描かれています。
喜ばしいことであると同時に、栞子は母・智恵子との関係があって家族を持つことに不安を感じていました。
他の家族の醜い部分を見て、自分たちもああなるのではと怖くなっても仕方ありません。
子どもが出来るというのは、それくらい責任がかかるもので、親の意思だけでどうのこうのなるものではないからです。
しかし、栞子には大輔がいます。
二人ならきっと良い家族を作ることが出来る。
そう信じて二人は前に進み、その結果はもう前作で示されていますね。
扉子の成長はもちろんのこと、大輔も栞子も年月を経て成長していることが分かり、なんだか感慨深いものがありました。
扉子の成長に対する喜びと不安
扉子は智恵子の孫で、栞子の娘です。
彼女たちの持つ才能をしっかりと受け継がれているのは、本書を読めば明らかです。
もちろん成長として喜ばしいことですが、一方で、本の世界を飛び越えた現実の謎に興味を持ってしまったことが分かります。
現実の謎はスリルたっぷりで好奇心を満たすものですが、時として危険をはらみ、見たくない闇の部分まで見てしまうこともあります。
大輔や栞子は常にそのことを気にかけていますが、栞子がそうであったように、扉子が止まるはずがありません。
その問題に直面した時、三人はどのような答えを出すのか。
シリーズとして、次巻以降はさらに面白くなることが確信できて、今から待ち遠しい気分です。
おわりに
続編として娘が登場した際に、嬉しいと同時に蛇足にならないか心配していました。
しかし、そんな心配は杞憂でした。
三上さんの本に対する愛情は変わらず、それを体現してくれる登場人物たちはみんな魅力的で、まだまだビブリア古書堂と彼らを見ていたいと思うようになりました。
次巻では扉子がもっと活躍する話が予想されるので、ワクワクしながら待ちたいと思います。
次の話はこちら。
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