『ループ』あらすじとネタバレ感想!リングシリーズで展開された世界の謎が明らかになる
医学生の馨にとって家族はかけがえのないものだった。しかし、父親と馨の恋人を始め、多くの人々が次々と新種のガンウィルスに侵され、世界は存亡の危機に立たされた。ウィルスはどこからやって来たのか? あるプロジェクトとの関連を知った馨は1人アメリカの砂漠を疾走するが……。『リング』『らせん』で提示された謎と世界の仕組み、人間の存在に深く迫るシリーズ完結編。
Amazon商品ページより
シリーズ第三弾となる本書。
前の話はこちら。

『リング』『らせん』で提示されてきた謎が一気に明らかになるため、シリーズのここまでの集大成として申し分ないスケールです。
またここでホラーからかなりSF寄りになるので、これまでのシリーズの味わいが好きという方からすると賛否が分かれるかもしれません。
この記事では、本書のあらすじや感想などを書いています。核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
幸せな家族
馨は十歳にして今の生活に満足を覚えていました。
自然界のあらゆる現象を説明できる統一的な理論を発見することを望みにしていて、人工生命開発の研究をしている父親の秀幸とは度々ディスカッションしています。
母親の真知子はそんな二人を満足げに眺め、家族として良好な関係であることがうかがえます。
ある日、馨は考えていることを真知子に打ち明けます。
それは、長寿村のある位置と、重力異常のマイナスの地域がぴたりと重なることでした。
ループ
馨が自説を秀幸に話す中で、秀幸が若い頃、情熱を注いでいた『ループ』というプロジェクトの存在が明らかになります。
それは人工生命に関するもので、途中で挫折しています。
失敗して終わったわけではなく、一定の成果をあげてからの凍結されたのだといいます。
秀幸はこの話題を避けるような面があり、この時点でプロジェクトの全貌が明らかになることはありませんが、これが後の重要なポイントになります。
新種のがん
十年後、馨は医学生になっていました。
秀幸はがんを罹患し、再発を繰り返しています。
また同様のがんが世界各地で確認されており、しかしその全貌は明らかになっていません。
馨は家族を支えるために家庭教師のアルバイトをしていますが、その中で父親と同じがんで苦しむ少年とその母親と出会いました。
感想
シリーズをがらりと変える作品
本書を最後まで読むことで、『リング』『らせん』で語られていたことの意味合いががらりと変わります。
本書を読んでしまえば、はじめて『リング』『らせん』を読んだ時の感触を味わうことは二度とできません。
それくらい本書のインパクトは強烈です。
僕は前二作を映画で知ったため、典型的なホラーとしての印象を持っていて、小説を読んでも同じ感想でした。
ところが、本書を読むことで、自分の見てきたことが本当に狭い範囲の出来事だったのだということを思い知らされます。
目の前で起きていたことは、本当は違う意味だったのだと。
本書自体でももちろん面白いのですが、シリーズを通して読むことによって、リングシリーズに大きく影響するという点で本書は傑作でした。
スケール感の描き方が上手い
改めて思ったのが、鈴木さんはスケールが大きい作品を描くのが上手いということです。
現実と仮想世界。
これまでの作品を巻き込んで膨らんでいくので、物語の冒頭と終盤ではもはや別作品です。
現実世界でさえワールドワイドになっているので、それだけコントロールをきっちりしないと収拾がつかない、あるいはピンボケしたように捉えどころがない作品になってしまう懸念があります。
その点、本書は謎の広く深くなっているものの、貞子をはじめとしたシリーズで追ってきたものが必ず先にあると分かる気配があるため、信じながら読者は読み進めることができましたし、真実が明らかになった時の驚きと感動がありました。
おわりに
シリーズとしては、エピソード集である『バースデイ』や新シリーズもありますが、一旦は本書にて一つの区切りとなります。
ホラーという作品がSFというジャンルと相性が良い、あるいはオーバーラップしたジャンルであることが分かる作品ではないでしょうか。
『リング』『らせん』で止まっている人にこそ、シリーズの意味合いをがらりと変えるだけのインパクトを持っている本書にぜひ挑戦していただきたいです。
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