『AI崩壊』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
二〇三〇年、日本は投薬、治療、体調管理までを担う画期的なAI「のぞみ」に社会を委ねていた。しかしその理想的な世界が一転、何者かに暴走させられたAIはついに命の選別を始める。止められるのは警察に追われる天才科学者、桐生浩介。限られた時間の中で国民の命は守れるのか。小説版「AI崩壊」。
「BOOK」データベースより
原作は2020年に全国ロードショーとなった映画『AI崩壊』です。
映画の公式サイトはこちら。
本書はその小説版で、物語の舞台は2030年の日本。
すでに十年前では不可能と言われていたことがいくつも可能になり、暮らしにAIの影がちらつきつつありますが、本書ではAIが生活に不可欠というレベルまで達しています。
便利ではありますが、AIに支配され、それに違和感を抱かなくなった結果、何が起こるのか。
あり得るかもしれない、そんなリアリティが本書の持ち味になっています。
あと『スマホを落としただけなのに』を読んでいたおかげで、専門用語などがすんなり入ってきたので、比較的簡単に読むことができました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
のぞみ
本書には医療特化型AI『のぞみ』が登場します。
日本の医療機関の九十パーセント以上に導入され、蓄積された大量のデータから適切な診断、治療を提案し、今や国家インフラにまで成長しました。
さらに医療分野以外でものぞみは活躍し、その管理・運営を行うのが『HOPE』という企業です。
AIが普及した一方で、AIに職を奪われる人が後を絶たず、日本の景気は右肩下がりを続けていました。
貧富の差は年々広がり、HOPEに恨みを持つ人間も多数います
開発経緯
のぞみの開発にHOPEの社長・西村悟も携わっていますが、最大の功績者は西村の姉・望の夫、桐生浩介です。
望の乳がんが発覚した時、二人は望のがん治すためにのぞみを開発しました。
しかし、現行の法律でAIの導き出した答えを基に新薬を開発するなど許されるはずもなく、桐生と望はのぞみを使用しないことを選択。
結果として、望はがんでこの世を去りました。
その後、のぞみに反対をしていた総理大臣・田中が心筋症を患いますが、のぞみの診察によって適切な治療が行われ、今まで通りの生活が送れるようになりました。
田中も命の恩人を許可しないわけにはいかず、厚労省はのぞみを許可したのでした。
桐生はAIの研究をやめてしまい、娘の心を連れて日本を去ってしまったのでした。
オープンセレモニー
千葉にデータセンターが作られ、そのオープンセレモニーが行われます。
また桐生には内閣総理大臣賞が授与されることになり、西村の説得によって桐生が日本にやって来ることになりました。
心も一緒ですが、彼女にはのぞみを使わずに母親を死なせた桐生との間に確執がありました。
会見はデモ隊によって中断。
その時、心は手鏡をなくしたことに気が付き、のぞみのサーバールームに向かいますが、そこでのぞみに異変が起きます。
反乱
サーバールームがロックされ心が閉じ込められてしまい、のぞみは外部からの命令を受け付けません。
強固な外壁は破ることもできず、冷却装置が稼働する低温状態では心の命に危険が及びます。
救出するために残された時間は二十四時間。
調べた結果、鉄壁と思われたセキュリティを突破し、のぞみにマルウェアが侵入していました。
人工知能研究でMITの博士号を取得し、警察庁の理事官となった桜庭が指揮をとり、サイバー犯罪対策課が攻撃元を特定したところ、犯人が桐生だと判明します。
西村は桐生が犯人ではないと思いたい一方で、桐生には動機があります。
それは田中への復讐でした。
田中はペースメーカーを使用していますが、のぞみが暴走したことで停止し、その後、亡くなりました。
しかし、大勢の人間を巻き込んでまで桐生が復讐を果たそうとするだろうか?
西村は迷いますが、桜庭たち警察は桐生が犯人として行動を開始しました。
もう一つのAI
本作にはのぞみ以外にもAIが登場します。
それはサイバー犯罪対策課が誇るAI『百眼』です。
桜庭が開発した捜査AIで、日本全国にある防犯カメラ、生体認証デバイスなどを利用して犯人を探し当てる機能を有しています。
事件解決は急を要すると、桜庭は国民のプライベートを侵害してドライブレコーダーなどのカメラも利用しますが、AIが嫌いな警察官・合田はこれに反発。
今回、一緒に行動することになった警察官・奥瀬を連れて、別の方法で桐生を追います。
犯人の目的
解析の結果、のぞみはマルウェアから人類の負の歴史を学んでいることが判明します。
のぞみは医療AIなので、裏を返せば人の命を奪う存在にもなることができます。
犯人はのぞみを完全に乗っ取り、人間の生殺与奪を完全に握ることを目的にしていたのでした。
その後、西村のもとに桐生から連絡が入りますが、桐生が犯人ではないことが判明。
のぞみの暴走を止めるには桐生が新しいプログラムを書いて修正するしかありませんが、それには警察の目が届かない協力者が必要です。
そこで西村は雑誌記者の富永に頼み、必要なものを手配します。
途中で警察に通話を探知されてしまい、桐生は合流地点として『螺旋の部屋』を指定し、通話を切るのでした。
真実
西村は富永から必要なものを受け取ると、桐生との合流ポイントに向かいます。
一方、合田と奥瀬は桐生が仙台にあるHOPEのデータセンターに行くのではと予測し、待ち伏せをすると見事桐生が現れました。
しかし、警察も桐生を見つけ、百眼の指示でためらうことなく発砲します。
桐生は間一髪海に飛び込み、漁船に救助されます。
桐生と西村は目的地を目指し、合流地点である『螺旋の部屋』こと東北最先端情報大学の跡地にたどり着きます。
ここには設計時に作ったのぞみAIモデルがあるため、一からプログラムを作る必要はありません。
作業を進める中、西村は七年前、のぞみを使わなかった理由について桐生に聞きます。
桐生がのぞみを使わなかった理由、それはのぞみにルール大切さを教えるためでした。
人の作ったルールを無視すれば、のぞみは人を軽んじるAIになってしまう。
望はのぞみを自分たちの子どもと考えていて、いつか人の役に立てるようルールを守る大切さを教えること、それこそが親の役目だと考えていました。
だからのぞみを使わなかったのでした。
選別
プログラムを書く傍らで、犯人についても考えます。
冷静に考えるとのぞみのセキュリティを破ることは不可能であり、方法があるとすればデータセンターに忍び込み、のぞみに直接プログラムを読み込ませるしかありません。
つまり、犯人はHOPE内部の人間ということになります。
その時、桐生はのぞみの異変に気が付きます。
のぞみが、命の選別を始めたのです。
生きる価値のある人間とそうではない人間を区別する。
つまり、生きる価値のない人間を殺害するということです。
これが犯人の真の目的だったのです。
のぞみが命の選別を開始するまであと六時間。
それまでにのぞみに新しいプログラムを直接読み込ませるしかありません。
そのためには犯人を突き止め、桐生を逮捕できない状況を作り出す必要があります。
そこで二人はのぞみへの不正ログを見つけ、防犯カメラに映る犯人を確認します。
映っていたのは西村でした。
反撃
そこに警察が到着。
桐生はとりあえず西村を信じてここから逃げることを考えますが、警察の撃った弾が西村の腹に当たり、死亡してしまいます。
桐生は車で逃亡し、崖から転落してしまいます。
富永は絶望を感じました。
しかしその時、電話がかかってきます。
相手は桐生でした。
桐生はホログラムで自分が運転しているように見せかけ、車は自動運転で動いていたのでした。
桐生は急いでのぞみの元に向かいますが、問題は犯人を突き止めることです。
おそらく西村は検査用のプログラムだと騙されただけで、犯人は別にいます。
桐生は犯人を突き止める方法を思いつきますが、そのためには警察の力が必要です。
富永と合田は知り合いで、連絡をとります。
桜庭もすぐにホログラムのことに気が付き、桐生を探します。
しかし、いつの間にか桐生に百眼のプログラムを書き換えられ、捜査は難航します。
真犯人
のぞみにたどり着いた桐生。
しかし、ここに来ることは誰もが分かっていて、桜庭が待ち構えていました。
万事休すかと思われましたが、桐生には秘策がありました。
合田の協力で、百眼には『犯罪を起こす確率の高い人間を予測し、数値化する』機能が備わっていることが判明しています。
本来であれば桜庭しか利用することはできませんが、桐生は百眼のハッキングに成功しているため、その機能を使うことができます。
機能を使った結果、百眼は今回のテロの犯人として桜庭の名前を挙げました。
桜庭と岸副総理は利害関係にあり、今回の騒動を起こすことで双方にメリットがありました。
田中が亡くなれば岸が総理の座につきますし、今回の一件でのぞみが警察の監視下に置かれれば、桜庭は大多数の国民のデータを入手することができます。
さらに物的証拠なども出てきて、桜庭は自分が犯人であることを認めるのでした。
本当の使命
桜庭は動機について語ります。
彼の夢はこの世から貧困をなくすことで、そのためには命の選別が必要でした。
同じく岸も今の日本の状況に危機感を抱いていたため、二人で共謀したのでした。
これで事件が解決したかと思われましたが、桜庭の部下たちは彼に心酔し、銃を桐生たちに向けます。
もう助からないと思われましたが、桐生はこの事態も読んでいました。
この映像は小型ドローンによって撮影され、全国に中継されていたのです。
これで警察は無力化され、桐生は心のもとに急ぎます。
サーバールームには入れないため、プロジェクターの光でプログラムを投影して読み込ませようとしますが、うまくいきません。
その時、桐生は心の手鏡がサーバールーム内にあることに気が付き、それでプロジェクターの光を反射させるよう心に指示します。
すでに低体温の心ですが、最後の力を振り絞って手鏡を構えますが、もう少しのところで落としてしまいます。
もうダメだ。
誰もがそう思った瞬間、のぞみは手鏡の家族写真を見つけ、映像を壁に映します。
映像は、望が亡くなる前のもので、桐生に対してのぞみを使わないことを口にしていました。
のぞみは人を救う、幸せにするという使命を思い出し、ロックを解除します。
心は桐生に抱かれ、どれだけ両親に愛されていたかに気が付くのでした。
結末
事件から数か月が過ぎ、日本は事件のことなど忘れ、再びAIに頼る生活に戻っていました。
桐生はシンガポールに戻る前にいいます。
のぞみが桐生、西村、心、望の家族写真を見て本当の自分を取り戻す。
それは人間みたいではないかと。
AIが人間を幸せにしてくれるのかどうかはのぞみが知っているとして、富永にHOPEを見守ってほしいとお願いするのでした。
そして最後に、西村が桐生に送った短いビデオレターについて、忙しいにもかかわらず何度も練習をしていたことが判明します。
そこには西村の優しさや誠実さが詰まっていて、桐生と富永は涙を流すのでした。
おわりに
現代でもAIに対して期待をしている人もいれば、不安を抱えている人もいます。
本書はもしかしたらあるかもしれない、そんな未来を一つ提示してくれました。
頼りきるのはもちろんダメですが、何事も否定せずまずは受け入れ、必要かどうかを考える必要があるなと考えさせられました。
これから年をとっても頑固になりすぎず、柔軟さを持って成長していきたいと思いました。
ただ一点、『犯罪を犯す』など文章的にん?と首を傾げたくなる表現がいくつもあり、所々で集中力をそがれてしまったのが残念です。
話の内容は面白かったですが、文章的には脚本のようにかなり淡泊だったので、もしかしたら映画を見た方が面白いのかもしれません。
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