住野よる
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『腹を割ったら血が出るだけさ』あらすじとネタバレ感想!愛されたい少女と物語がリンクする

harutoautumn
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「愛されたい」という感情に強く囚われている茜寧は、友人に囲まれ充実した高校生活を送っているが、誰にも本心を明かすことができない。人に好かれるよう振る舞い神経をすり減らす中、一冊の小説だけを心の支えにしていた。ある日茜寧は、その小説に登場する〈あい〉にそっくりな人物と街ですれ違う。声をかけるとその人物の名前もまた〈あい〉だと言う。友達になった二人の身の回りに、本に記された内容と同じような出来事が起き始めて……。人生と物語が交差する、極上の青春群像劇。

Amazon商品ページより

住野よるさんが手掛ける本書。

物騒なタイトルと神々しさすらある表紙と、青春群像劇とあるあらすじ。

どのような読み心地なのだろうと興味津々で読み始め、話が進むにつれてグングンと引き寄せられました。

これまでの住野さんの持つ魅力を受け継ぎつつも、これまでにはなかった感触や思いがあり、新たな世界が見えてきました。

本書に関する住野さんへのインタビューはこちら。

住野よる、最新作インタビュー「分かってたまるかっていう気持ちが自分の中にやっぱりある」

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

出会い

女子高生の糸林茜寧は『少女のマーチ』という小説と出会います。

それは、誰も知らないはずの自分を理解してくれている存在で、茜寧にとってかけがえのない一冊となります。

それどころか、茜寧の人生を左右するような作品となり、その入れ込み具合は異常でした。

愛されたい

茜寧は他者から見れば、友人や恋人などがいて、何不自由のない満たされた少女です。

しかし、彼女は事あるごと死にたくなります。

他人に見せている自分は作り込んだ自分であり、愛されたい一心で作った虚構でしかありません。

茜寧がどうしたいか、ではなく、相手が何を望むのか。

それが茜寧の行動原理であり、その通りに行動しては死にたいと思うのでした。

運命の出会い

ある日、茜寧は街中で出会います。

それは『少女のマーチ』の登場人物によく似た人物で、思わず声を掛けます。

名前は宇川逢といい、見た目や服装に反して男性でした。

自分を偽ることなく、言いたいことをそのまま言える人。

茜寧は偶然を装って逢に近づき、彼とコミュニケーションを続けますが、そこにはある目的がありました。

それは、『少女のマーチ』をなぞることです。

感想

人の本音とは何か

これは僕自身、年を重ねるほどに思うのですが、自分の本当の気持ちって何だろう、どこにあるのだろうと考えることがあります。

親しい人でさえも本音100%で接することなどほぼないわけで、そこには何らかの本音以外の気持ちが混ざります。

嫌われたくない時もあれば、もっと打算的でいやらしい気持ちが混ざっている時もあります。

その度に自分を偽って嫌だなと思うのですが、一人になっても本音が見えないことがほとんどだということに気がつきます。

大人になって公私ともに複雑さが増し、自然な自分を忘れてしまったという感覚があります。

そうなってくると偽っていると感じる自分すらも本音なわけで、それを認めてあげた方が良いのでは?と思うようになりました。

本書ではそんな本当の自分、偽りの自分について最後まで描かれ、腹を割って語ったところで本音なんて出てこないのでは、出るのは血だけでは?(タイトルの意味)と感じました。

他の方のレビューで違う視点での意味づけがメインでしたが、僕はそんな思いで本書を読みました。

住野さんの思い

本書では住野さんの本音?と思われる考えが提示されます。

作中の人物の口を借りて語る著者の本音は良くない、と考える人もいると思いますが、僕は正直、ここに一番感銘を受けました。

小説でも音楽でも、何でもそうですが、極限状態にある人を救うほどの力は持っていません。

物理的な干渉は基本的にできないわけで、摂取したところで物理的に満たされるわけではありません。

しかし、それでも作品を書く理由は何なのか。

そのメッセージはぜひ皆さんの目で確認してほしいのですが、こんなに心が震えるのだと、旅行先で涙を浮かべながら読みました。

住野さんの作品が特別好きというわけではないのですが、このメッセージには心が動かされました。

展開が遅い

本書は最終的に読んで良かったのですが、読んでいる最中に何度も思いました。

長い、と。

茜寧も樹里亜も言動や行動と心の内にギャップがあるため、その解説にけっこうなボリュームを割かれます。

はじめはそういう立て付けなんだと思って読んでいましたが、流れが見えてくると、だんだん展開の遅さがしんどくなってきました。

ここまで完璧に見せたい自分を演じることなんてできるのか?と思ったし、不幸そうに見えて完璧な自分を演じられている自分に酔っているのでは?と不快に思う時もありました。

最終的には自分にそういう繊細さがないから理解できなかったのだろうと肯定的に捉えられましたが、人によってはこのあたりの描写がしんどいかもしれません。

ただ最後まで読む価値がある結末なので、ぜひページをめくる手を止めないでほしいです。

おわりに

住野さんの新たな代表作になるポテンシャルを秘めた作品でした。

小説家としての覚悟や開き直りのようなものが感じられ、ただの話題に乗っかった人ではないのだと、今になって実感できました。

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