『ダイイング・アイ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我の影響で記憶を失った慎介が事故について調べ始めると、周囲の人間たちは不穏な動きを見せ始める。誰が嘘をつき、誰を陥れようとしているのか。やがて慎介の前に妖しい魅力に満ちた謎の女が現れる。女の正体は、人形職人が甦らせた最愛の妻なのか?
「BOOK」データベースより
本書は2019年3月より三浦春馬さん主演でドラマ化され、WOWOWにて放送され話題になりました。
東野さんといえばミステリーですが、本書はそれよりもホラー、サスペンスの色が強い作品となっています。
読んですっきり、というよりも、読んだ後も恐怖が続く、そんな作品です。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
ミステリー好きの方であれば、よく『ダイイングメッセージ』という言葉を聞くと思います。
これは『ダイイング+メッセージ』で、殺人事件などで被害者が死ぬ直前に書き残したメッセージのことを言います。
本書のタイトルは『ダイイング+アイ』で、直訳すると被害者が死ぬ直前に残した目という意味になります。
その本当の意味については、後述の解説を読んでいただければと思います。
あらすじ
襲撃
『茗荷』というお店でバーテンダーとして働く雨宮慎介のもとに、見知らぬ一人の男が客として現れます。
少し会話をした後、閉店時間になって男は帰っていき、慎介も閉店作業を終えて帰ろうとします。
ところが、男は彼が出てくるのを待ち構えていて、モンキースパナで彼の頭を殴ります。
慎介は意識を失い、気が付くと病院のベッドで寝ていました。
記憶喪失
同棲中の村上成美がお見舞いに来ている中、小塚という刑事が慎介を殴った男について聞いてきます。
慎介の所持金、お店の売上金には一切手をつけていないことから、金銭目的とは考えられません。
警察はすでに犯人を特定していて、狐塚は慎介に一枚の写真を見せます。
そこに映っていたのはあの日、茗荷を訪れ慎介を襲った男で、名前を岸中玲二といいます。
彼はマネキンの工房で働いていましたが、警察が怪しいと彼のマンションを訪れた時、彼はすでに自殺していました。
ここで慎介は、なぜ警察は玲二が怪しいと思ったのか疑問に思います。
すると、小塚は岸中美菜絵という名前を出し、慎介の頭に引っ掛かります。
女性は玲二の妻であり、一年半前、慎介の運転する車と接触し、命を落としていたのでした。
しかし、殴られた後遺症か、慎介は事故のことだけ何も思い出せません。
警察は愛する妻を殺された復讐だと考えていて、慎介も当時の記憶が戻らないまま退院し、成美と住むマンションに帰ります。
部屋は綺麗になっていて、成美が気を紛らわすために模様替えしたのだといいます。
慎介はやがて事件当時、以前働いていた『シリウス』というお店の客、由佳が酔いつぶれてしまったので車で送っていき、その帰りに事故を起こしてしまったことを思い出します。
一方、慎介は執行猶予中ということもあり、成美はあまり事故のことを話したがりません。
しかし、慎介はどうしても事故のことを思い出さないと気が済まず、玲二の住んでいたマンションに向かいます。
すると、玲二の会社の同僚と偶然出会わせ、玲二が職場に残した荷物を受け取り、自宅に持ち帰ります。
中には玲二が作成したマネキンの写真を収めたファイルが入っていて、慎介と成美はその中の一枚を見て驚きます。
ウェディングドレスを着たマネキン。
他のマネキンにはない生の気配が漂い、その目は慎介を見ていました。
喪服の女
仕事に復帰した慎介。
喪服を着た女性が来店しますが、彼女を見た瞬間、慎介は彼女に溺れるとなぜか確信します。
しかし、彼女は言葉少なにカクテルを飲むと、帰ってしまいます。
彼女が帰ったあとも気にする慎介ですが、気になることが他にもありました。
家に戻ると、成美に場所を教えてもらって通帳を見ますが、残高は大したことはありませんでした。
慎介はいつか自分のお店を持つことを目標にしていましたが、この金額ではそんなこと到底できるはずがありません。
では、自分はどうやってそのためのお金を用意するつもりだったのだろうか?
気になりますが、お金の話をして機嫌を悪くした成美によってその話は中断されます。
その一週間後、再び喪服の女性が茗荷を訪れます。
この日も大した話はできませんでしたが、彼女はまた来るといい、それだけで慎介は胸が躍るのを感じます。
調査
慎介はかつてお世話になった『シリウス』に行くと、客として来ていた由佳に事故当時のことを聞きます。
由佳は嫌そうに覚えていることを話してくれますが、慎介の残された記憶の断片とどうしても一致しない部分があります。
しかし、そのことを考えている場合ではない状況になります。
成美が帰ってこないのです。
彼女の職場にも電話しますが、出勤していないといいます。
同僚からは、成美が勝負をかけようと思っていると話していたことを聞かされ、独立、もしくは別の男のどちらかかと慎介は考えます。
それからも成美は帰ってこず、慎介は捜索願を出します。
帰り道、慎介の事故を担当した警官と会いますが、彼はその事故を特殊なケースだといい、慎介は詳しく話を聞きます。
二人目の加害者
警官が話す事故の様子は、慎介の予想していないものでした。
当時、確かに慎介の車は美菜絵の自転車に追突しましたが、その時は彼女は軽傷でした。
しかしその後、二台目の車が慎介の車を避けようとしてハンドル操作を誤り、美菜絵に向かって突進。
結果として、美菜絵は車と倉庫の間で潰れて亡くなったのです。
慎介は『シリウス』のオーナーである江島に警察で聞いた話のことをして、二人目の加害者について教えてほしいとお願いします。
すると、江島は嫌がりながらも弁護士の湯川を通じて情報を入手。
もう一人の加害者は木内春彦だといいます。
またこの時、慎介は成美の通帳や印鑑がなくなっていたことから、彼女が自分の意思で出ていったのだと判断していました。
ある日、喪服の女性が再び来店します。
ここで初めて慎介は彼女が誰かに似ていると思いますが、誰に似ているのか思い出せません。
女性は慎介に電話番号を教えると、この後一緒に飲まないかと誘われます。
閉店後、彼女に連絡すると、向こうからもう一度連絡するということで待ちます。
なかなか連絡はこず、慎介は半ば諦めていましたが、女性は再び茗荷に現れます。
彼女は瑠璃子と名乗り、それ以外のことは教えてくれません。
慎介は彼女の誘いに乗って性交をしますが、そこで彼女がウィッグでわざと長い髪を隠していたことを知ります。
行為が終わると、その意味も分からないまま女性は帰ってしまいますが、連絡用の携帯を残していきました。
幽霊
慎介の家に小塚が訪れます。
小塚は玲二の死体から二本の鍵を見つけますが、その一本が何の鍵か分からなくて困っているのだと言います。
彼は単純な自殺ではないと考えていました。
自殺ではあるが、そこには何かあると。
玲二はここ三ヶ月、住んでいたマンションにはほとんどいなかったといい、そうなると他の女性の家に泊り込んでいるというのが一番しっくりくる考えです。
警察もすでに考えていて、実際に玲二の部屋の隣に住む男子高校生が、彼の部屋から女性が出てくるのを目撃しています。
しかし、目撃したのは玲二がすでに自殺した後のことで、なぜその女性は届け出なかったのか気になります。
慎介は詳しい話を聞こうとしますが、小塚はこれ以上教えてくれませんでした。
慎介はもう一人の加害者である木内のマンションに向かいます。
会うつもりはなく、住んでいる所を一度見てみたい程度の気持ちでした。
郵便受けに入った封筒から、木内が銀座の有名クラブ『水鏡』に出入りしていることが判明。
『シリウス』の元同僚・岡部に、水鏡の知り合いを紹介してほしいとお願いします。
岡部は紹介こそしてくれませんでしたが、木内について聞いてくれました。
常連で、三十代。
帝都建設というそれほど大きくはない会社に勤めていて、一回二十万を超えるようなお金を払えるような身分には見えないといいます。
さらに別の日、慎介は再び木内のマンションを訪れ、管理人から彼について色々と情報を得ます。
結婚する予定だったこと、まだ住んで一年ちょっとしか経っていないこと、土日も不在が多い一方で、平日でもふらふらしていることもあるということなどです。
慎介は木内の情報をさらに得ようとしますが、ここで一旦玲二のマンションに向かいます。
彼の死後、女性の出入りを見たのは隣の部屋の男子高校生ということで、慎介はその人物を特定、わざと警察関係者と誤解させるような言い方で話を聞きだします。
男子高校生は堀田純一といい、彼が見たのは死んだはずの美奈絵でした。
さらに茗荷に出勤すると、岡部から『シリウス』に木内が来店するという情報が入り、慎介は『シリウス』で木内と接触します。
彼は慎介の問いにはほとんど答えず、お互いに事故に関して罪の意識は薄いだろ、といいます。
純一が目撃したという美奈絵について聞くと、木内は明言こそしないものの、そのことを知っている反応を見せます。
さらに帰り際、接点がないはずの木内と江島が密談する姿を目撃し、慎介は自分の知らないところで何かが動いている予感を覚えます。
もっと観察しようとしますが、そこで瑠璃子の残していった携帯が鳴り、出ると彼女でした。
慎介は今いる場所を伝えると、瑠璃子は日本橋にある超高層マンションを指定し、そこの指定した部屋に来るよう指示。
慎介はそれに従って部屋に行くと、そこには待ち焦がれていた彼女がいました。
二人は性交をし、彼女の作ったカクテルを楽しみます。
すると瑠璃子は、慎介は永久にこの部屋にいることになるとおかしなことを言い始め、ここでようやく慎介の頭の中で警鐘が鳴ります。
しかし、時すでに遅し。
カクテルに睡眠薬が入っていたのか慎介の意識はまどろみ、最後に瑠璃子の『永遠に、一緒よ』という言葉が聞こえるのでした。
監禁
瑠璃子のマンションの部屋で目を覚ました慎介ですが、すぐに違和感に気が付きます。
服は着ておらず、左足首に手錠がはめられていて、ベッドの脇、壁に取り付けられていたのです。
幸い手錠の鎖は長いので部屋の中を行き交うことは出来ますが、ここから出ることは出来ません。
部屋は遮光カーテンで閉め切られているので時間感覚は失われ、玄関の鍵は内部からは開錠できない仕組みになっていました。
助けを呼びますが、瑠璃子はいません。
今更になって、慎介は彼女の顔が、玲二の作ったマネキンと同じ顔だということに気が付きます。
しばらくして瑠璃子が戻ってきますが、彼女は慎介の質問には答えません。
慎介は彼女の目について、感情のこもらないガラス玉だと感じます。
瑠璃子は自分が美奈絵であることを匂わせ、肉体は滅びてもこの世に残る方法はあるのだといいます。
視線には力がある、と。
それには慎介も同意せざるを得ず、彼女に見つめられると催眠術にかかったように身動きがとれなくなる時がありました。
瑠璃子が再びいなくなると、慎介は自分の携帯が靴入れで鳴っているのを聞きます。
しかし、このままでは手錠に阻まれて届かないので、何かないかと探すと、洗面所のタオル掛けに注目。
スプーンの先端を使ってねじを外そうと試みますが、そこで既視感を覚えます。
彼は自分の部屋の洗面所にある鏡をこうやって外し、そこに何かを隠したことを思い出します。
何を隠したのかは思い出せませんが、成美がいなくなった時、彼女の化粧台にはドライバーが置かれていました。
成美は、慎介が入院中に何かを探し、鏡の裏に隠されているのを見つけたのでは?
それを隠すために、模様替えをしたのでは?
しかし、今はここから逃げるのが先決です。
タオル掛けを外すと、それを利用して靴入れから着ていた服を取り戻し、ポケットに入っていた携帯を使って小塚に助けを求めます。
訝しみながらも小塚は助けに来てくれ、慎介は事情を説明。
信じられないとしつつも、一応小塚は納得したようです。
二人はこのまま帰ることはせず、鍵のかかったドアの鍵を破壊します。
そこには美奈絵の顔をした、たくさんのマネキンが並んでいました。
どうやら玲二はここでマネキン作りに精を出していたようです。
彼の製作記録をつけた日記には、彼がこれまでどのような試行をしてきたのかが書かれていました。
そして彼は一つの到達点にたどり着き、それが慎介も見たあのウエディングドレスを着たマネキンで、『ドール美奈絵』と名付けられます。
しかしそれで玲二は満足せず、次はより人間に近い人形を目指します。
その人形は『MINA-1』と名付けられ、ついに完成を迎えます。
日記の最後で、玲二は『MINA-1』と会話までしているようでした。
小塚は置いてあったパソコンを見つけ、起動させます。
そこで見つけた『MINA-1』の写真、それは瑠璃子その人でした。
女の正体
小塚を残して慎介は自分のマンションに戻ると、洗面所の鏡を外します。
彼はそこに三千万円を隠していたことを思い出しますが、大金はもうそこにはありませでした。
おそらく成美が持って逃亡したのです。
その後、慎介は瑠璃子のマンションについて調べたところ、その階層全て、帝都建設の社長である上原の所有物であることが判明します。
慎介は木内の方面からさらに探ろうと考え、岡部から『シリウス』で木内の一緒にいた樫本という男性の連絡先を入手。
慎介は小塚の名刺をちらつかせ、警官のふりをして樫本から話を聞き出します。
木内は事故の一件があり、婚約を解消していました。
相手は帝都建設の社長令嬢だということです。
さらに木内はクルージングが趣味で、その仲間で集まる『シーガル』というお店を教えてもらい、慎介は行ってみます。
慎介は事情を知っているふりでマスターに話しかけると、相手は木内も婚約者のことも知っていました。
婚約者は上原ミドリといい、花が好きで、よく近くの花屋で花を購入していたといいます。
見せてもらった写真に写るミドリは、瑠璃子とは全く違う顔をしていましたが、帰り道、とある花屋を見て慎介は気が付きます。
花屋の名前は『瑠璃屋』。
ミドリはこの名前から『瑠璃子』と名乗っていたのです。
よみがえった記憶
慎介が木内を尾行すると、彼は上原の所有する例のマンションに着きました。
慎介は知っていることを話し、木内に閉じ込められていた部屋に案内してもらいますが、部屋にはもう何も残されていませんでした。
木内にこれ以上関わるなと言われますが、慎介は諦めません。
今度は江島の家で彼を待ち伏せし、自分の知っていることを打ち明けます。
それでも江島は反応を見せず、慎介を送るために車を出してくれます。
慎介はそこで爪を見つけ、それが成美のものであることに気が付きます。
そして江島が急ブレーキをかけた時、慎介は全てを思い出します。
事故の時、彼は運転席ではなく後部座席に座っていたのです。
慎介は事故のことを思い出したことを伝えると、江島の表情が変わります。
事故を起こしたのは江島でしたが、彼は他にも交通事故を起こして執行猶予中の身でした。
そこで慎介が運転していたことにして自分は現場から立ち去り、その代わりに三千万円を慎介に渡したのです。
成美もこのことを知っていました。
ここからは慎介の想像になりますが、成美は三千万円を持って江島に交渉し、さらに二千万円を上乗せした五千万円を要求。
しかし江島は応じず、成美を始末したのです。
慎介は改めて交渉。
五千万円で成美のことも含めて黙っていると持ち掛け、江島も了承するのでした。
真実
慎介が自宅に戻るとインターホンが鳴り、覗き窓から見ると相手は瑠璃子でした。
開けるつもりはありませんでしたが、いつの間にか合い鍵を作成していた瑠璃子はそれを使用して入ってきます。
瑠璃子は、逃げたければ自分を殺せと迫り、慎介は彼女の首に手をかけます。
その時、携帯が鳴って慎介は思うように動けるようになり、寸前のところで部屋から脱出。
電話を掛けなおすと、相手は木内でした。
彼は慎介に会いたいとして、二人はファミレスで合流。
木内はようやく真実を話します。
実は彼もまた慎介と同じく身代わりで、事故当時、運転していたのはミドリだったのです。
しかも彼女は飲酒していました。
二人は木内のマンションに移動すると、話の続きをします。
身代わりは木内の方から持ち出し、そのことを江島に伝えました。
すると江島もまた慎介を身代わりにすることを思いついたのでした。
しかし、本当の問題はそこからでした。
事故の時、美奈絵に突っ込んだミドリは彼女が死ぬまで、ずっと目を合わせていました。
そこにある憎悪にとり憑かれ、ミドリの心は死んでしまったのです。
彼女の父親はあらゆる手段で彼女を治療しようとし、その療養の場として選んだのがあのマンションでした。
それでもミドリは一向に回復しなかったため、何らかの形で死者の供養をさせようと思いつき、玲二と連絡をとります。
ミドリ一人で美奈絵の仏壇に線香をあげますが、戻ってきた彼女は幸せそうでした。
木内はミドリが回復したと勘違いしましたが、それは大きな間違いでした。
それ以降、ミドリは頻繁に玲二のマンションに通うようになり、木内はこれを黙認。
すると今度は自分のマンションに大量の機材を持ち込み、玲二に作業場として提供し始めたのです。
それでもまだ許容範囲でした。
ところが、玲二とミドリは美奈絵が作れないことに気が付くと、次の手に出ます。
ミドリを、美奈絵に変身させるのです。
ミドリはダイエットと整形をし、美奈絵になりました。
そして木内は、事故の日、美奈絵の眼光によってミドリは催眠術にかけられ、心までも美奈絵になってしまったのだといいます。
否定しようとしますが、眼光の力には慎介も思い当たる節がありました。
日記にあった玲二と『MINA-1』の会話は、瑠璃子としたものだったのです。
しかし、そんな成功も長くは続きません。
先に玲二が夢から覚めてしまい、美奈絵が改めて亡くなったことを自覚。
彼女を追って自殺する前に、慎介に復讐しようとしたのでした。
そして、瑠璃子は玲子の遺志を受け継ぎ、慎介に復讐しようとしているのではと二人は考えます。
小塚について、慎介が部屋を出た後に瑠璃子が戻り、始末したのではないかと思われます。
今や一蓮托生となった二人は、瑠璃子を探すのでした。
本当の復讐
慎介はお金の件で江島に呼ばれ、お金を隠したコインロッカーの鍵を渡されます。
お金を回収して部屋に戻りますが、そこで背後から江島に頭を殴られ、気絶。
気が付くと手足を縛られた状態で寝かされていました。
江島は彼に大量のテキーラを飲ませ、その上で睡眠薬を注射する。
そうすることでアルコール中毒によるショック死に見せかけ、慎介を殺害しようとしていたのです。
ここまでかと思われましたが、突然、押し入れが開き、中から瑠璃子が現れます。
彼女はここまでの会話から江島が本当の復讐の相手であることに気が付き、自分を殺すよう訴えます。
恐怖に駆られた江島は彼女の首を絞め、ベランダから突き落としたのでした。
結末
取調室で事情を話す慎介。
江島はあの後逮捕され、木内は全てを警察に話します。
小塚の死体は軽井沢にある帝都建設保養所の敷地内で、セメントで固められた状態で見つかりました。
彼は自分がやったと主張し、運転の時と同じように、彼女の罪をかぶろうとしていました。
警察は、慎介がミドリに監禁されたことについて納得していませんが、彼はミドリの持つ目の不思議な力によって抵抗できなかったと主張。
江島もその力で、ミドリを殺害したように見えたと証言します。
すると、担当していた坂巻という刑事はいいます。
江島は殺害したミドリの目がいつも見ていると精神が不安定な状態になり、一昨日の夜中、発作的に両目に指を突っ込んでしまいます。
結果、彼は両目を失明したのでした。
慎介は全身から体温が奪われるような感覚に襲われます。
思い出すのは、美奈絵に模したマネキンの顔でした。
おわりに
ミステリーと思って読むと、次第に漂い始める不気味な雰囲気に驚くと思います。
オチが少い弱い気もしますが、それを上回る後味で、納得のできる作品でした。
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