『あわこさま―不村家奇譚―』あらすじとネタバレ感想!旧家に伝わる怪異は業か、それとも恩恵か
東北地方の旧家・不村家では、数代に一度、生前に躰を「お納め」した子が生まれる。
Amazon商品ページより
(たとえばそれは生首のみで生きながらえる双子のきょうだいといった姿として存在した)
人智を超えた才知を授かることから繁栄の兆しと崇められる一方、
陰には「あわこさま」と呼ばれる怪異があると畏れられてもいた。
特別な子どもの世話を出来るのは、同じく異形の奉公人たちのみ。
表面上の平穏な日常が闖入者により瓦解したとき、人々は思い出す。
――あわこさまは、不村に仇なすものを赦さない、と。
異形の一族の年代記描く、危険すぎるホラーミステリ。(解説・朝宮運河)
彩藤アザミさんの作品である本書。
彩藤さんの作品を読むのはこれが初めてで、きっかけは朝宮運河さんがご自身のXで本書に触れたことです。
「水憑き」の血を受け継ぐ一族に伝わる怪異『あわこさま』。
襲い掛かるというよりも、じわじわ忍び寄る怖さがあり、それが時代をまたいで描かれることによって怖さが消えないことを描いているところが興味深かったです。
本書に関する彩藤さんへのインタビューはこちら。
「不村家奇譚」彩藤アザミさんインタビュー 恐ろしくも哀しい、呪われた一族の物語
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
不村家
物語の舞台となるのは、某県にある不村家。
不村家にはかたわ者(体が肉体的に欠損あるいは障害がある人のこと)が多くいて、五体満足な人が珍しいほどでした。
冒頭では、不村家がかつてお金持ちで道楽のために集めていたという説明がされていますが、後になってこの解釈は間違っていたことが明かされます。
また不村家は「水憑き」の一族でした。
狐などの動物は耳にすることもありますが、「水憑き」とは何か。
これも次第に明かされるようになります。
不村家はこのような背景をもっているがゆえに村人から疎まれたり畏怖を持たれたりしていますが、お産を診ていて世話にならない村人などいません。
安産に導くことができるのは「水憑き」だからだといわれ、そのような距離感で村人とは付き合っていました。
愛一郎
僕(菊ちゃん)はかたわ同士の子でしたが、五体満足で生まれました。
彼は不村家に対して仕えています。
不村家には久緒という女の子がいて、そこにさらに愛一郎という男の子も生まれます。
久緒が五体満足なことに対して、愛一郎は頭しかありませんでした。
どうやって生きることができているのか不明ですが、不村では数代に一度、このような子どもが生まれてきて、他には抜きん出た力を授かるといわれています。
周囲が様々な心情を抱える中、当主である不二宥だけは愛一郎の誕生を心の底から喜んでいました。
あわこさま
不村家の事情は菊ちゃんには詳細が伝わってきませんが、『あわこさま』という言葉が聞こえてくるようになります。
あわこさまは不村家の中での会話を聞いていて、不村家に仇なす者を許さないのだといいます。
これこそが「水憑き」の所以でした。
『あわこさま』とは家を護り、富をもたらす霊であり、粗末すれば滅ぼしもする。
そんな大事にすると同時に、恐れるべき存在でもありました。
愛一郎が生まれたことをきっかけに、「あわこさま」の存在が浮かびあがり、その正体や法則性などが次第に明らかになります。
感想
ホラー×ミステリ
本書は単なるホラーというよりも、ミステリ的な側面も有しています。
「あわこさま」という存在を中心に、かたわ者ばかりを集めた不村家。
閉鎖的な田舎が舞台ということもあわさって、これだけで見れば設定だけで怖さが予想できるホラーです。
しかし、本書ではそこにミステリ的な要素が追加されていて、それによって独自の味わいが生まれています。
「あわこさま」とは何者で、どのような時に現れるのか。
これらに対してしっかり理屈が説明される点が、無差別な恐怖をもたらすホラーとの違いかなと思います。
積み重なる層
本書は視点、時代が次々に変わり、決して取っ付きやすいとはいいません。
特に最初の章だけだと何の連動制もなく、どういう物語なのだろうと方向性が見えずやきもきする人がいるかもしれません。
しかし、ご安心ください。
読み進めると、それぞれの章が層のように積み重なり、そのグラデーションによって物語が伝えたいことが見えてきます。
そうなれば面白さは加速するばかりで、最後まで一気読みできてしまいます。
この感覚は何にも代えがたいものでした。
付き合い方
本書では霊への対処法ではなく、霊との付き合い方を考えさせられます。
それは上述した「あわこさま」の法則性が鍵になっていて、決して無秩序な霊ではないからこそ付き合い方があり、それを活かせば守り富を与えてくれる。
それを追求した一冊が本書です。
恐怖は次第に比率が低くなり、だんだんと懐かしさや切なさなどの違った感情が顔を出してきて、本書の味わいが複雑であることが分かってきます。
最初は怖さが目立った表紙が、読了後だと違った感情が芽生えているはずです。
ぜひこの感覚を味わってください。
おわりに
思いがけず上質なホラーでした。
単なる消費ではもったいなく、じっくり腰を据えて読んでいただきたい一冊です。
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