住野よる
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『君の膵臓をたべたい』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末、タイトルの意味まで!

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ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくらもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説、ジュニア版で登場!小学上級・中学から。

「BOOK」データベースより

実力派の小説家の仲間入りを果たした住野よるさんのデビュー作である本書。

デビュー作ということで住野作品の中では荒さが目立ちますが、どの作品にも通じる『住野よる』という小説家の顔が見える作品になっていて、心を鷲掴みにされました。

どうしてもタイトル、設定などから色眼鏡で見てしまう人もいるかもしれませんが、ぜひニュートラルな状態で読んでほしいと思います。

アニメ映画、実写映画化もされていて、それぞれ違った魅力を持っています。

この記事では、あらすじや本書に残された疑問点などを解説していきます。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

内容に入る前に、主人公の変わった設定について説明します。

主人公となる『僕』は終盤まで徹底的に名前が明かされず、【秘密を知っているクラスメイト】、【地味なクラスメイト】など【】書きで表記されています。

僕は自分の名前を呼ばれると、周りの人間が自分をどう思っているのか想像する趣味があり、【】内は僕が想像した名前を呼んだ相手の自分に対する気持ちを表しています。

ここでは分かりにくいので、終盤で明かされる『志賀春樹』で統一します。

一冊の文庫本

高校二年の四月、春樹は盲腸の手術後の抜糸で病院を訪れ、ロビーのソファに置かれた一冊の文庫本を見つけます。

書店のカバーがかけられていて、外すと本来あるはずのカバーはなく、太いマジックで手書きで『共病文庫』と書かれていました。

春樹がページをめくると、共病文庫は日記で、そこには膵臓の病気で数年内に死んでしまうこと、家族以外には内緒にしていることが書かれていました。

見てはいけないと本を閉じますが、声を掛けられ、振り向くと持ち主の少女が立っていました。

少女は春樹のクラスメイト・山内桜良でした。

桜良は共病文庫に書かれていることが真実であること、クラスメイトには内緒にしてほしいといい、何でもない様子で病院を後にします。

翌日、桜良は春樹と同じ図書委員に立候補し、それから二人の交流が始まります。

死ぬまでにしたいこと

桜良の提案で、強引に日曜に遊ぶことになった春樹。

春樹は桜良に振り回され、昼間から焼き肉の食べ放題に行き、ホームセンターで自殺で使うロープを買い、春樹の希望で本屋に寄り、カフェで他愛もない会話をします。

ちなみに、ロープで自殺する気はなく、部屋に置いておいて家族や友人を驚かせるという桜良の悪い冗談です。

桜良は見ただけでは健康そのもので、春樹には彼女が数年内に死ぬという実感が湧きません。

春樹は桜良と自分が正反対であるのを感じる一方で、はじめての友達との休日をなんだかんだいって楽しみました。

親友

春樹たちの隣の県で起きた通り魔殺人が世間を賑わせていますが、学校では桜良と春樹が休みの日にお茶をしていたという話題で持ちきりでした。

桜良は仲良しだと公言しますが、春樹はたまたま会っただけだと否定します。

しかし桜良は気にせず、放課後に春樹を誘い、またしても二人でスイーツビュッフェに行きます。

話題は好きな人のことになり、春樹には中学生の時に好きな人がいて、彼女は何にでも『さん』をつける丁寧な少女だったことが明かされます。

ちなみに桜良にはこれまでに三人の彼氏がいて、全員と別れています。

その時、同じ店内にいた桜良の親友・キョウコが二人を目撃。

キョウコは明らかに春樹に対して敵対心を抱いていて、二人の関係性を疑っています。

桜良はキョウコにも自分が死ぬことを伝えておらず、春樹は改めてそのことを確認しますが、彼女は『死ぬよ』と当たり前のように認めるのでした。

桜良と接点を持つようになってから、キョウコ以外に春樹に話しかけてくるクラスの男子がいます。

彼の名前は明かされず、好奇心が旺盛ですが悪気はなく、以後、事あるごとに春樹に話しかけてきます。

さらに特徴として、いつも話すたびに春樹にガムを勧めてきますが、春樹はいつもそれを断ります。

思いがけない旅行

テスト休みに入ると、またしても桜良と会うことになった春樹。

彼女の死ぬまでに行きたいところとだけ知っていましたが、実際に会うと桜良の荷物の多さに驚く春樹。

桜良はなんと、何の打ち合わせもなく新幹線での旅行に春樹を連れ出そうというのでした。

二人は新幹線に乗って目的地に着きますが、小説版では目的地は明かされていません。

ただ以下のヒントから推測することはできます。

  • 都道府県にはそれぞれ特有の匂いがあり、駅の改札を出るとラーメンの匂いがする→博多のとんこつラーメン?
  • 学問の神様が住む神社がある→太宰府天満宮の菅原道真
  • 物騒な県で、発砲事件も多い→福岡県では一年間発砲事件がないとニュースになるほど

以上のことから、福岡県だと推測できます。

映画版では到着駅が『博多駅』となっています

二人は観光を楽しみ、宿泊予定のホテルにチェックインしますが、ホテル側のミスで予約していた部屋がいっぱいになっていて、代わりにかなりグレードを上げた部屋を利用させてもらいます。

ただし、一部屋だけです。

それでも特に色恋の見られない二人ですが、春樹は桜良に頼まれて彼女のリュックから洗顔クリームを取り出す時、注射器や大量の錠剤、検査機器を見つけて愕然とします。

これまで理解した気になっていましたが、桜良は本当に死ぬのです。

お風呂に入り終わると、お酒を飲みながら桜良の提案で『真実と挑戦』ゲームをすることに。

何でもいいのでゲームをし、負けた方は真実か挑戦を選ぶ。

真実なら勝った方の質問に答え、挑戦なら勝った方の指示に挑戦するというものです。

回数は十回で、最初の一回、最後の二回を除いて春樹が勝ち、無難な質問をします。

ちなみに桜良の質問と春樹の質問は以下の通り。

  • クラスで誰が一番可愛い? → ヒナ。ちなみに桜良は三番目。
  • 桜良の可愛いところを三つ挙げる→答えられない春樹は、挑戦で桜良をベッドまでお姫様抱っこする。
  • 本当は死ぬのがめちゃくちゃ怖いって言ったら、どうする?→答えられない春樹は、桜良と同じベッドで寝る

翌朝、キョウコから怒りの電話が桜良にかかってきます。

キョウコと二人で旅行に行くと両親に嘘をつき、そのことがキョウコにバレたのです。

幸い、キョウコが機転を利かせてくれて両親にバレることはありませんでしたが、桜良と一緒にいるのが春樹だと知ると静かに怒り、変なことをしたらぶっ殺すと彼への怒りをさらに募らせます。

自分たちの意思

旅行明けに学校に行くと、どこからか桜良と春樹が一緒に旅行に行ったことが漏れ、春樹の持ち物が隠されることが何度かありました。

それでも春樹は気にせず、ある日、桜良の家にある『星の王子様』を借りるために放課後、彼女の家に寄ります。

そこで桜良は死ぬまでにしたいこととして『恋人でも、好きでもない男の子と、いけないことをする』を挙げ、春樹にハグをします。

しかし、彼女は冗談だとして恥ずかしさを誤魔化すようにテンションを上げますが、春樹は悪ふざけをする桜良に怒りを覚え、彼女を押し倒します。

桜良も途中で冗談でないと気が付いて怒り、やがて涙を流します。

その瞬間、春樹の中にあった怒りは消え失せ、桜良の家を後にします。

帰り道、春樹はクラスメイトの男子に声を掛けられます。

相手は明らかに春樹のことを不愉快に感じていて、桜良に執着しているのは一目瞭然でした。

春樹は何の気なしに、桜良がしつこい人は嫌いであること、前の彼氏がそうだったことを明かすと、相手は突然、怒り狂って春樹を殴ります。

この彼こそが桜良の元彼だったのでした。

元彼はまだ怒りが収まっていませんが、その場面を桜良が目撃。

タカヒロという元彼に二度と近づかないでと言い渡すと、春樹を連れて家に戻ります。

雨で濡れてしまい、春樹は桜良の兄の洋服を借ります。

二人はさっきのことを謝って仲直りした上で、春樹は自分よりも、例えばタカヒロのように桜良のことを本気で想ってくれる人と一緒にいた方が良い、自分たちは病院で偶然出会っただけだと話します。

しかし桜良からすれば、二人の出会いは偶然ではありません。

二人はそれぞれ無数の選択を重ね、自分たちの意思で出会ったのだと、桜良は考えます。

春樹はまたしても桜良からたくさんのことを学び、借りた本と服を返すこと、桜良が死ぬまで仲良くすることを誓います。

結局、春樹のものを隠していたのはタカヒロで、翌日以降、なくなることはありませんでした。

また桜良は学校を休み、その夜、彼女が入院したことを春樹は知ります。

生きること

週末、春樹は桜良の入院する病院にお見舞いに行きます。

桜良はキョウコたちに盲腸の手術と嘘をついているため、本当の理由を知っているのは彼女の家族と春樹だけです。

春樹はここ数日間、学校で習ったことを桜良に教えて帰ろうとしますが、ちょうど来たキョウコと遭遇。

ただでさえ良い印象がないのに、桜良はこのタイミングで春樹が借りていた彼女の兄の服について言及。

キョウコに怒られる前に逃げるようにして立ち去ります。

その後、学校では春樹が桜良のストーカーをしているという噂が流れますが、彼は気にしません。

しかし、次のお見舞いの時にそのことを桜良に話すと、みんなと仲良くするべきだと諭されます。

そうすればお互いの人間性が分かり、誤解が解けると。

元気そうにしている桜良ですが、ある日のお見舞いで、春樹は彼女の笑顔がぎこちないことに気が付きます。

桜良はどうしても春樹に訊きたいことがありましたが、踏ん切りがつかないため、『真実か挑戦』ゲームに全てを委ねます。

結果は、春樹の勝利。

真実で桜良の訊きたいことを訊くこともできますが、春樹は『生きるって、どういうこと?』と聞きます。

それに対して、桜良は『人と繋がること』と答え、春樹は死ではなく生と向き合う彼女を見て心が軽くなり、自分がまだ桜良がもうすぐ死ぬことを受け入れられていないことに気が付きます。

帰る間際、桜良は春樹に抱きつきます。

春樹は何かあったのかと聞きますが、何でもないとはぐらかされてしまいます。

またその時、絶妙なタイミングでキョウコが現れ、春樹はまたしても評価を下げるのでした。

突然の別れ

桜良は何でもないと言っていましたが、彼女の入院期間は二週間延び、春樹は本気で彼女のことを心配します。

最近の桜良は本当に死にそうに見え、春樹は彼女に生きてほしいと本心を伝えます。

これまで人との関わりを避けてきた彼とは思えない発言で、桜良は自分が必要とされていることを喜びます。

二人は冗談のように抱き合うと、遺書の下書きを始めたことを桜良が教えてくれます。

その後、桜良は無事に退院。

春樹と桜良はその日、会う約束をし、春樹は待ち合わせ場所のカフェに先に行って彼女を待ちます。

途中、桜良からメールがあり、一度自宅に戻って着替えてから向かうとのことでした。

やり取りの中で、桜良を褒めることになり、春樹はこれまでの彼女との日々を思い出します。

今の春樹の心は桜良でいっぱいで、彼女は生きる意味を教えてくれました。

『僕は、本当は君になりたかった』

春樹はそのことを伝えようと何度も考え、一度『君の爪の垢を煎じて飲みたい』を却下してから次の言葉を彼女に送ります。

『君の膵臓をたべたい』

これ以上ない会心の答えに満足する春樹ですが、そこで桜良からの返信が止まります。

四時間経っても彼女は現れず、春樹は家に帰りますが、桜良のその後についてニュースで知ります。

彼女は住宅街の路地で倒れているところを発見され、病院に搬送されましたがそのまま亡くなったのでした。

死因は膵臓の病気ではなく、刺殺です。

冒頭で話に出た、隣の県で起きた通り魔殺人事件の犯人が出刃包丁で桜良を刺したのです。

こうして二人は、予期せぬ別れで関係に幕を閉じるのでした。

桜良の遺したもの

春樹は桜良のお通夜や葬儀に参加せず、十日間、部屋に閉じこもって本を読んでいました。

彼女が自分のことをどう思っていたのか、もう知る術はないと諦めていましたが、不意に思い出します。

共病文庫に彼女の気持ちが綴られているはずだと。

それを受け取りに、春樹は桜良の家を訪れ、彼女の母親は春樹を家に上げます。

春樹は母親に『星の王子様』を返すと、桜良の病気のことを知っていたこと、共病文庫を見せてほしいと話すと、母親の反応が変わります。

彼女は共病文庫を春樹に渡し、これは彼のために桜良が遺したものであることを明かします。

生前の桜良に、共病文庫を取りに来る人に渡してほしいと言われていて、母親は春樹と出会って桜良が幸せだったと感謝を伝えます。

君の膵臓をたべたい

共病文庫を開くと、中学生だった頃の桜良の独白から始まっていました。

高校二年になると春樹が登場しますが、一度彼は桜良に自分の名前は書かないでほしいとお願いしていて、それ以前の部分の春樹の名前は黒く塗り潰されています。

それ以降は春樹の名前は登場せず、そのせいで桜良が春樹のことをどう思っているのかあまり記述されなくなります。

春樹が桜良を押し倒した日、彼女は泣いたと記述されていて、後悔がよみがえります。

それから桜良は体調が悪化したにもかかわらず春樹に嘘をついていたこと、春樹とキョウコを仲良くさせるためにあえてお見舞いの時間を被らせていたことなどが書かれています。

しかし、共病文庫はそれで終わりではなく、その先まで開くと、そこには桜良の遺書が書かれていました。

下書きのままでしたが、家族やキョウコへの感謝が書かれています。

そして、春樹へのメッセージが大部分を占めていました。

共病文庫は春樹のもので、好きにしていいこと。

春樹だけでなく、桜良もまた春樹と正反対だと感じ、彼からたくさんのものをもらっていたこと。

春樹に対して恋のような感情を何度も覚えたけれど、二人の関係をそんなありふれた言葉で呼びたくないこと。

そして入院中、『真実か挑戦』ゲームで桜良が聞きたかったこと、それは『どうして、君は私を名前で呼ばないの?』でした。

桜良は春樹が自分のことを嫌っているから呼ばないのではと不安を感じていましたが、途中から考えを変えます。

春樹は桜良のことを名前で呼ぶことで、その名前に意味がつくのが怖いのではないか。

いずれ失う桜良を、友達や恋人にするのが怖かったのではないか。

しかし、桜良は春樹のことを臆病と言っているのではなく、その反対で、彼の一人でやっていける強さに憧れていたのです。

そして友達や恋人を必要としない春樹が自分のことを必要としてくれて、自分が生まれた意味を知ります。

最後に、桜良は春樹に送る言葉として、『君の爪の垢を煎じて飲みたい』を却下し、二人の関係をそんなありふれた関係にしたくないとして、『君の膵臓をたべたい』と書きました。

それは春樹と同じ言葉でした。

共病文庫を読み終わると、春樹は桜良の携帯を見せてもらいます。

春樹が送った最後のメールは、開封済みになっていました。

ちゃんと届いて、桜良の目に触れていたのです。

その事実が引き金となり、春樹は桜良が死んでから始めて涙を流すのでした。

泣き尽くすと、いつかキョウコも交えて桜良の家族と食事をすることを約束。

この時、『僕』の名前が『志賀春樹』であることがようやく明かされます。

結末

それから春樹は、キョウコに連絡をとって二人で会います。

キョウコは春樹から共病文庫を読ませてもらい、桜良の思いを知ります。

しかし、なぜ病気のことを教えてくれなかったのかと春樹に怒りを向けます。

春樹はそれを受け止め、それでも許してほしいこと、そして友達になってほしいことを伝えます。

この時、キョウコは返事をせずに帰ってしまい、その後も順風満帆とは言い難い状況でした。

それでも二人は少しずつ友達としての道を歩み、一年後、二人で桜良のお墓参りに行くことができました。

春樹は共病文庫を読んで、自分も公平にネタばらししなければと感じ、桜良の墓前で何でも『さん』づけする好きな人の話が嘘であることを明かします。

そして、本当の初恋の人が現れたら、その子の膵臓を食べてもいいかもと言及し、初恋の人が桜良であることも明かします。

ちなみにこの時、春樹はいつもガムをくれるクラスメイトを友人と呼んでいて、少しずつ桜良の遺志を受け継ぎ、人を認め愛せる人間に変わりつつありました。

またガムの友人がキョウコのことを好きであることをうっかり話してしまいますが、キョウコも満更ではなく、受験が終わったら付き合うと明言します。

お墓参りを終えると、桜良の母親との一年越しの約束である食事をするために、春樹とキョウコは桜良の家に向かうのでした。

タイトルの意味

印象的なタイトルで有名となった本書ですが、そこに込められた意味とは一体何なのか。

複数考えられるため、ここでは一つ一つ解説していきます。

① 病気を治したい

序盤、桜良は『君の膵臓をたべたい』と突拍子もなく言いますが、決してカニバリズムに目覚めたわけではありません。

彼女はテレビで、昔の人はどこか悪いところがあると、他の動物のその部分を食べたという話を聞き、悪くなった膵臓を治すために春樹の膵臓が食べたいと言ったのです。

この考え方を『同物同治』といいます。

② 魂が生き続けられる

春樹と桜良が焼き肉を食べているシーンで、桜良は自分の膵臓は春樹が食べてもいいと言います。

その理由として、人に食べてもらうと魂がその食べた人の中で生き続けられるという信仰が海外にあるからです。

この時、春樹は桜良の魂はとても騒がしそうだと断っています。

③ 春樹と桜良の関係

ここまででご紹介した①、②の意味もありますが、やはりタイトルの意味としてふさわしいのは③だと思います。

二人はこの関係をありきたりなものにしたくないと考えていて、そこで名付けたのが『君の膵臓をたべたい』でした。

それは友人でも恋人でもない、二人だけの関係を表している、まさにタイトルにふさわしい言葉です。

『僕』の名前の意味

終盤に『僕』の名前が志賀春樹だと明かされますが、桜良もその母親もその名前から小説家を連想していました。

春樹は名字でも名前でも思い浮かぶとしていますが、誰とは明言していません。

おそらくですが、知名度から考えると以下の通りだと思います。

  • 志賀:志賀直哉
  • 春樹:村上春樹

志賀直哉は『小説の神様』と称されることも多く、『暗夜行路』などが有名でしょうか。

村上春樹といえば、彼のファンを『ハルキスト』と呼ぶくらい熱烈なファンが多く、『ノルウェイの森』など彼の作品を知らない人の方が少ないくらい有名な小説家です。

名前が最後まで伏せられた理由

春樹の名前が最後まで伏せられていた理由として、桜良との名前も含めた関係性にあります。

入院中、桜良は名前が話題の時、桜は咲く時を待っていると言い、それに対して春樹は君にぴったりな名前だといいます。

桜良は春樹との出会いを自分の意思で選択したと言っていて、春(樹)を選んで咲く花の名前・桜(良)はそんな彼女の考え方に合っていると春樹は考えたのです。

こういった名前に関する住野よるさんのこだわりが随所に散りばめられていて、その効果を高める手法が『名前を最後まで明かさない』というものでした。

そして、明かさない代わりに春樹が相手の気持ちをどう読み取っているのか分かるように【】表記にしたというわけです。

そして終盤、名前を明かしたことで、春樹は相手の気持ちを想像するのではなく、ちゃんと対話をしてお互いに知ろうとするようになったことを表しています。

この部分に関しては、二周目以降の読書にも存分に威力を発揮するので、ぜひそういった点を念頭に置きながら読み返してみてください。

おわりに

流行りの色物に見せかけて、実は住野さんのこだわりと小説の魅力、力が存分に込められた名作です。

そのこだわりや魅力はどうしても映画では伝わらない部分もあるので、映画を見たという人もぜひ小説版もお読みください。

また一度小説を読んだという人も、読み返すことを強くお勧めします。

一度目と同じか、それ以上の新しい発見があり、きっともっとこの作品を好きになるはずです。

本をお得に読みたい人には『Kindle Unlimited』をオススメします。

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