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『ラプラスの魔女』あらすじとネタバレ感想!二つの不可解な事件に隠された真の思惑

harutoautumn
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ある地方の温泉地で硫化水素中毒による死亡事故が発生した。地球化学の研究者・青江が警察の依頼で事故現場に赴くと若い女の姿があった。彼女はひとりの青年の行方を追っているようだった。2か月後、遠く離れた別の温泉地でも同じような中毒事故が起こる。ふたりの被害者に共通点はあるのか。調査のため青江が現地を訪れると、またも例の彼女がそこにいた。困惑する青江の前で、彼女は次々と不思議な“力”を発揮し始める。

「BOOK」データベースより

東野圭吾さんの作家デビュー三十周年記念作品であり、2018年に櫻井翔さん、広瀬すずさんなどが出演して映画化された本書。

https://www.youtube.com/watch?v=LN1k2yAXab4

東野作品の特徴の一つである理系ミステリを象徴した作品ですが、これまで以上に難しい理論を扱ったこともあって、まだまだ先に進むという意欲を感じました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

謎の少女

とある温泉地で硫化水素中毒による死亡事故が発生。

地球化学の研究者・青江は警察の依頼で調査に乗り出しますが、事故現場で人間が死ぬほどの硫化水素濃度は確認できませんでした。

警察は亡くなった男の妻が保険金目的で殺害したのではと疑いますが、確証は得られません。

その後、今度は別の温泉地で同様の事件が発生。

青江は今度は新聞社の依頼で調査に乗り出し、現地でとある少女・羽原円華と出会います。

円華は前の事件の現場にもいて、事件のことを調べているのは明らかでした。

彼女が何者であるかはこの時点で分かりませんが、後に事件と大きく関わっていることを知ります。

共通点

一つ目の事故の被害者は、映像プロデューサー。

二つ目は売れない役者。

調べるうちにこの二人は映画監督・甘粕才生という共通点を持っていることが判明。

青江は甘粕のブログを読み、彼の家族が硫化水素中毒で亡くなっていたことを知ります。

唯一、息子の謙人だけが助かっていて、植物状態からも奇跡的に回復。

その治療に当たっていたのが円華の父親で脳神経外科医師の羽原全太朗でした。

この事件に関係する人物が今回の二つの事件に関与している可能性が浮上しますが、肝心の謙人の行方は分かりませんでした。

隠された研究

青江は円華と再び会い、そこで彼女の不思議な力を目の当たりにします。

常識では説明できない現象に驚く青江ですが、本当に驚くのはここからでした。

羽原全太朗は事故について青江が嗅ぎまわっていることを知り、事件から遠ざけるためにあえて自分の研究を教えます。

それは円華の力のことであり、謙人のその後の人生のことでした。

ラプラス魔女とは?

事件とどう関係しているのか。

ここから青江の追う事件は一気に動き出します。

感想

理系ミステリ

東野圭吾さんのミステリはいくつかのタイプに分類できますが、本書はズバリ理系ミステリです。

物語の中核には理論的には可能だけれど実現は不可能に近い科学が置かれ、それを中心に物語が展開します。

『探偵ガリレオ』シリーズなど科学者や研究者が主人公の物語が好きな人にはまずオススメです。

理系ミステリというとどうしても理論が先行し、人間ドラマなどに乏しく面白くないと思う人もいるかもしれませんが、その点も抜かりません。

しっかりと登場人物の背景が描かれ、そこに至るのが妥当だと思えるクオリティなので、通常のミステリとしても良作だと思います。

タイトルでピンと来る人もいる

タイトルに『ラプラス』とありますが、『ラプラスの悪魔』という言葉を知っていれば本書の内容はおおよそ予想が出来ます。

もちろん東野圭吾さんもその点を考慮して執筆しているので、分かっても重大なネタバレというほどではないのでご安心ください。

『ラプラスの悪魔』について本書で丁寧に説明されますが、より詳しいことが知りたいという方はこちらもご覧ください。

ラプラスの悪魔-Wikipedia

とてもロマンがある話なので、本書を読み終えてから自分で調べてみるのも面白いと思います。

ちなみに僕はスーパーロボット大戦というゲームに登場するサイバスターという機体をきっかけに知り、一時期ハマって調べていました。

物足りない部分もある

『ラプラスの悪魔』を取り扱っている以上、ある程度仕方ありませんが、どうしても事件の真相が消化不良気味でした。

極端なことをいえば何でもアリなのでミステリとしては反則では、とも思いました。

うまく物語に取り入れているなと思う一方で、いかに難しい題材かを痛感しました。

後は登場人物。

主役である研究者の青江にしろ刑事の中岡にしろ円華にしろ、他の東野作品と比べると単純な魅力に欠けると感じました

一方で武尾、桐宮などの脇役が徐々にいい味を出してきますので、総合的にはやや物足りないというところでしょうか。

厳しいようですが、面白いけれど真っ先に薦める作品ではありません。

面白いんですけどね。

おわりに

東野圭吾さんお得意の理系ミステリで、その中でも理論上は可能だけれど実現は不可能ではないか。

そんな内容を取り扱ったのが本書です。

ミステリとしてはやや消化不足でしたが、『ラプラスの悪魔』が出てきたことでとにかくワクワクしたので、その一点だけで僕は大満足です。

本書の前日譚はこちら。

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