『プラチナデータ』あらすじとネタバレ感想!DNA捜査に隠された巨大な秘密とは?
犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がるなか、科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生した。警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は「NOT FOUND」。犯人はこの世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者までが殺害される。現場に残された毛髪から解析された結果は…「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。犯人は、神楽自身であることを示していた―。確信は疑念に、追う者は追われる者に。すべての謎は、DNAが解決する。数々の名作を生み出してきた著者が、究極の謎「人間の心」に迫る。
「BOOK」データベースより
2013年に映画化された本書。
以下は電子書籍解禁を記念したスペシャルムービーです。
本書はDNA情報を全面的に捜査に取り入れ、国民全ての情報を集積した場合の世界を描いた作品です。
犯罪を抑制し、起きても容易に解決に導ける最善の方法なのに、生理的な嫌悪感が止まらないある種のディストピアのような世界観になっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
新しい捜査の形
特殊解析研究所。
科警研から独立した部署で、ここではDNAを分析した新たな試みが行われていました。
それはDNA情報をより詳細に分析し、犯人の身体的特徴など正確なデータを算出すること。
そして、国民のDNA情報を集めたデータベースと照合し、事件の犯人を容易に割り出すというものです。
通常であれば犯罪などに手を染めなければDNA情報が登録されることはありませんが、この研究所は本人の承諾なしに病院受診時などに得られたDNAサンプルを取得し、データベースに集積していました。
多くの国民が自分のDNA情報を差し出すことに抵抗を覚えますが、国会では個人情報に関する法案が通り、DNA捜査が正式に認められるようになりました。
主任解析員の神楽龍平はDNAこそが心を決めるものであり、身内から犯罪者を出さなければ自分のDNAを提供しても問題ないはずだと考え、この捜査方法に何の疑問も抱きませんでした。
しかし、この新たな捜査の形が新たな問題を生むことになります。
NF13
若い女性が二人続けて殺害される事件が発生します。
どちらも頭を銃で撃ち抜かれていて、暴行の形跡がありました。
体内に残された精液から同一人物のものであることが分かりますが、データベースの中に該当のデータはなく、この事件は『NF(Not Found)13』として登録されることになります。
神楽はDNAデータが不足しているせいで犯人を割り出せないのだと分析しますが、この事件はもっと大きな意味を持っていることが後になって判明します。
開発者の殺害
NF13の事件の後、今度はDNA捜査システムの開発者・蓼科早樹とその兄・耕作が銃殺されているのが発見されます。
二人は治療のために入院していましたが、病院の防犯カメラでは犯人を確認することはできませんでした。
死体に残った銃弾から、NF13の犯行で用いられた銃と同じであることが判明します。
一方、早樹の遺体に残された毛髪のDNA情報からプロファイリングを行いますが、システムは毛髪の持ち主が神楽であることを示しました。
身に覚えのない神楽ですが、彼は『リュウ』というもう一つの人格を持ち、事件の前は蓼科兄妹と同じ病院で眠りについていました。
つまり、眠っている間に別の人格が表に出て兄妹を殺害する可能性があるということを意味します。
それでも信じられない神楽は、警察から逃げながら自分の無実を証明するための証拠を探します。
手がかりは早樹が最後に作ったという『モーグル』という名前のプログラムですが、研究所に『モーグル』は残されていませんでした。
神楽は逃げ回る中で人の心を知り、そして『プラチナデータ』という巨大な謎の正体に気が付くのでした。
感想
嫌悪感が止まらない
DNA情報の提供を依頼された時、自分ならどうするだろうとずっと考えていますが、やっぱり嫌だなというのが正直な感想です。
理屈というよりも、生理的な嫌悪感に近いもので、どんな言葉を尽くしてもこの嫌な感覚は伝えられない気がします。
悪いことをするつもりはありませんが、DNA情報からから他人に漏れてはいけない個人情報が読み取れるかもしれないし、何かの拍子で何の関係もない第三者に個人情報が漏洩するかもしれない。
もしくは本来の目的以外で堂々と使われるかもしれない。
考えたくはありませんが、血縁者から犯罪者が出て、自分も犯罪者予備軍のように見られるかもしれない。
考えただけで恐ろしい世界です。
このディストピアのような世界観は、東野圭吾さんのミステリとしては新鮮で張り切って読むことが出来ました。
相変わらず嫌な人間を描くのがうまい
神楽や研究所所長の志賀が最もたるところですが、東野さんは相変わらず嫌な人間を描くのがうまいなと感心してしまいました。
彼らの話を聞いているだけで腹が立つし、苛立って話を聞く人たちに共感しっぱなしでした。
しかし、この嫌悪感があるからこそ作品の訴えかける感情の幅がグッと広がり、良い作品として心に残るんですよね。
そして読み終わる頃には嫌な人たちの印象が下手したら一八〇度変わっていることもありました。
話の設定もそうですが、本書のキャラクターが魅力的でグイグイ読ませる力がありました。
結末はもう一歩
ただ微妙な点も挙げておくと、結末が想像できそうな範囲で収まってしまったことです。
ここまで巨大な話になれば落としどころはそこになるだろうと思いながらも、もっと違った結末を期待していただけにわずかですが拍子抜けしてしまいました。
あとは話の畳み方がやや駆け足だったことも気になりました。
話が面白くなりそうな仕掛け(リュウの存在、白鳥里沙の立ち位置など)が多くあったにも関わらず、そこまで活かされず、勝手にもったいない気持ちになってしまいました。
良作ではありますが、あくまで東野さんの作品をいくつも読んだ人にオススメする。
これくらいの推薦度が妥当かなと個人的には考えています。
おわりに
捜査にまだまだ科学が寄与できる可能性があることを感じるとともに、慎重に扱わないととんでもない世界になりかねないという危険性を教えてくれる作品でした。
文庫本で五〇〇ページ近いボリュームですが、一度波に乗ってしまえば後はあっという間に読めてしまうので、重い腰が上がらないという方も意を決して手にとってみてください。
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