グランドホテル 極~異形コレクションLIX~あらすじとネタバレ感想!
全作書下ろしホラーアンソロジー「異形コレクション」第59巻。過去に好評を博しました〈グランドホテル〉が復活。今回の舞台は年越しの一泊二日。新年を迎える夜にホテルの上空に現れるという奇跡――そのオーロラを見たものは幸福になれるとか……。クラシックな雰囲気のグランドホテルで、「極」の読後感でおもてなしをさせて戴けましたら幸甚です。
Amazon商品ページより
異形コレクションシリーズ第五十九弾となる本書。
前の話はこちら。

前作から一年以上空いていますが、その分、異形コレクションの中でも特に人気なグランドホテルが新たなルールのもと帰ってきました。
年越しの夜に見られるオーロラ。それは吉兆か、それとも。
制約のもとでも作家さんごとの持ち味が存分に発揮されていて、誰もがグランドホテルの虜になるはずです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
北沢陶『蛇のナイフ』
沙樹は両親とともにグランドホテル極を訪れます。
年越しを立派なホテルで過ごす素晴らしい時間のはずですが、父親の浮気のこともあり、家族関係は何もないように装っていますが緊張感に包まれています。
父親は家族としてこうするべき、という自分勝手な理想を振りかざし、沙樹も母親も疲弊していました。
そんな時、沙樹はホテルで謎の少年と出会い、名前が思いつかないというので『カリヤ』と名付けます。
カリヤはなぜか沙樹の心を手に取るように理解してくれて、次第に妖しい魔力で彼女を誘います。
澤村伊智『ネーブルサンシャイン』
昭子と純子の姉妹は便利屋をしていて、今回の依頼者と三鷹駅で落ち合います。
依頼者は野木綾乃という女性で、とあるホテルに泊まるにあたって行動を共にしてほしいのだといいます。
昭子は詳細をたずねますが、奇妙なルールだけ伝えられ、しかも理由をきいてはいけないのだといいます。
奇妙な依頼ですが、決して難しそうではありません。
昭子は依頼をこなしつつもホテル滞在を楽しみますが、やがて奇妙なものを目にするようになります。
背筋『雑な神隠し』
俺は自宅で幽霊を見てしまうことに悩んでいました。
カーテンの影に潜むそれを認識しつつも、詳細を話そうとするとよく思い出せません。
友人が心配して家まで来てくれますが、何も見つかりませんでした。
物語は時間を遡って進行し、幽霊の正体や俺がなぜそのような状態に陥っているのかが明らかになります。
坂崎かおる『ミセス・ベルベディア』
ホテルの地下にある、プリムス・ベルベディアという車。
ミカサという宿泊客が置いていったもので、取りに戻るまで大切に保管する必要がありました。
ミカサから一年に一度、大晦日の日に必ず動かすよう依頼されており、カワサキはその役を任されます。
そして大晦日の日、カワサキは深夜から新年にかけて駐車場を走ります。
王谷晶『大宴会』
莉緒はアルバイトで、ホテルのコンパニオンをすることになりました。
服装がコスプレめいていること、ここで起こったことは秘密にするなど妙なルールがあるものの、そこまで難しい仕事ではありません。
今回のパーティーは一九八五年を再現するためのものだといい、その年に大量失踪事件が起きていました。
パーティーが進むと、ある瞬間、再現の意味が明らかになります。
久永実木彦『ジェイルハウス・ロック』
朽名は所長に呼ばれます。
所長が経営する刑監荘ホテルの売上が芳しくなく、彼は原因としてグランドホテル極の存在が影響しているとして、十一人もの刺客をホテルに送り込み、一人残らず消息不明になっていました。
そこで朽名に順番が回ってきました。
妻もかつて同業者でしたが、仕事の際の傷による後遺症で復帰は絶望的です。
朽名がやらなければ次は妻が送られるのだときき、朽名に断れるはずがありません。
こうして朽名はホテルを終わらせるために刺客として潜入するのでした。
柴田勝家『扉を開いて』
俺はホテルのドアマンをしています。
ドアマンにはホテルの顔としての役目の他に、門番として招き入れて良いかどうか判断する力が求められます。
なぜか俺は二〇二五年の大晦日を幾度となくループしていて、原因はドアマンの仕事が関係しているようでした。
つまり、俺は訪れる客を招いてよいかどうか間違わずに判断しないと、時間がループしてしまうのでした。
宮澤伊織『ホテル・リミナル・アスレチック』
ふーこの自腹で愛実と一緒に高級ホテルに泊まっていました。
痛い出費ではありますが、普段愛実の家に転がりこんでいるため、そのお返しです。
美味しいものを食べて、最高の年末を過ごす。
そのはずでしたが、夜中、異変が二人を襲います。
平山夢明『237号室』
ゴトーたちはどこかの戦場で戦っていました。
司令部との連絡は途絶え、中隊で残ったのはわずか。
戦場を離れるように移動すると、立派なホテルが見えてきます。
全市民退避命令が出ているはずなのに従業員もいて、怪しさが漂っていますが、休息を求めていたゴトーたちは立ち寄ることにしました。
斜線堂有紀『スウィミングプール』
喜界績は小説家として華々しいスタートを切ったものの、そこからが続きません。
締め切りも守れず、それでも作品が書ける気がしません。
編集者から旅行に出るのはどうかと提案され、績はとあるホテルを訪れました。
そこには古めかしいプールがあり、泳いだらなにかインスピレーションを得られるのではと思って泳ぎますが、水中で不思議なものを目にします。
篠たまき『雪まつげ』
私はホテルに一泊しますが、その心は疲れていました。
働く会社の業績は右肩下がりで、転職も容易ではありません。
稼ぎのある夫からは近々捨てられる可能性があり、人生の活路が見えません。
私は夫の金で普段泊まらない高級なホテルに宿泊して、エステを受けます。
それが不思議な体験でした。
芦花公園『イカボドの栄光』
私はホテルにチェックインして、過不足ない丁寧な接客や設備に満足を覚えます。
夜にはオーロラを見るための集まりに参加し、展望ホールに案内されます。
静かな期待感。
やがてオーロラが見えると、隣の中年女性が突然自己紹介をはじめ、おかしなことを話し始めます。
空木春宵『見えざる光の、その先の、』
第五十二弾に収録された『夜の、光の、その目見の、』と登場人物が共通する話。
男性は妻らしき女性と会話をしながらホテルに滞在していました。
スタッフの勧めでピアノの演奏を聞きにいき、そこで不思議な感覚を覚えます。
その後、バーで斯波という女性と知り合い、先ほどの感覚の正体を掴むために行動を共にすることにしました。
上田早夕里『忘却のグランデセール』
グランドホテル極は予約をとることが困難で有名ですが、ホテルにある〈珈琲店トルシェ〉の季節限定スイーツセットは大晦日にだけ提供され、とんでもなく予約がとれませんでした。
そのスイーツを作っているのは占部というパティシエで、俺が洋菓子コンテストで敗北を喫した相手でした。
俺は占部に招待されて季節限定スイーツセットを味わいますが、それは想像を絶するような経験でした。
井上雅彦『極のチェックアウトーあるいは、長逗留の危険』
私はグランドホテルがお気に入りでした。
泊まる時は長逗留をして、ホテルを楽しむと同時に、ホテルに隠された秘密を明らかにすることも目的にしていました。
しかし、その長逗留によって危険な目にあうことになります。
感想
それぞれのホテル
ホテルとは不思議な空間です。
非日常であり、癒しを求める場所であり、刺激を求める場所でもある。
集まる人も千差万別で、全員がポジティブな感情で宿泊しているとも限りません。
それが作家さんごとに見事に表現されていて、制約の中でも多彩な物語が揃っています。
ホテルという限られた空間で繰り広げられる、様々な出来事とそれによって引き起こされる人間の感情。
宿ホラーというと逃げ場がない類の恐怖があると思っていて、それが担当できる一冊でした。
特にオススメな作品
今回は特にオススメ作品を選ぶのが難しいですが、しいてあげるとしたら久永さんの『ジェイルハウス・ロック』と空木さんの『見えざる光の、その先の、』です。
前者は思いがけない真実による驚きと恐怖が面白く、後者は丁寧な描写による温かさ、切なさが印象的でした。
どちらかというとグランドホテルで不幸が起こるケースが多い中で、それではない結末を描き切った作品です。
その余韻は上品で、斯波が狂言回し的なポジションで登場する連作短編があればぜひ読みたいくらいです。
あといくつか執筆されれば一冊分になりそうなので、それも楽しみになる完成度でした。
おわりに
長い時間を待つだけの価値があるアンソロジーでした。
かつてのグランドホテルを読むことで本書のまた違った味わいが体験できそうなので、少しずつバックナンバーも遡って挑戦してみたいと思います。
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