『占星術殺人事件』あらすじとネタバレ感想!トリックが有名になりすぎた不朽の名作
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作の完全版登場!
「BOOK」データベースより
出版されたのは1981年と四十年近く前のことですが、今もなお語り継がれるミステリの名作です。
しかし後述しますが、とある作品で本書に用いられたトリックが流用されている関係で、意図せずネタバレされているという事態が発生してしまった不運の作品でもあります。
著者の島田荘司さんは本書でデビューし、御手洗潔シリーズの第一弾です。
異常者による猟奇的な事件、そしてそれが四十年もの間、誰にも解かれることなく迷宮入りとなった背景など、読者の推理意欲をそそる設定になっています。
おまけに島田さんは読者に挑戦状をたたきつけていますので、意地でも解いてやると対抗心を燃やしながら読むのも面白いと思います。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
占星術殺人
物語の現在となる1979年から約四十年前の1936年、日本を震撼させる事件が起きました。
画家の梅沢平吉が自宅のアトリエで殺害されているのが発見され、同時に遺書も見つかりますが、そこにはとても信じがたいことが書かれていました。
平沢は完璧な肉体を持つ女性『アゾート』を作り出すために、六人の若い処女を殺害し、それぞれの星座に合わせて体の一部を切り取ったのだといいます。
平沢の死体が発見された後、日本各地の山で六人の女性の遺体が見つかりました。
彼女たちは平沢の現在の妻との娘、先妻との娘、弟夫婦の娘で、遺書の通り、確かに体の一部分が切り取られていました。
それだけでなく、家を出ていた娘・一枝が何者かによって殺害されているのも見つかり、事件はますます複雑になります。
迷宮入り
平沢殺し、和枝殺し、そしてアゾート殺人という三つの要素から成り立つこの事件。
普通であれば平沢がアゾートを作り出すために事件を起こしたと考えられますが、肝心の彼も殺害されているため、彼の死後に発生した事件の犯人は当然別にいるはずです。
警察だけでなく、日本中のマニアが事件解決に乗り出しますが、誰一人として正解にたどり着くことなく四十年以上が経過。
事件は迷宮入りし、現在に至ります。
挑戦
そして1979年、占星術師の御手洗潔は親友の石岡和己から占星術殺人について話しを聞き、事件解決に挑みます。
御手洗はアイデアをいくつも出しますが、どれもこれまでに警察やマニアたちによって提案されては否定されたものばかり。
度々行き詰りますが、その度に新たな証言、証拠を探し出し、ついに誰も辿り着くことの出来なかった真実にたどり着きます。
感想
これから読む人は可哀そうかも
四十年近く前の作品で、盛り上げるために冗長な部分も見受けられます。
しかし、それこそが今の無駄を排した、洗練された作品にはない魅力の一つで、探偵が登場するミステリにふさわしい雰囲気を演出しています。
そして、肝心のトリックも読み進めた甲斐がある会心の出来でした。
ただ一点だけ、これからの読む人にとって不幸なことがあります。
それはメインのトリックが有名になりすぎて、すでに知っている可能性が高いことです。
具体的にいうと、金田一少年の事件簿の『異人館村殺人事件』においてこのトリックが流用され、当時はかなりの問題となりました。
本書の著者・島田さんはトリックが盗作されたと指摘し、それ以後、本書のトリックを用いていることを断るようになりました。
またDVDには収録されないなど配慮もされています。
なので、金田一少年の事件簿を見たことがないという方は、安心して推理をお楽しみください。
もし心当たりのある方は、おそらく知っているトリックがそのまま出てくると思いますので、その心構えをした上で読み進めてください。
読者への挑戦
作中、島田さんは度々読者にこの謎が解けるかと挑戦してきます。
しかもご丁寧にヒントまでくれます。
僕は幸い、トリックを知らなかったので、思う存分楽しむことができましたが、残念ながら謎を自力で解くことはできませんでした。
詳細はここに書きませんが、いかに先入観を持って物事を考えてしまっているのかを痛感しました。
思考は柔軟に。
常識を疑え。
ミステリでは鉄則ともいえるこの考え方を少しだけですが、身に付けられたのも収穫でした。
おわりに
本書を楽しめるかどうかは、はっきりいって運です。
トリックを知らずにここまでこられたか、後は長い本書の語りに耐えられるかです。
正直、ミステリにあまり慣れていない方にはあまりおすすめしません。
しかし、これこそミステリの醍醐味、ロマンだと言い切れる魅力がこれでもかと詰め込まれているので、ミステリ好きだと思う方は必ず読んでみてください。
次の話はこちら。
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