『さいはての彼女』あらすじとネタバレ感想!立ち上がる力をくれる短編集
25歳で起業した敏腕若手女性社長の鈴木涼香。猛烈に頑張ったおかげで会社は順調に成長したものの結婚とは縁遠く、絶大な信頼を寄せていた秘書の高見沢さえも会社を去るという。失意のまま出かけた一人旅のチケットは行き先違いで、沖縄で優雅なヴァカンスと決め込んだつもりが、なぜか女満別!?だが、予想外の出逢いが、こわばった涼香の心をほぐしていく。人は何度でも立ち上がれる。再生をテーマにした、珠玉の短篇集。
「BOOK」データベースより
四つの物語が構成された短編集です。
日常に疲れて非日常に飛び込み、そこで冷静になって自分を見つめ直す。
そんな物語が多く、五感が研ぎ澄まされた描写は本当に非日常を感じさせてくれるようでさすがの一言です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
さいはての彼女
鈴木涼香は父親が浮気をして家を出ると、一度はグレてしまいますが、これでは出ていった父親を見返せないと猛勉強。
その結果、二十五歳で会社を起業し、今では社員百名以上を抱える会社の社長にまで昇り詰めました。
しかし、手痛い失恋を経験。
忘れようと仕事に没頭しますが、焦れば焦るほど空回りし、当たり散らしたせいで秘書の高見沢が退職することになりました。
高見沢は最後の仕事として涼香の沖縄での長期休暇の手配をしますが、涼香は空港に着いて驚きます。
高見沢の手配した飛行機の行く先は、真逆ともいえる北海道の女満別だったのです。
涼香は現地で高見沢が嫌がらせで手配したとしか思えないオンボロの軽自動車に乗り込み、どうしたものかと途方に暮れます。
すると、そんな涼香に声を掛けてくれる人がいました。
ハーレーに跨る華奢な人物で、ナギといいます。
ナギはバイクを知らない人をバイク好きにしてしまう魔法を持っていて、涼香は言われるがままにナギのハーレー『サイハテ』に乗って北海道の道を駆け抜けます。
ナギは耳が聞こえないハンディを物ともせず巧みにハーレーを操り、誰とでも仲良くなってしまう不思議な魅力を持つ少女で、涼香もそんな彼女に次第に惹かれていきます。
溜めに溜まった苛立ちや焦りはどこかに消え去り、涼香は自分にとって大事なことに気が付きます。
旅をあきらめた友と、その母への手紙
波口喜美(ハグ)は理想の人生を順調に歩んでいましたが、失恋をきっかけに人生が急変。
人間関係に耐えられずに退職し、これからどうしよと途方に暮れていました。
すると大学時代の親友・長良妙子(ナガラ)から連絡があり、それから年に数回、一緒に旅行に行くようになりました。
ハグはナガラの前では気取らず素の自分でいられて、生きる活力を取り戻します。
今回も一緒に伊豆に行く予定でした。
しかし、ナガラの母親が脳梗塞で倒れてしまい、ナガラは母親の側にいてあげるために旅行を諦め、ハグだけが旅に出ます。
ハグはぽっかりと空いたような一人の時間を過ごしていると、ナガラから長文のメールをもらいます。
そこには、ナガラの本心が書かれていて、ハグはある決心をします。
冬空のクレーン
陣野志保は大手都市開発の企業の重用ポストにつき、それを自慢に思っていました。
それが傲慢になり、思いやりのない言葉で自分のチームの部下・横山を傷つけ、訴えられる事態にまで発展します。
会社は志保が横山に謝るよう指示しますが、彼女は納得できず、多忙にもかかわらず会社を長期で休み、一人北海道に向かいます。
自分がいなくなってさぞ困るかと思いきや、誰からも連絡はなく、志保は自分が所詮、会社の歯車の一つでしかなかったことを痛感します。
ここまでしておいて、どの面下げて会社に戻れるだろうか。
志保は自暴自棄のような状態になりますが、そこで出会ったタンチョウヅルの美しさに魅了され、そしてタンチョウヅルを保護する活動をしている天羽と知り合います。
志保は天羽の言葉に勇気づけられ、肩書きを抜きにした本当の自分を取り戻していきます。
風を止めないで
『さいはての彼女』に登場するナギの母親・道代の目線から物語が語られます。
道代はバイクの事故で夫・タオを亡くして以来、ナギもツーリングに出かけたまま帰ってこないのではという不安にいつも襲われていました。
ナギがツーリングで家を空けていたある日、道代のもとに広告代理店の桐生陽一が訪れ、ハーレーダビッドソンのキャンペーンガールにナギを起用させてくれないかとオファーします。
はじめ、ナギの聴覚障害は見世物でないと道代は断りますが、桐生にタオの姿を重ね、ナギの職場を紹介します。
社長の大宅と桐生は意気投合し、桐生はそのまま道代の家に泊まることに。
道代は桐生のことを妙に意識してしまいますが、やがて彼が隠している秘密を知ることになりました。
感想
とにかく気持ちが良い
真っ先に思いつく感想として、この一言に尽きます。
ナギと駆け抜ける北海道の景色、旅館で堪能する贅沢な一人の時間、タンチョウヅルの美しい姿。
まるでしがらみから離れてバカンスに来たかのような没入感があり、登場人物たちと共に疲れて汚れた心を洗い流すような、そんな気持ち良さがありました。
良い意味で捻りはなく、短編で四つ合わせても短めの本なので、気分をリフレッシュしたい何かの合間に読むのに最適です。
人生を救ってくれる名言が溢れている
とはいえ、ただ読んでいて気持ち良いだけではありません。
要所要所で生きていく上での考え方や名言が散りばめられていて、この旅を終えればきっとスタートでは見つかっていなかった答えが何か出ているはずです。
エンタメ小説だけれど、それだけでは終わらない。
美術関係だけではない、原田さんの強みがよく表れた作品です。
おわりに
頑張り疲れてしまった時。
何をやってもうまくいかず焦っている時。
目標が見つからず途方に暮れている時。
そんな時に、僕は本書を読んでほしいと思います。
読み終えれば肩の力は抜け、どこか清々しい気持ちになれるはずです。
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