『進撃の巨人 28巻』ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。
王家の血を引くジークを迎え入れ「地鳴らし」の発動条件を手に入れたエレン達。だが兵団は、エレンがジークに操られていた場合の危機を考慮し、二人を引き合わせることに躊躇。そしてマーレからの義勇兵を拘束してしまう。その事態に一部の兵士や民衆が不満を溜める中、ついにエレンが単独行動を起こす。
Amazon内容紹介より
前巻では、エレンの脱獄とザックレーの死亡、そしてエレンを中心にして反逆する兵士たちと、かなり状況が動いています。
そして、今回はそこから始まります。
第111話『森の子ら』
集まる兵団一同とアズマビト家の面々。
ナイルは、フロックを含む百名の兵士が姿を消し、エレンの脱獄と共に離反、総統を殺害したのも彼らだと見ています。
そんな彼らを『イェーガー派』と呼ぶことが決まります。
ナイルは彼らの目的をハンジに聞くと、ハンジはジークとエレンを接触させることが全てだと答えます。
なぜ『イェーガー派』が短期間でここまで連携できたのかという疑問があります。
エレンを担ぐということは、ジークの後ろ盾を信じることに他なりませんが、兵士たちはジークを信じるエレンを信じているのだとハンジはいいます。
結局、『地鳴らし』に頼るしかエルディア人に生きる道はないのに、兵団は貴重な時間を浪費して、ジークを疑うだけで一歩も前進していない。
そして引き金となったのは、兵団がエレンから他の兵士へ『始祖の巨人』を映そうと画策し、そのことを調査兵団に知らせていないことでした。
知らせればどうなるかくらい、とナイルは反論しようとしますが、ミカサはにらみつけるような厳しい表情をしています。
ローグは、『イェーガー派』の多くが調査兵団からであることを指摘。
ハンジはいくらでも処分は受けるとしつつも、このまま兵団を退くことほど無責任なことはないと残る意思を示します。
お互いに不満をぶつけていると、扉が開き、入ってきたピクシスが仲裁に入ります。
ピクシスはジークの居場所を知るもの、ヒストリアの安全を確認させ、この二つの守りを万全にするよう指示します。
そして、巨人であるアルミンの守りもより一層強めることを本人に伝えます。
アルミンは、総統亡き今、自分たちを束ねることができるピクシスに今後の展望を聞きますが、彼の答えはエレンに降参するというものでした。
徹底的に敵をあぶりだす時間はありません。
しかし、服従するわけではなく、『イェーガー派』にジークの居場所を教えることを条件に交渉することを考えていました。
地鳴らしの行方を見守り、総統を殺害されたことを不問にする。
これで数百数千の同士が殺し合わずに済むのなら、と言って歯を喰いしばり、安かろうとピクシスは断言します。
これに一同も心が決まり、早速命令にとりかかります。
ピクシスは醜態を晒したことをキヨミに謝罪すると、彼女はいくつか言葉を交わし、この場を後にしようとするミカサを呼び止めます。
何かあったら自分たちの船に逃げるようミカサにいいますが、彼女はお気になさらずと丁重に断ります。
キヨミは、あなた様のために来たといいますが、地下資源がなくてもですか?と切り替えされて笑顔が引きつります。
ミカサはさらに、この国の主導権を誰が握ろうと、地鳴らしが成功すればという立場ですよねと聞かれると、キヨミはミカサの肩に手を置き、項垂れます。
地鳴らしが本物でなければアズマビトは終わると本音をもらし、尚さら頼れないとミカサも困っています。
しかし、キヨミは自分の汚名のことを認めつつも、ミカサの母親が残した一族の誇りは失っていないといい、この国がどうなろうとも、ミカサだけは守ると強く宣言します。
場面は変わり、建物を後にするハンジたち。
エレンのことでコニーとミカサが少し険悪になりますが、ハンジが止めます。
これからの方針として、まずはジークの思惑を明らかにすることが先決だとして、ハンジはイェレナが守ったマーレ人捕虜の労働環境が怪しいとして、レストランを挙げます。
場面は変わり、ニコロのいるレストランにブラウス一家が訪れ、ファルコとガビも一緒です。
ニコロは予想以上の人数に驚きますが、父親は無料(タダ)を強調。ニコロは何とか笑顔を取り繕って一同を案内します。
ニコロの作る料理は一級品で、誰もが涙を流しながら平らげていきます。
メインの肉料理の調理に差し掛かった頃、ニコロに来客があり、行くとハンジたちがいました。
ハンジは遠回しに聞こうとしますが、オニャンコポンは義勇兵が拘束された件で聞き取り調査がしたいと話し、憲兵御用達の部屋に通されます。
ジャンは棚に並ぶワインを飲もうとしますが、ニコロは必死の形相でそれを止め、エルディア人にはもったいないとはっきり差別します。
ニコロはワインを持って退室、ガビは彼が戻ってくるのを確認すると作戦に移ります。
ファルコが突然、お腹が痛いと言い出し、トイレに駆け込み、ガビも助けられるかもしれないとついていきます。
向かった先は地下のワインセラーで、ガビは自分たちが戦士候補生であることをニコロに打ち明けます。
ニコロは驚愕し、女の兵士を殺したか?とたずねると、ガビは仕留めましたと意気揚々に答えます。
しかし、ニコロの反応はガビが思っていたものと違っていました。
ニコロはワインの瓶を持つと、サシャの仇と言わんばかりに振り下ろし、ガビを庇ったファルコの頭を直撃します。
瓶は割れ、床に倒れるファルコ。ニコロは割れたワインの瓶を見てハッとします。
しかしそれでも気が済まず、ファルコを心配するガビの顔面を殴り、ブラウス家一同が待つ部屋に二人を連れて行きます。
父親は血を流す二人と包丁を持ったニコロに驚くサシャの父親ですが、ニコラは冷たい表情でいいます。
サシャを殺したのはこいつ(ガビ)です、と。
ニコロが経緯を話すと、ガビはようやく自分が殺した女兵士がブラウスたちの娘であることを知ります。
その顔は青ざめ、ニコロは包丁を父親に渡します。
あなたが殺さないなら、自分が殺しますと。
そこに騒ぎを聞きつけたアルミンが現れ、ハンジたちも合流。
それでもニコロは引かず、ファルコを人質にとります。
ガビはファルコは違うと懇願しますが、ニコロにとってサシャは、人を喜ばせる料理が本当の自分なんだと教えてくれた大事な人だと引き下がりません。
ガビはサシャに騙されていると必死に主張しますが、そこでサシャの父親はニコロに包丁を渡すよういいます。
受け取ると、ガビを見下ろした後、これまでの自分たちの生き方を話し、過去の罪や憎しみを背負うのは我々大人の責任だと話し、包丁を妻に渡し、彼女はそれをテーブルに置きます。
そして、妻がファルコを離すよういうと、それが合図となってジャンとコニーが後ろからニコロを取り押さえます。
ファルコをブラウス夫妻が、ガビをミカサが手当てします。
その時、ガビがサシャの仇であることを知ったカヤがガビに対してナイフを振り上げますが、ミカサがそれを受け止め、ブラウス夫妻が彼女を押さえます。
カヤは人殺し、友達だと思ってたのにと大声を上げ、それから夫妻と一緒に涙を流し、ガビはアルミンとミカサに連れられて別の部屋に移動します。
ニコロはすっかり肉料理が冷めちまったとこぼした後、あのワインが入ってしまったからファルコの口をゆすいでほしいとハンジにいいます。もう、手遅れだと思うけど。
ハンジは怯えるような表情でワインに何が入っていたのかを聞くと、ニコロは答えます。
多分、ジークの脊髄液だと。
第112話『無知』
ファルコの口を急いでゆすぎ、ニコロを壁際に押し付けてジャンが問い詰めます。
ニコロにも確証はありませんが、あのワインは第一回の調査船から大量に積まれていて、短期の調査船には不要な量だったといいます。
そして、このレストランで立場が安定してきた頃、このワインを兵団組織高官らに優先して振る舞うようイェレナに指示されていました。
このことはオニャンコポンも知りません。
ジークの脊髄液を飲んだ時点でエルディア人は硬直するはずだろうとコニーは反論しますが、それはジークが言っただけであり、誰かが見たわけではありません。
そして、その嘘の効果は絶大で、硬直という前兆がなければ、誰も毒を盛られたと発想すらしません。
ニコロに確証はありませんが、過去にマーレは敵国の首都を落とすのに同様の手段を用いたことがあるため、可能性は十分にあります。
そこでジャンは、自分がワインを飲まないようあえてニコロがひどい言葉をぶつけてきたことに気が付きます。
ニコロは自分のしたことを悔いていて、せめてもの罪滅ぼしとして打ち明けてくれたのでした
ハンジは事情を知り、全員に上着を脱ぎ、手を洗うよう指示します。
場面は変わり、別室にいるアルミンたち。
アルミンは、殺すばかり言うガビが誰かにそっくりだと話しますが、その時、ドアが開きます。
入ってきたのは虚ろな表情のエレンで、右手はすぐに巨人化できるようナイフで切って血が流れています。
その頃、ハンジたちはファルコの全身を洗っていましたが、オニャンコポンに呼ばれて部屋に戻ります。
すると、そこにはフロックをはじめとする『イェーガー派』の兵士たちが銃を構えて待っていました。
フロックたちは兵団からの申し出を断り、ハンジからジークの居場所を聞き出そうと考えていました。
また彼らは、ワインにジークの脊髄液が入っていることを知っていました。
調査兵団を拘束し、別室のエレンに先に行くと告げた上で、フロックたちはハンジたちを馬車に乗せてどこかに移動します。
一方、アルミンたちと静かに話したかったというエレン。
彼はこれまでしたことは自分の意思で、自由であることを伝えた上で、アルミンとミカサはそうではないといいます。
アルミンがアニのところに通っていることに言及し、すでにベルトルトに脳をやられ、敵に操られていると。
そしてミカサですが、エレンはアッカーマン一族についても知っていました。
アッカーマン一族は、巨人の力の一部を人の姿のまま引き出せる一族であり、元々はエルディアの王を守るために設計されました。
その名残で、誰かを宿主だと認識した時にその習性が発動するようになり、ミカサがエレンに執着しているのは、彼女がエレンを宿主と認識しているからだといいます。
ミカサは、エレンだからだと反論しますが、エレンも引き下がりません。
力に目覚めたアッカーマンは突発性の頭痛をよく起こすことがあり、それを指摘されてミカサを頭痛が襲いますが、それでも彼女は否定します。
しかしエレンは、本能に忠実に従うミカサを奴隷だと評し、ガキの頃からずっと嫌いだったと言い放ち、ミカサは悲しそうに涙を流します。
我慢できなくなったアルミンはエレンに殴りかかろうとしますが、ミカサは自分でも無意識にアルミンを組み伏せていました。
違う、とミカサは手を離し、その隙にアルミンはエレンの顔面を殴り、エレンの体が吹っ飛びます。
しかし、その後は相手にならず、一方的に殴られるアルミン。
それでも反抗する意思はなくなっておらず、ミカサを傷つけるのがエレンの求めた自由なのか、クソ野郎に屈したのはどっちだよと吐き捨て、初めてエレンは悔しそうに歯ぎしりし、誰が奴隷だ、と否定します。
騒動が終わると、エレンは始まりの地・シガンシナに向かうべく準備するのでした。
場面は変わり、巨人の森で監視されているジーク。
リヴァイと二人の兵士は今後の流れについて話し会っています。
ピクシスはエレンを誰かに食べさせるつもりですが、リヴァイは納得しません。
むしろ食べられるのはジークの方だとして、『イェーガー派』のうちの誰かにジークを食べさせた後、その誰かを数か月後に出産を終える予定のヒストリアに食べてもらおうと考えています。
ジークはそうピクシスに伝えるよう二人を行かせると、ジークといくつか言葉を交わし、背を向けます。
ところが気が付くと、ジークは読書をやめ、リヴァイとは反対側に走りだしていました。
他の兵士たちも虚をつかれる中、ジークが叫ぶと、木の上で待機していた兵士全員が突然巨人化します。
リヴァイの目の前に、ほんの少し前まで部下だった者が巨人となって何十体も降り注ぐのでした。
第113話『暴悪』
兵団の兵士やファルコなど、ジークの脊髄液を摂取した人たちは体中に電気が走ったような感覚がします。
これでハンジとピクシスは、ジークが何かをしたことに感づきます。
一方、ジークは逃げながらリヴァイの方を振り返ります。
リヴァイはかつての部下が相手のせいか、逃げ回るけれど攻撃はしません。
巨人化の原因について、兵士たちとのこれまでのやりとりからワインにあると気が付きます。
そして、ジークの脊髄液の影響か普通の巨人よりも動きが早く、逃げきれずに大勢の巨人に踏みつけられてしまいます。
ジークはその様子を見届け、巨人のうちの一体の手のひらに乗り、森から脱出するべく進みます。
リヴァイたちと分かり合えなかったことを残念に思いながらも、それも無理はないとジークは考えます。
レヴリオの奇襲で勘違いさせてしてしまったけれど、もうすぐ、全世界の戦力がこの島に集結しようとしていて、もう時間も選択肢も残されていないのです。
唯一、エレンとだけこの気持ちを共有しているとジークは考えていて、彼と合流すべく先を急ぎます。
ところが突然、背後から血塗れのリヴァイが現れ、巨人を一瞬で蹴散らしていき、仕方なくジークも巨人化して反撃します。
弱点であるうなじを硬質化で守ると、巨人を引きちぎって石つぶてのように投げまくります。
しかし、リヴァイには通用しません。
気が付くとリヴァイは真上から降下するところで、右腕から雷槍が四本も発射されます。
それは硬質化したうなじを貫き、信管を抜くと大爆発。
リヴァイがジークを中から取り出しますが、皮膚は焼けただれ、肉や骨が見えていました。
リヴァイは、すぐには殺さないとして、瀕死のジークの髪の毛を持って引きずりながら森の中へ消えていきます。
場面は変わり、シガンシナ区。
教官であるシャーディスは、109期訓練兵団の訓練を行っていました。
しかし、訓練兵たちはやり方が時代遅れだとやる気がなく、中にはイェーガー派に賛同する者までいました。
そんな時、フロックをはじめするイェーガー派の兵士、そして後ろで手を縛られているハンジが現れ、場は一気に緊張感が増します。
フロックはこの兵団支部を占拠したとして、口答えをするシャーディスに一発お見舞いしますが、弾丸は足に当たらずに地面にめり込みます。
フロックは訓練兵を見渡し、エレンと共に未来を生きるのかどうかを問うと、次から次へと訓練兵たちは懐柔されていき、その証として立てなくなるまでシャーディスを一方的にリンチします。
その様子をハンジは悲しそうに見つめ、アルミンたち他の調査兵団やブラウス家は牢に閉じ込められ、エレンは窓の外をぼんやりと眺めていました。
場面は変わり、ジークが気が付くと、馬車に寝転がっていて、リヴァイもいます。
動こうとすると止められ、よく見ると腹には雷槍が突き刺さり、首にはワイヤーがくくりつけられ、それは信管に繋がっていました。
下手に動けば、雷槍が爆発するため、ジークは身動き一つとれません。
まだダメージの残るジークは激しく嘔吐しますが、リヴァイは容赦しません。
巨人化しないようにとジークの足の先端から小間切れにし、膝から下を切除。ジークが苦悶の声を上げます。
ジークは意識が朦朧とする中、眼鏡はどこだと探し、意識は幼い頃に向かっていました。
思い出されるのは、幼いジークとキャッチボールをするクサヴァーという男性の姿で、彼はジークと同じ眼鏡をかけていました。
どうやら、ジークは彼の眼鏡を引き継いだようです。
第114話『唯一の救い』
ここからは回想。
幼いジークは、両親に抱かれてレベリオ区に移住しますが、彼らはエルディア人として迫害を受けます。
ジークはそんな世の中を救うために、戦士となるべく日々訓練に打ち込みますが、彼自身にその気概がないため成績はいまいちでした。
一方、両親が家を空けることが多かったためジークは祖父母に預けられることがままあり、寂しい思いをしていました。
時間ができても両親からは勉強しか教えてもらえませんでしたが、それでも期待に応えると両親は嬉しそうで、それだけがジークの心の拠り所でした。
しかし、それでも訓練の成績は上がらず、途方に暮れるジークですが、そんな彼の足元に野球のボールが転がってきて、こっちに投げてくれと眼鏡をかけた男性に言われます。
ジークは男性に向かってボールを投げると、男性は小さいのにやるなと褒め、一緒にキャッチボールをすることに。
男性の名前はトム・クサヴァーといい、左腕には赤い腕章、つまりジークの目指すマーレの戦士であり、『獣の巨人』を保有していました。
そんなある日、ジークが家に帰ると、父親は仲間と計画について話し合っていて、予断を許さない状況であることが分かりました。
ますますジークの肩に重圧がのしかかりますが、それでも成績は上がらず、父親は失望します。
誰にもこの苦しみを打ち明けることができず、ジークはクサヴァーにだけ打ち明けます。
彼は研究者として、巨人のことを知るために巨人になったのだと話してくれます。
自分たちはまとも同士だと話し、それで気が楽になったジークは穏やかな気持ちで雑用係をこなします。
ところがそんな時、偶然エルディア復権派のことが知られてしまったことを盗み聞きし、自分たち家族が捕まるのはもう時間の問題でした。
ジークはそのことを遠回しに両親に伝えますが、父親は怒り狂い、話すら聞いてくれません。
もはやどうしたらいいのか分からないジークは、クサヴァーにこのことを相談。
クサヴァーも頭を抱え、悩んだ末に告発するようジークに勧めます。
そうすれば、少なくともジークと祖父母だけは助かります。
はじめ、ジークは拒みますが、両親は君にひどいことをしたとクサヴァーは何度も説得し、ついにその日がやって来ます。
感情をなくしたような表情のジークに、辛そうなクサヴァー。
ジークの密告によって両親は捕まり、ジークはそれを無表情で見送り、隣ではクサヴァーが涙を流しています。
それから数年後。
ジークは成長を遂げ、クサヴァーも手加減のなしの彼のボールを捕るのもやっとです。
そして、クサヴァーの任期も近づき、体調が悪いのかせき込みます。
彼は巨人になったことを後悔しておらず、最後に集大成として『始祖の巨人がユミルの民にもたらした様々な影響について』発表する予定でした。
記憶の操作はもちろんのこと、『ユミルの民』なら体の構造を変えることだってできるのだといいます。
現に六百年前、体の構造を変えたことで病を消滅させたのでした。
それを聞いてジークはいいます。
始祖の巨人の力を使えば、ユミルの民から子どもができないようすることができるのか。
そうすれば百年も経つ頃には巨人もいなくなるし、そもそも自分たちも生まれてこなければ苦しまずに済んだと。
この言葉に反応したのがクサヴァーで、彼はジークが投げたボールを取りこぼしてしまい、ジークが名前を呼ぶと、クサヴァーは自分のことを話します。
彼にはかつて息子がいて、妻はマーレ人、彼自身は腕章を外し、エルディア人であることを隠して生活していました。
しかし、隠し通せるわけもなく、夫がエルディア人であることを知った妻は、自分と息子の喉を裂いて無理心中。
クサヴァーが巨人になったのは、贅沢な自殺でしかありません。
床には血を流して死んだ妻と息子が転がり、クサヴァーは泣きながらボールを拾いますが、ボールからは二人の血が滴り落ちます。
その話を聞いて、ジークは獣の巨人を継承することを決意します。
そして『始祖奪還計画』を成功させ、始祖の巨人をマーレから奪い、世界を救ってみせると。
ここで現在に戻り、雨が降り出した中、ジークは『唯一の救い、エルディアの安楽死』と呟きます。
しかし、リヴァイにはあまり聞き取れず、伸びてきた足を切ろうと剣を抜きます。
その時、ジークは『クサヴァーさん見ててくれよ!』と叫び、思い切りのけぞって信管を抜きます。
雷槍は爆発し、二人は爆風によって吹き飛ばされるのでした。
おわりに
ここでジーク側の視点からも過去の経緯が見ることができ、それぞれにドラマがあることが分かりました。
誰にでも正義があるからこそ、割り切れないのが本書の良いところであり、悩ましいところでもあります。
あと、エレンはきつく当たっているように見せて、何か考えがあるように見えるのですが、僕の気のせいでしょうか?
まだまだ明るい展開が期待できない状況ですが、その日を心待ちにして次巻を楽しみにしたいと思います。
次の話はこちら。