『クラインの壺』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖!
「BOOK」データベースより
1989年に出版された、当時では珍しいヴァーチャルな世界を題材にした作品です。
現在ではVR(日本語でいう仮想現実)技術が発達し一般的になったので平凡に映るかもしれませんが、まだ携帯すら普及していなかった当時の状況を鑑みると、異色かつ斬新な作品であることに間違いありません。
それに現在の技術では、作中に出てくるKLEIN-2(以後K2)のような五感全てを再現できるわけではないので、今でも未来の話です。こういう観点では、ドラえもんも同列に扱っても良いかもしれません。
ここでは本書の結末について、僕なりに解説してみました。
ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
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そもそもの結論
結論は出ません。
しかし、これにはちゃんと理由があります。
というのもK2の性質上、どんな結末もあり得るため一つに決定することができないためです。
終盤で、上杉が何度もK2を通じて現実と仮想現実を行き来していたこと、それ自体がK2による仮想現実だったことが明かされます。
つまり、現実と仮想現実の区別がつかなくなった、クラインの壺にはまってしまったということになります。
こうなってしまっては、何か証拠を掴んだとしても、それも仮想現実でしたといわれてしまえばそれまでです。
それに上杉はラストで、自殺することで今が現実か仮想現実かを見極めようとしますが、これも何の意味もありません。
もし研究所からの逃亡に失敗し、K2の中で目覚めたこと。
これがK2によって再現された仮想現実だった場合、別荘に逃げ込んだ時点で上杉は仮想現実にいます。
しかしここで自殺し、ゲームオーバーとなってK2の中で目覚めたとして、果たしてこれがK2の仮想現実の中でないと言い切れるのでしょうか?
そうなると、何回自殺を繰り返したところで、今が現実かそうでないかは区別できません。
まあ、もし自殺してそのまま死ねれば、現実なんですけどね……。
作中ではCIAのDDST、いわゆる科学技術部が洗脳実験をアメリカの病院で行っていましたが、不祥事をもみ消すために病院を放火。
実験場を日本に移し、ゲーム制作という名目で実験を継続していたというもので、これがゲームの設定だったのか、はたまた真実だったのかによって事実が大きく異なります。
パターン別の結末
①DDSTによる実験、というゲームの設定だった場合
これが一番すっきりした結末です。
1~4日目
普通にゲームする。
5~11日目
何度もK2を出入りするが、全てK2による仮想現実。
11日目に目を覚ますが、実は一時間ゲームしていただけ。
12日目以降
自殺して、これが現実であると証明される。
②DDSTによる実験が本当だった場合
これがややこしいパターンです。
上杉は梨紗のピアスがないと感じた時、姫田からもらった名刺がない感じた時の二回があったため、そこがK2によって作られた仮想現実であると考えます。
1~4日目
普通にゲーム。
5日目
偽パスポート屋。映一入院の知らせ。
6日目
K2に入る前、梨紗のと思われる金色のピアスをポケットに入れる。
レコードデータが破損し、現実に戻るとピアスがない。
梨紗は別の青いガラス玉のピアスしている。
→K2による仮想現実。梨紗は前日のK2での拷問で死亡。
7日目
K2から自室に運ばれていて、カモフラージュするために床にニッカの角瓶。
七美からTEL。
梨紗からバイト辞めるとTEL(カモフラージュ)
梨紗のポシェットが一昨日からある(死亡後、DDSTが部屋に戻した)
ポケットに金色のピアスある(現実)
8日目
豊浦が参加。
一昨日のバンの窓の傷がない(K2で塗料をけずったため)
豊浦の採用は本採用は一昨日の午前(その前の日には梨紗が死亡しているため)
姫田より名刺もらう。
9日目
七美の尾行。
K2から出たと思っていたが、まだK2の中。
梨紗のアパートに行く。名刺がない(K2による仮想現実)
アパートに戻ると、梨紗からTEL(生きていると思わせるためのカモフラージュ)
10日目
七美からの留守電は残っていない(DDSTが消した)
名刺はある(現実)
姫田から、CIAのDDSTのことを聞く。
11日目
研究所で、梨紗の死体の写真を発見。
毒ガス?で気を失う。
→目覚めると、K2の中。偽パスポート屋から全てゲームだと伝えられる。名刺がない。
→実は、ガスで気を失わせて、K2に入れた。つまり、目覚めたそこはK2による仮想現実。
12日目以降
自殺を図り、K2の中で目覚めれば、今までが仮想現実だと証明できる。
→しかし、11日目のケースがあるため、目覚めた後も仮想現実であることは否定できない。
→永遠のループ。
おわりに
なるべく分かりやすいようにあり得るケースを書いてみました。
K2に飲み込まれてしまった時点で、どのパターンだろうと上杉に幸せはもう訪れません。
現在のVR技術にそんな力はないと分かりつつも、いつか現実と区別がつかなくなる日がくるかもしれません。
僕らは何を注意すればいいんですかね。
久しぶりにスリルを満喫できる名作でした。
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