『青くて痛くて脆い』原作小説のあらすじとネタバレ感想!醜さを肯定する青春物語
人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学一年の春、僕は秋好寿乃に出会った。空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりも純粋だった彼女。秋好の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。それから3年。あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。
「BOOK」データベースより
本書は『君の膵臓をたべたい』で知られる住野よるさんの作品で、吉沢亮さん、杉咲花さん主演で映画化。
青春と呼ぶには苦く、かなり心をえぐる内容ですが、読者の醜さなどありのままの分を受け入れ、進む道を示してくれ、僕は住野さんがまだまだ進化することを確信しました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
この物語は、過去と現在を行き来しながら進行します。
主人公である田端楓の視点で描かれるため、事実が意図的に隠されていることもあり、後で真実が明らかになったりもします。
そのため推理しながら読むのも楽しいので、おすすめです。
理想を掲げる
田端楓は大学入学と同時に、誰かを傷つけないよう、人に不用意に近づきすぎないことを誓います。
しかし、そんな彼に近寄ってくる人がいました。
名前は秋好寿乃(あきよしひさの)といい、楓の同級生です。
寿乃は大学生とは思えないほど純粋な理想を掲げ、それを誰彼構わず主張し、楓はそんな彼女のことを内心馬鹿にします。
楓の気持ちを知らずに寿乃は声を掛け続け、やがて楓はその純粋さを無下にできなくなり、やがて二人の居場所となる団体を作ることにしました。
『なりたい自分になる』という理想を実現するための団体だけれど、楓の要望で目立たない秘密結社のような存在。
その団体は、楓の着ていたTシャツの柄から『モアイ』と名付けられました。
そして月日は流れ、楓の就活が終わった四年生の現在。
この時の寿乃はこの世界にいないと楓は語ります。
変わり果てた居場所
はじめは二人だけの活動でした。
しかし、人が増えるにつれてモアイは当初とは違った思想を持ち、楓は疎外感を感じて脱退。
やがてモアイは学内で幅を利かせる巨大な団体となり、交流会という活動をメインに行うようになりました。
モアイのメンバーと大学のOBOGを繋ぎ、社会とのコネを作ることで就活を有利に進めるためです。
組織としてしっかり機能している一方で、モアイの活動を良く思わない人も少なからずいました。
楓は四年生になって就活を終えると、寿乃と作り上げたモアイをこのままにしておいてはいけないと感じるようになりました。
そこで同じく就活を終えた友人の董介(とうすけ)に相談し、モアイを一度壊して、新しく作り上げるために立ち上がるのでした。
不正
董介の後輩・ポンちゃんの協力も得て、三人はモアイに近づき、何か弱みはないかと探します。
何度か空振りもしますが、時間をかけてついに突破口を見つけます。
モアイのメンバーが企業に学生の名前、連絡先などが載った名簿を無断で渡していたのです。
これは明らかに不正行為です。
しかし、ここにきて董介は不正行為であることを認めつつも、モアイにも一定の理解を示し、これ以上協力できないと離れて行きます。
残された楓はそれでも止まらず、モアイを生まれ変わらせるためにこの事実を公の場にさらすのでした。
本当の気持ち
楓の行動によってモアイの問題は大きく取り上げられ、もはや自分ではコントロールがきかないほどの大きさで炎上します。
しかし、ここで楓は今回の行動をするにいたった自分の本当の気持ちを知ることになります。
それは大義名分とはかけ離れた、単純で醜い感情でした。
望まない結果と、本当の自分のしたいこと。
辛い現実を受け止めて、楓は本当にしたいことと向き合います。
感想
残酷なほど現実的な青春
中盤頃までは、巨大な団体を壊してやろうというワクワク感があります。
董介、ポンちゃんとのやり取りは大学生活における青春そのものです。
しかし、楓が自分の気持ちや状況を理解するにつれて、そこには残酷で救いのない現実が待っていました。
ちょっとでも察しの良い読者であれば、楓の根底にある気持ちの正体にはすぐ気が付くと思います。
それが楓の自覚にまでのぼり、どのような結果をもたらすのか。
その結果はシンプルで、非常に心に突き刺さるものでした。
醜さを肯定してくれる
本書は残酷で現実的で、しかしそこで終わりません。
それを受け入れた上で、自分に何が出来るのか、何がしたいのかまで追求します。
住野さんの描く主人公は内気な人が多いですが、悲劇や困難に打ち勝つ強さも持ち合わせていて、読めば読むほど魅力的になります。
本書では、誰しもが醜い部分を持っていることを伝えた上で、それを受け入れて進めることを示してくれます。
これは理想論ではないからこそ多くの読者に共感を得られるのではないでしょうか。
おわりに
住野よるさんの作品は一定のパターンがあり、読み始めはそのパターンに辟易してしまいました。
しかし、すぐにそれが間違いだと気が付かされました。
これまで以上に現実的で、痛みの伴う結末が用意されていますが、それを受け入れてもまた進みだせることを本書は示してくれます。
まだまだ住野さんの作品は進化を続けることを予感させてくれたので、この先もしっかり追いかけていきたいと思います。
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