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『悪魔の手毬唄』あらすじとネタバレ感想!静養先で起こる事件と迷宮入りした事件の関係は?

harutoautumn
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岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手毬唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか? 事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!

Amazon内容紹介より

金田一耕助シリーズ第十二弾となる本書。

前の話はこちら。

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手毬唄になぞらえた殺人という時点でミステリ好きであればワクワクしますが、さらにそこに過去の未解決事件が絡んでくるとあれば、もう興奮しっぱなしです。

ミステリの黄金の方程式を金田一耕助シリーズでやるのだから、面白いことこの上ないです。

シリーズでも本書を面白い作品上位にあげるのも納得でした。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

手毬唄

冒頭、本書のタイトルの説明として『鬼首村手毬唄考』と題された雑誌掲載の一文が提示されます。

その手毬唄は三節で構成されていて、通常の手毬唄はかぞえ唄の形式が多く一貫した内容は少ないのですが、この手毬唄には一貫した内容が感じられます。

それはこの地方の農民が自分たちを支配する領主をそれとなく風したのでは、と考察されています。

鬼首村とは兵庫県と岡山県の県境にあり、あらゆる交通網から離れた山間の盆地です。

手毬唄では天明時代の領主である伊東佑之のことを唄っていて、『殺された』というニュアンスが込められた言葉がリフレインされていることからも、彼の非行ぶりが分かりました。

本書では、事件とこの手毬唄が重なるように展開していきます。

静養

金田一は静養を希望していて、馴染みである磯川警部に良い場所がないか聞きます。

すると磯川は、鬼首村の青池リカという女性を紹介してくれました。

リカは夫が殺害されていてまだ犯人が見つかっていないこともあり、金田一は事件かと警戒しますが、その事件は二十年以上前ということで安心します。

しかし、金田一は興味を持ってしまい、事件について磯川から話を聞くことにします。

未解決事件

事件が起きた昭和七年。

当時、鬼首村は由良家、仁礼家の二つが二大勢力となっていました。

仁礼家がぶどう栽培で村を豊かにしたことで、由良家の方でも何かしないわけにはいきません。

そこで対抗策を講じますが、恩田幾三という詐欺師が登場したことで村は大きく揺れ動き、詐欺が発覚する前から恩田を怪しんでいたのがリカの夫である源治郎でした。

証拠を持って恩田のところに乗りこみますが、逆に殺害されてしまい、恩田は身許を隠していたためどこの誰かも分からず、そのまま消えてしまいました。

これを契機に由良家は落ちぶれ、現在は仁礼家の天下となっていました。

帰省

好奇心をくすぐられる金田一ですが、磯川からすると、今はグッドタイミングともいえました。

鬼首村には千恵子という娘がいて、今は村を出て、大空ゆかりという名前で女優として絶大な人気を誇っていました。

その千恵子が鬼首村に帰ってきているのだといいます。

こうして色々なタイミングが重なった状態で金田一は鬼首村を訪れますが、当然、そこで事件に巻き込まれるのでした。

感想

高い完成度

本書が金田一シリーズの中でも特に人気を誇っている理由の一つとして、その完成度の高さがあります。

金田一が静養地として選んだ村で、事件が起きる。

それが手毬唄になぞらえられているのですが、唄や村人との交流から村に残る因習、差別、偏見が見え隠れしていて、地方の解像度がまず高いです。

さらに事件は手毬唄になぞらえられているだけでなく、過去の事件とも関連しているため、非常に複雑に絡み合います。

登場人物も多いので全体像を把握することは容易ではありませんが、決して絡まっているわけではなく、この繊細さは素晴らしいです。

事件や村の事情だけでいえば重苦しいのですが、そこは金田一と磯川の軽快なやり取りで緩和してくれるので、これだけ重たい話をそう感じさせずに読ませてくれるので、かなり満足度が高かったです。

読了後も残るもの

本書は読み終わってすっきりするものではありません。

それはミステリでもトリックが重視されているのではなく、登場人物たちの心理描写にこそ肝があるからです。

殺人が肯定されることは絶対ないわけで、しかも動機が分かったところで理解できない部分もけっこうありました。

それでも同情というか、そうしてしまった気持ちを理解したくなってしまう思いに駆られます。

そう思えるのは、それだけ本書での心理描写や人間関係の描き方が丁寧だからで、昨今ここまで入念に書くことは少ないのではないでしょうか。

もちろん読者から求められるものが違ってきていることも理由にあると思いますが、この時代の作品だからこそ摂取できるものがあることを再認識できました。

おわりに

金田一シリーズの中でも特に人気な理由がよく分かる内容でした。

日常に追われながら読むよりも、長期休暇中に作品の時代性や背景に没入しながら読む方が圧倒的に面白いです。

ぜひ時間を作って、ゆっくりじっくり読むことをオススメします。

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